4.お見舞いって割と楽しいイベントではあると思うの……相手が元気なら尚更。
うーん……もう朝かぁ……昨日はコトちゃんとRaiNでずっと話していてすっかり夜更かしをしてしまった。RaiNで話すのも楽しいけどやっぱり会って話したいな。早くお見舞いに行こーっと。
そうして服を選ぼうとして私は固まった。今まで友達と言える友達が居なかった為に私は可愛い服なんて持ってない。着れれば良いよという価値観で生きてきたため安くて可愛くない実用的な服ばかりだ。人に会うならそれ相応の服を着たい。その相手が初めてできた親友とも言えそうな友達なら、なおさらそう思う。私は悩みに悩んだ末、制服で行くことにした。それなら私服のダサいヤツって思われることはないはずだ。
……………………
トントン
「どーぞー入っていいよー」
扉をノックすると直ぐにコトちゃんの返事がくる。ちょっと緊張しながら私は扉を開けた。部屋には昨日と同じようにコトちゃんがベッドに居て、そして知らない男の人がコトちゃんと話していた。高身長で、金色に青色のメッシュの入った髪が似合うちょっとチャラそうなイケメンだ。そのイケメンはこちらを見て邪魔したねと笑うとコトちゃんの髪をグシャグシャっと乱暴にかつ優しく撫でると病室を出ていった。彼氏さんだったりするのかな?そう思うと少し胸の奥がモヤモヤとした。変な気持ち……少し嫌な感覚を振り払うとコトちゃんに駆け寄る。
「今のどなたです……?」
「あー?アレ?あぁ見えてもあたしの兄貴だよー」
「なるほど……おにーさん居たんですねっ……、」
言われてみれば瞳の色がほんの少し紅みがかっていた気がする。お兄さんと分かった瞬間、胸の奥の嫌な感覚が消えてとても安心した。
「昨日は間に合わなかったけど一応来てくれたみたいなんだ」
「仲良さそうですね……私一人っ子なのであぁいうのちょっと、憧れます……!」
「兄貴なんて鬱陶しいだけだよー自分は髪を染めて遊んだりしてるくせに、あたしにはちゃんと勉強するんだぞとか言っちゃってさー」
「ふふっ……それだけ大事に思って貰えてるんですよ。」
唇を尖らせながら言うコトちゃんに私は思わず笑ってしまう。
「ところで如何して制服なの?みうちゃんの私服気になってたのになー」
「……んーと……私、友達居なかったじゃないですか?それであまり可愛い服とか持ってなくて……ちょっとおめかしして来たかったのにいい服が無くて……」
「なるほど、みうちゃん何着ても似合うと思うけどなー」
「そんなこと……」
「そうだ!じゃあ、あたし退院したら一緒に服買いに行こっか!」
「え、いいの……?やった、すごく楽しみですっ……!」
えへへ……コトちゃんと遊ぶ約束取り付けちゃった……!ニヤケが止まらない。今の顔はふにゃふにゃになっちゃってると思う……っと
「ごめーん……ちょっとお手洗いに……」
「いってらー!」
……………………
トイレから戻る途中コトちゃんのお兄さんと出くわした。そもそも私は人見知りをするタイプなのでちょっと身構えてしまう。
「えっと、美唄ちゃんだっけ?」
「あ、はいっ……!そうです……!コトちゃn……琴莉さんのお兄さん……?」
「コトから話は聞いたよ、うちの妹のこと本当にありがとう。君は命の恩人だよ。オレからもお礼を言わせて欲しい。」
「いえいえ、そんな……当たり前のことをしただけですよ……!」
「それでも、本当にありがとう。おっと、名乗ってなかったね。オレは
見た目に反して優しそうな人だな……やっぱりコトちゃんの家族なんだなーと感じた。
ピッ、ポロン!
お兄さんとRaiN交換を済ませるとお兄さんはじゃあ帰るわと言って歩き出していた。コトのことよろしくって悪戯っぽく笑うと手をヒラヒラと振り外に出ていった。
あれ?私が外に出てくるまで待ってたのかな?私がトイレに出なかったら鷹瓶さん面会終了時間までずっと待ってたのかも?割と抜けてるところあるんだな……ふふっ……
……………………
「ただいまー!」
「おかーりー!」
「今さっき、鷹瓶さんに会ったよー」
「え、なんか変なこと吹き込まれなかった!?大丈夫……!?」
「ぜんぜん!コトの事よろしくって、」
「むぅ……不安だ……!」
っとその時、トントンっとノックの音がなった。誰だろう?
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