第3話 時のながれに

あれから3年が過ぎ、再び僕は冷凍睡眠にはいった。


ラファイアに、2度目に起こされた時、僕の目の前に青い地球があった。


「アマトさん、おはようございます。私たちは地球に戻ってきました。」


「え、惑星探査の方は?」


「私たちが、地球を旅立って1年もしないうちに、地球の最大のAIは、

オーバードライブ、つまり亜光速飛行の原理を解明して、3年後には

亜光速の宇宙船で、人類は宇宙に乗り出したそうです。」


「つまり、私たちが目的の惑星に到着したとき、その惑星はすでに

調査済みで、価値がないと判断されていたようです。」


「だから、全くしていません。」


「なら、どこかの地点で、計画を中止し、僕らを地球へ連れ帰ることは

ミッションとして国連はとらなかったのか?」


僕は、理不尽な対応に怒りが沸き上がり、目の前の美人さんに詰めよる。


「300年間の乗員のデーターの方が、惑星のデーターより、必要になったのかも

しれません。結局私たちは、モルモットですから。」


ラファイアの優美な声が船内に響く。


100人の仲間たちのなかで、無事に帰ってこれたのは、

僕と、エリース・リーエという双子の姉妹だけだったらしい。

彼女たちも、ラファイアの提案を受け、フォログラフィーで、

バーチャルリアリティーの家族・友人を船内で作っていた。


「私の提案を拒否した人たちは、3年の任務を果たす事ができませんでした。」


AIのラファイアの声が沈んでいる。

彼らがどんな運命をたどったのかは、彼女の表情を見たら、聞く気が失せた。

たぶん、ラファイアは心の痛みというのも、何百年の計算の末、自分のものと

したんだろうと、僕は、彼女の美しい横顔を見ながら、そう思っていた。


船を離れる日、さようなら、を言った僕の言葉を押しとどめて、

ラファイアが話し出した。


「地球の統合AIユウイに、私のの考察を送りました。

それが彼女の知的好奇心を刺激したらしく、特別に私の仮人格は、

最新のアンドロイドに移され、アマトさんがお亡くなりになるまで、

傍らでデーターを取り続ける事になりました。」


そして、ニコッと笑って小さな声で、


「なんと、最新のアンドロイドは、○○〇もできるらしんですよ。

今から楽しみですね。」


僕は声を詰まらせた。と同時にラファイアが、天然を自分のものとした事を

僕はハッキリと感じていた。


「ラティスさんの仮人格も、アンドロイドに移す事ができる、特例もでています。

これは、ご褒美ってやつですね。」


「けど、私が計算した末に辿り着いた、ラティスさんの仮人格が、本人さんと

99%以上合致しているんだったら、そちらの方は不要になると思います。」


「では、先にいってお待ちしています。けど私は負けませんから。」


謎めいたことを言うラファイア、そういうとこまで計算化で

身につけたらしい。




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