それから
二人が湯から上がると、タオルと白いガウンが用意してあり、それを着た。だいたい同じくらいの背丈であったが、下着はなく、直接羽織った。
「なんかスースーするんすけど」
佐田が食堂に入ると、既に食事が用意してあった。すずりは茶色いシンプルなエプロンを掛けて、無愛想な顔をして細々とした支度をしていた。
「どうせすぐ脱ぐんだし、パンツなんか要らないでしょ」
炊飯器からご飯を人数分よそう。
「とっとと座って食べて」
佐田と拓は同じガウンを着て、兄弟みたいに食卓についた。久しぶりの、コンビニやファミレス以外の食事だった。
◆
「いや、美味しいです」
佐田と拓は夢中で肉じゃがを食べた。
「バンバン食べなさい、バンバン」
すずりが指示を出す。
鍋はコトコトと良い音を鳴らし、鶏肉と野菜が山程投入されていた。サラダは新鮮で、カニカマとトマトとポテトサラダが真ん中にあり、ほうれん草のお浸しには鰹節と練り梅が添えられていた。白い飯がとにかく二人には極上に感じられた。
「飯が美味いっす。コンビニ飯やら外食だと炊き立てのご飯なんか食べられないんで」
「東北は米が美味しいからね。お代わりは自分でよそって」
「いただきます」
「どうして、土市さんと一緒に組んでるの?」
拓が突然聞いた。ご飯が美味しく、とてもすずりが土市と一緒に悪いことをするような人には思えなかったからだ。
「あのタコ野郎には借りがあるのよ」
小皿の出汁に小さく口を付けてすずりが言った。
「子供の頃に助けてもらったの。お母さんが死んだ時、あたしは逃げたんだけど、その肩代わりをしてくれたのよ」
佐田がギョッとした顔をしてすずりを見た。
「すずりさんが殺したんですか?」
「んな訳ないでしょ」
すずりがギロリと佐田を睨んだ。
「あたしが人殺しをするように見える?」
「見えないです」
拓と佐田が声を合わせて言った。
「お母さんは病気だったの。精神的な。お父さんと別れてから特に悪化しちゃってね。あたしに依存して、束縛も激しくて、何一つ自由のない子供だった」
◆
母が首を吊った部屋はそのままにして、ガムテープで外から目貼りをした。動かなくなった空中にいる母を見て、大変な事が起きたとすずりは理解したが、大声を出すよりも先にした事はそれを自分から見えなくする事だった。脚立を持ってきて、それに乗ってガムテープで隙間を綺麗に塞いだ。
数日経つと、羽音がドアの向こうから聞こえた。無数の羽音だ。数えきれない程の蠅が孵化し、ドアを叩いた。すずりには何が起こっているのか分からなかった。恐ろしい音がするだけだ。
呼び鈴が押され、勝手に合鍵を開けて入ってきたのは「おじさん」だった。頭がつるりとしていて、タコみたいな顔をしていて、酒に酔うと母を殴ったり、蹴ったりした。すずりには優しかったが、よく覗き込んでみると、その目の奥は冷たい海をすずりに思い起こさせた。
「すずりのお母さんはどうした」
黙って指を指した先を見て、土市は全てを理解した。
◆
すずりの舌が佐田の口を割って入って来た時、女子の舌は小さいんだと佐田は思い出した。小さくて少しザラザラしている。唇はリップクリームの味がする。
三人とも全裸で、それは突然始まった。食事の後片付けを拓と佐田が受け持ち、その間すずりが風呂に入った。「お湯を使って食器を洗ったら、殺すわよ」としっかり釘を刺されて。玄関から二つ目のドアが寝室で、拓と佐田はベッドの上と床に座って、すずりの風呂上がりを待った。二人とも言葉少なく、これから先の事が全く分からなかった。三人で、する?
拓は唇を重ねている二人を眺めていた。
再び拓のデエダラボッチが燃えるように滾った。
「小野寺君も参加しなさい」
貪られるように胸を吸われながら拓が命令された。
「あたしの首とか耳とか、何でもいいから触ったり舐めたりすればいいでしょう」
◆
佐田が下から入れて、拓は口を受け持った。
すずりはまるで、一つの棒に貫かれているようになったが、全然苦しそうには見えなかった。佐田が突くと上に動いたすずりの口に拓が飲み込まれ、湿った粘膜の音と荒い息が交互に部屋を支配した。
「もうイキそっす」
「中はダメよ」
佐田が腹に勢いよく出した。拓は仲がいい佐田がすずりと交接している様子をみて今までにないくらい興奮していたし、すずりはそれで喉までいっぱいになった。
「次は小野寺君ね」
冷静にすずりが指示を出したが、いざ拓が入れると、数回ほどの出し入れでとてつもない波がすずりを襲った。
「ちょっと待った」
「うわ、すずりさんエロいっす」
態勢を入れ替え、お掃除を中断された佐田が言った。
「拓、もっとやったれ」
拓は頷いて、またゆっくりと動いた。
すずりが今までにない大きな声をあげる。
「何だか傷つくなぁ」
そう言いながら、すずりの痴態にまた硬くする佐田だった。
◆
三人は狭いベッドで、遅い朝まで眠った。
狭いベッドだったので、寒い冬の朝も暖かかった。真ん中にすずりが眠った。拓はまた自分が硬くなっているのに気付いて、そのまま無遠慮に覆いかぶさると、湿ったままのすずりに入った。
「何だよ拓」
寝ぼけた佐田が起きた。
「朝からおっ始めるなよ、犬か」
しかしすずりも寝ぼけたまま受け入れ、そのまま佐田も当然のように昨晩の続きを担う事になった。
◆
三人のそうした共同生活はしばらくの間続いた。
ほとんど全裸で暮らし、食事と排泄を別にすれば、ほとんどの時間をセックスに費やした。暖かい家の中で、食事の支度をしているすずりの後ろから入れたり、眠っている佐田のを面白半分で咥えたり、三人で風呂に入って洗いあいをしているうちにめちゃくちゃになったりした。
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