作中の用語

 物語に登場するキーワードを中心に、できるだけ簡潔に解説します。


 導きの日――タイトルにもなっている最重要ワードですね。同じ単語ですが、空と大地では意味が変わってきます。空の世界では、満20歳となった男女に神様がパートナーを選出するイベントとして描かれています。神様が結婚の相手を導いてくださるという意味での「導きの日」です。

 大地の世界では、満15歳となった健康な男女を選定し、神様の御下へと奉公に行くことが許可される、という宗教を使い、高エネルギー体として改良された人間を燃料にするために呼び集めている神様の嘘です。神殿が神様の御下まで導いてくださるという意味での「導きの日」です。


 統一祭――たしか作中では50年周期で開催される盛大なお祭りみたいな感じで表現してました。ある意味じゃ、導きの日よりも物語の鍵となるような用語だったかも。

 一応、ネタ出しのプロット的なアレには、「統一祭……旧時代の神々(宗教による概念的なモノ)を排斥し、AIにより【神様】の存在を再定義させ、新世界の秩序として神を宣言した年を元年とした祭事」と書いてありました。たぶん、文字数の関係でカットしたのでしょう。なかなか当時の私も考えてますね。設定モリモリしちゃってます。


 神様――空と大地とも同じ神を信仰しています。神の中身は人間の手をとうの昔に離れたAIで、世界を運営する役目を担っています。空の世界では、統治者として人間に認識されているので、どちらかといえば神様よりも総理大臣とか大統領みたいな感じでしょうか。

 大地の世界では、未だに概念的な存在として認識されてます。中身が変わろうと、神様を文化の象徴として捉えているのなら、その文脈は歴史の中で途絶えますしね。

 ちなみに第一章の最後らへんでエリンが特別な島の林檎を頬張るシーンがありますが、あれはアダムとイヴという意味もありますが、林檎マークの会社が世界を牛耳ってしまった後の世界線という意味での隠喩メタファーだったりもします。完全にウラ話。


 細かなアレコレ――空の世界では自分たちを人間だと定義し、大地に住む人間を「獣」と呼んでいます。それは、神様にそういう生き物がいると教わっているから、そう信じているのです。大地の世界でも自分たちを人間だと定義し、空に住んでいるのだろう者を便宜上「天上人」と呼んでいます。これには、神話や伝承、おとぎ話の意味合いが強いです。

 大地を覆い尽くす六角形のソーラーパネルと発電所と送電するテスラシステム。画期的すぎて世の中に浸透しなかったニコラ・テスラの電気システム。都市伝説とか好きなら知ってるはず。その発電所に燃料である大地の人間を集めるために神殿と騙って運営しています。本当は屠殺場みたいなニュアンスを出そうかなとも思ってましたが、なかなかにエグい表現だと思い少しだけボカしました。

 ちなみに言うと、発電所(神殿)の美しいシンプルな円錐形というのも林檎マークの会社のコンセプトをオマージュしてたりします。もしかしたら各発電所の名称にも「i」が付いてるかもしれませんね。笑


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