第11話

カナタの部屋には何も無かった

それはまるで生活感のない空間だった



「普通、生活するなら必要最低限の物があるはず、だが何も無い。本当に住んでいたのか?」



「生活波動は僅にあるわ、何年此処に居たの?」



「10年以上は居たと思います。両親の遺産がありますから。」



《カナタ・・・》



ミサキは、不安になる気持ちを抑えた



「着いたぞ」



声に眼をあけたカナタが助手席から降りた



「何処だここ」



カナタが建物を見上げて言った。



「俺ん家」



「あ?」



「本当だよ」



扉を開けると



「あ、お帰りなさい!ミーナ!ケルスが帰って来たぁ」



「子持ち?」



カナタが走って行く子供を指さして言うと



「孤児だよ、ここは孤児院、隠れ家にはちょうど良いんだ」



廊下を歩きながらケルスが言ってドアを開けた



「お帰りケルス、ようこそカナタ・レス、初めまして俺が【紅の闇】だ」



「クレナイ?」



カナタは、鋭い眼でケルスを睨んだ



「睨むな」



「反乱軍か」



「まぁ軍人ではねぇな、反乱軍でもゲリラでもどっちでも構わない、俺は俺が正しいと思う事をやってるだけだ、正解か間違えかは分からねぇけどな」



そう言ってクレナイは微笑んだ。




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