第65話 管理者⑤
イザナクエスト⑦/帰還の条件①
報酬/無し
概要/神崎四季とディアナ・ムーサこと榊原を除く転移者たちのスキルとネテスハイムでの記憶を削除せよ。
イザナクエスト⑧/帰還の条件②
報酬/無し
概要/神崎四季から【健康】を除くすべてのスキルを削除し【隠密】を習得させよ。
イザナクエスト⑨/帰還の条件③
報酬/無し
概要/内密にクリスとディアナ・ムーサのホムンクルスを創造せよ。
イザナクエスト⑩/帰還の条件④
報酬/無し
概要/ディアナ・ムーサを確実に始末せよ。
俺たちは転移者たちが眠っている宮殿内の部屋へと移動して、リンと二人だけで今後のことについて話していた。
どうも他の者には聞かれたくない話らしい。
「なるほどね、
彼らからスキルと記憶を削除することが日本の管理者と交わした約定なのか。
しかしクリスが四季たちの乗っていたバスの運転手だったとはねえ」
「クリスは世界を渡る際その負荷に身体が耐えられずに亡くなった。
彼が望むのなら他の者と同様の措置を施し日本へと帰す。
ドットから本人にこの世界に残るかどうか確認しておいて」
「了解した。
それよりディアナ・ムーサは殺すのか?
さっき全員日本へ帰すと言ってなかった?」
「榊原……、あいつはダメだ。
神殺しという大罪を犯している」
話し合うことは大体こんなところだろう。
だが俺には気になることがある。
「ところで、
クエストに報酬が無いのはなぜなのだぜ?
すべてのスキルを習得するのにまだまだSPが足りないのだが?」
「ドットはまだわかっていないようだね。
何度も言うが賢者の石に不可能はない。
スキルなど創れる。
私は【スキルクリエイション】という便利スキルがあるので、
そんな面倒なことはしないけど」
「やっぱり面倒臭いんじゃないか!
クエストの報酬でそのスキルをよこせ!」
「はあ、わかったから落ち着けって。
私は用事があるのでスキルを先に渡しておくよ」
「さすが我が相棒のQちゃんだ!
それじゃあ戻ってくるまでに準備はしておくねー」
俺は前報酬として【スキルクリエイション】を貰い彼女が転移していくのを見送った。
▽
私は都内某所へと降り立った。
直接日本の管理者の元まで飛ばなかったのは、彼の気配が感じられなかったからだ。
「まさか賢者の石を取引したのが露見して粛清されたか……。
もしくは……、原初の世界とやらに渡ったか……」
思案しているといつの間にか周囲の時間が止まっていた。
その中で平然と歩きながら近づいてくる男がいる。
「やあ、一体どこから入り込んできたんだい?
ここは君のような者が居ていい場所ではないよ?」
飄々とした優男だが牽制のため向けてくる圧が尋常ではない。
「ハンゾウに会いに来たのだが彼はいないのか?」
「ほお、僕の前任者を知っているのか。
ということは君が猶本凛だね。
彼から話は聞いているよ」
「なら彼と交わした約定はまだ有効という認識でいいの?」
「そういうことになるかな。
ただ、僕のほうからも条件を一つ付けたいが構わないかい?」
どうせあれが欲しいのだろう。
私はストレージから賢者の石を取り出し渡す。
「話が早くて助かるよ。これで交渉成立だね」
「次に会うときには他の者たちも連れてくるからよろしく頼む」
満面の笑みで手を振る彼に別れを告げ飛ぼうとしたが思いとどまる。
「ハンゾウはどうしたの?」
「彼なら上の世界へ渡ったよ」
私はネテスハイムへと転移した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます