第32話 ゴブリンの森のダンジョン①
「百層より下でハイゴブリンを狩ればあっという間です」
ナデシコは事も無げにいったが、当時Lv100越えのヨルでさへ苦戦した相手である。
シスターズに触発されてレベル上げを再開したヨルが、最近になってようやく安定して狩れるようになったぐらいだ。
それをレベルが二桁の時点でハイゴブリンを相手にしていたという。
固有スキル
縮地Lv6/10
属性消去Lv- 対象の魔法から属性を消し去る
不壊Lv- 物理ダメージ無効
房中術Lv-
職業スキル
統帥権Lv1/10 自らの指揮下にある者の能力を底上げする
一騎当千Lv6/10 一人で多人数を相手にする際自身の能力が大幅に上昇
スキル
槍聖Lv5/10
剣聖Lv2/10
体術Lv3/10
立体機動Lv2/10
身体強化Lv4/10
敏捷強化Lv4/10
高速演算Lv3/10
生活魔法Lv-
「たった三日でLv169……」
「これではまだまだ足りませんよドット様。
少なくともスキルレベルを上げきるまではレベル上げを続けます。
この国のSランク冒険者のなかにはLv1000越えの猛者がごろごろいますから」
「ん?Sランク冒険者は7人しかいないのでは?」
「ドット様を含めると8名ですが実際はもっと大勢います。
現在の所在地を確認できる者が8人だけしかいない、というだけです。
人外の境地に達してしまった者は、世俗への興味が失せて行方を晦ます者が多いのです」
俺たちの会話を聞いていた皆がドン引きしてしまった。
クリスだけは俺がSランク冒険者であることも、眷属たちが高レベルであることも知っているため平然としている。
「ドット君がSランク冒険者……」
「ん、ドットはやっぱり異常。人なの?」
「これからも殿下のことを頼むぞ」
「将来はドットの世話になろうかなー」
「ピリオッド領も安泰だな」
「また新しい女の人が増えてるわ」
それぞれの感想を聞き流しさっそくダンジョン前へと移動する。
▽
「ダンジョンへ入る前に皆のレベルを教えてくれ」
あまりレベル差があると効率的ではない。
自分より格下の魔物を倒しても経験値は入らないのである。
自己申告によればニーナLv70、クリスLv69、リリアンLv66、モンドLv61、カルロLv31、リズLv26、キーラLv19だそうだ。
「大分レベル差があるんだな……。
それにしてもキーラのLvは低すぎないか?
来年またBクラスに落ちるぞ?」
「レベルが上がっても魔力量が増えるだけでしょ?
わたしは近接戦メインで魔法は補助程度にしか使わないし。
授業ではスキルレベルを上げることが強くなるための手っ取り早い方法だって習ったよ?」
高レベル組が全否定する。
「ん、それは安全に力をつける方法ってだけだよ」
「俺は子供のころから、ドットに魔力量こそパワーだと散々言われてきたぞ。
言葉の意味はよくわからなかったが、最近少し理解した」
「スキルを使うのにも魔力を消費するからあまりにも少な過ぎると戦えない。
高レベル同士の戦いだと常にスキルを発動しているからな」
「殿下の仰る通りです」
総魔力量が増えるということはスキルを多く使用できるというだけではない。
一度に注げる魔力が増加すれば魔法やスキルの威力も上昇するのだ。
わかりやすいように魔球で例えると、レベルが低い頃は野球ボール大のものしか作れなかったが、今ではフジテレビ社屋のあの丸い部分(イメージです)程の魔球も作成可能である。
それくらい総魔力量を増やす、本体Lvを上げることは重要なのである。
キーラは真面目過ぎるあまり、授業で習ったことをそのまま信じてしまったのだろう。
教師がそう教えるのは、無理なレベル上げをされて事故が起きるのを恐れるためだ。
ようは責任問題を回避するために安全策をとらせているわけである。
現に魔術科では、十分にスキルレベルを上げてから実践へ移るようにカリキュラムが組まれている。
これはソロまたは少人数でのレベル上げに際して近接職よりも危険が伴うためだ。
「そうだったのね……」
「ま、まあ、早めに気付けて良かったじゃないか」
これからダンジョンへ潜るというのにキーラが落ち込んでしまった。
『PTを二つに分けるしかなさそうですね』
(俺が低レベル班を見るとして他はどうするか)
「高レベルの班は私が護衛します。
私の指揮下のもとでレベル上げをさせましょう。
そうすれば職業スキル【統帥権】の効果により彼らの能力も上がり危険度も下がります」
ナデシコの案を採用して二つのPTに分けた。
ニーナ、クリス、リリアン、モンドPTと、カルロ、リズ、キーラに俺を加えたPTだ。
▽
ナデシコの要望に応えて、聖剣エクスカリバーとその代わりに作ったミスリルソードを交換する。
そのついでに皆にも武器を作ることにした。
クリスとリリアンにはミスリルソードとアダマンタイトロングソードを以前作ってあげている。
他の者に金属の特性を説明し希望の武器を聞いて、それぞれ作った端から渡していく。
ニーナにはミスリル製の短剣を二本、モンドにはアダマンタイト製の剣と盾、カルロにはミスリルハルバート、キーラにはミスリル製の剣とアダマンタイト製の丸盾をわたした。
そしてリズには魔法職にとって垂涎物の総ミスリル製の杖だ。
ミスリルとアダマンタイトはともに産出量が少ないため高額で取引されている。
魔法を発動するときの補助具として使われるのは、余程の大富豪でもない限り精々ミスリルのリングやブレスレッドがやっとである。
彼らが渡された武器は、大貴族家に代々家宝として受け継がれていくような代物なのだ。
「こんな高価なものをもらっていいものかしら……」
貧乏貴族のキーラはそんな武器を受け取って戦々恐々としている。
友情の証だと無理矢理納得させて俺たちはダンジョンへと足を踏み入れた。
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