第15話 進級

 ヨルを送り出してからそろそろ一年が経とうとしている。


 彼女とはそれ以来あっていないが、指示通り24時間戦い続けている。


 以前学園の敷地内にある初級ダンジョンに幽霊が出ると騒ぎになっていた。


 ヨルはレベル上げの狩場にダンジョンを選んだようだ。


 闇と影から生まれたせいで暗いところを好むのだろうか。


 俺とヨルの間には魔力を媒介にパスが通されているのでわかるのだがかなり遠方だ。


 方角からして帝国領のおそらくダンジョンだと思われるが、そこから俺に経験値を送り続けてくれている。


 一年経った俺のステータスは以下の通りだ。


ドット・ピリオッドLv50//人族//錬金術師

固有スキル

 クエストLv-

 譲渡Lv-

 万能細胞Lv-

 イザナ因子Lv2/10

職業スキル

 錬成Lv9/10

 ゴーレム作成Lv10/10

 造形Lv6/10

 付与Lv2/10 NEW 付与可能数はアイテムのレア度および体積に比例する

 腐蝕Lv1/10 NEW 物質を劣化させることができる。生命活動中のものに対しては効果が薄い。

スキル

 火属性魔法Lv2/2 NEW

 水属性魔法Lv6/6 NEW

 風属性魔法Lv3/3 NEW

 土属性魔法Lv5/5 NEW

 魔球Lv10/10

 投球術Lv3/3

 打撃術Lv3/3

 投擲術Lv10/10

 棒術Lv10/10

 剣術Lv2/2

 身体強化Lv5/5 NEW

 敏捷強化Lv5/5 NEW

 隠蔽Lv10/10 NEW

 気配遮断Lv4/4 NEW

 気配察知Lv4/4 NEW

 苦痛耐性Lv10/10 NEW

 毒耐性Lv10/10 NEW

 Q&ALv-

 暗視Lv- NEW

 全集中Lv-

 生活魔法Lv-

 視点切替Lv-

 自動照準Lv-

 自動追尾Lv-

 浮遊Lv-

未使用SP1


 本体Lvも50となり100SP以下で習得可能な武器スキル以外のものは大抵覚えた。

 他にも多数あるのだが必要に迫られたときにでも適宜覚えてゆけばいいだろう。SPもほぼ無くなったし。


 職業スキルに関してはLv50到達時に何も覚えなかったのでこれで打ち止めのようだ。


 結局【鑑定】と【収納】は覚えることが出来なかった。


 一応コモンスキルで習得可能なのだが消費SPが多いので現実的ではない。


 (それにしてもさ、イザナ因子キャリアのスキルは進化しやすいんじゃなかったの?

 【ゴーレム作成】が進化しなかったんだけど?)


 二年進級時のクラス替え戦を観戦しながら愚痴る。


 クラス替え戦は上のクラスの成績下位者と下のクラスの成績上位者によって行われ、たった十しかない席をめぐって争われる。


 当然俺やクリス、リリアンは参加していない。


 『【ゴーレム作成】はもともとが上級スキルであるためでしょう』


 (あと最後に覚えたスキルが【腐食】ってどうなの?

  物を作ってこその錬金術師でしょ)


 『作るだけ作って壊さないというのは無責任です。

  死を理解できない者は何も生み出せないということです』


 Qちゃんが意味の分からないことを言っているうちにクラス替え戦は終了した。


 結果はAクラスが圧勝してBクラスに落ちた者は一人だけだった。


 だがAクラスへと上がってきた者は二人いる。


 一人はクラス替え戦の勝利者である眼鏡美少女のキーラ・スウィートハート。


 もう一人はBクラスで最も優秀な成績を修めていたモンド・ラスシェリーだ。


 彼は二年進級時に騎士科から魔術科へと転科することが決まっていたハンスブラント・トーレスの代わりである。


 モンドは入学直後に行われた模擬戦で、戦わずして負けを宣言したクリスの対戦相手だった者だ。


 こうして新しいクラスメートを迎えた俺たちは二年生へと進級した。







 二年になってもやることはあまり変わらない。


 授業は午前で終わり午後からは自由だ。


 「なあドット、お前もたまには俺たちと一緒にレベル上げしようぜ!」


 クリスとリリアンはよくつるんで狩りをしている。


 俺は訓練には付き合うが一緒にレベル上げをしたことがない。


 というのも二人のLvはまだ20代前半で俺とは狩場が合わないのだ。


 「んー、俺は錬金術のスキル上げを続けるよ。

  錬成Lv9になって大分経つからそろそろ上がると思うんだよね」


 「錬成スキルはLv9が限界値よ」


 キーラ・スウィートハートが突然会話に参加してきた。


 「たしかに授業ではそう習いましたね」


 -と、もともとクリスの従者兼幼馴染であるモンド・ラスシェリーが補足する。


 こいつは基本クリスの側で控えている。


 「授業のことはほとんど聞いてないからよくわからないけどそれは間違いだよ。

  すべてのスキルの成長限界は10と決まっている」


 世間では、スキルの進化がLv10にならないと起きないため、それが成長限界では?と言われているだけで確定しているわけではない。


 しかしこの世界で唯一スキルポイント制が採用されている俺はそれを知っている。


 「なんでそんなことがわかるんだ?

  ドットは鑑定系スキルをもってないだろ?

  まあ鑑定の上位スキルである鑑定眼でもわからないらしいが」


 俺と付き合いの長いリリアンが疑問を口にする。


 「リリアン、昔さ、自分には剣術の才能がないと言ったのを覚えてる?

  俺がそう断言したのはね、

  スキルの成長限界が見えるスキルを持っているからなんだ。

  もっともそれを証明する術はないけどね」


 皆が驚き顔でこちらを見ている。


 自分のスキルの成長限界がわかるというのは相当なアドバンテージである。


 資質のあるスキルに絞って訓練できるため無駄な時間を過ごさずに済むからだ。


 同じ転生者であるクリスにはある程度話してあるため一人だけうんうんと頷いている。


 「というわけだから俺はもう行くねー」


 余計な詮索を避けるために早くこの場を離れよう。


 俺は教室を後にした。







 冒険者ギルドでオーク肉を卸した帰りに鈴蘭亭に寄る。


 この宿の一室を年単位で借りているため帰るといってもいいかもしれない。


 クリスとは同郷の者で気が合うといっても、やはり相部屋ではストレスが溜まるので借りているのだ。


 「しかし錬成スキルは上がらないなー。もうずっと9で止まったままだよ」


 ベッドに横たわりスキル【造形】で鉄の塊をぐにゃぐにゃさせながら呟く。


 『錬成Lv9以上は賢者の石でしか上げられません』


 「え!?」


 Qちゃんがとんでもないことを言い出した。


 


 


 


 







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