第9話 イザナクエスト/王都へ
クエスト/街の守護者
報酬/SP3000
概要/
クエスト/ハーピー討伐
報酬/1SP
概要/ハーピーを10体討伐せよ。
今回の
10SPを使って【球拾い】を習得する。
俺の覚えることのできるスキルの大半が、こんなしょうもないもので占められている。
【球拾い】や【マッサージ】【(グラウンド)整備】【(道具)磨き】【草むしり】が並んでいるのを見ると、高校一年当時の野球部の嫌な記憶が蘇る。
ちなみに【草むしり】は二つあり、もう片方は前世の職業である桃農家のスキルだろう。
話がそれたがなぜ【球拾い】を習得したかというと魔石を拾うためである。
城壁の内外問わず辺り一面ハーピーの魔石だらけなのだ。
死体が消えたことから
疲れ切っている冒険者の代わりに、その役を俺が一手に引き受けようというわけである。
というのも、俺たちは街に飛来したハーピーの群れを撃退したに過ぎず、
第二陣が襲ってくることを想定すれば、魔石拾いなどしている暇はない。
冒険者ギルド入り口前で【球拾い】を発動させる。
すると魔石のほうから勝手に俺へ集まってきた。
その異様な光景にギルド職員や冒険者たちから奇異な目で見られるが気にしない。
俺にはまだしなければならないことがあるのだ。
城壁の上へ風球で飛び上がり遠方を見やる。
(あれってイザナ因子キャリアだよね?)
ここからではただの点にしか見えないが確かにまだ一体残っている。
『はい。覚醒者ですね』
「ドット君、大活躍だったそうだね」
意識を取り戻したゲイルが奴の気配に気付きここまで上ってきたようだ。
「それはゲイルさんでしょう?」
ゲイルがハーピーの群れを半数以下まで減らしていなければ、エイデンの防衛は不可能だったのだから。
「で、奴は動かないようだね。遠いけどこっちから出向くしかないか」
「ここは俺がやります。ゲイルさんはまだ体調が万全ではないようですし」
ゲイルの放った武技は魔力だけでなく生命力も消費するようで、まだ立っているだけでもやっとのはずだ。
「……、あいつは覚醒者だよ?」
「まあ見ててください。だめならゲイルさんにお願いしますから」
もちろん俺の最大の武器である魔球で片を付ける。
魔球を【自動照準】と【自動追尾】にのせて投げればこの距離でも届くだろう。
だが相手との距離が離れるほど魔球は減速し威力も落ちる。
なので500SPを消費して投擲術を覚えLv10まで上げた。
そして魔球を握りしめる。
「トルネード投法」
【トルネード】は投擲術で覚えた武技である。
※余談だが投球術で覚えた武技は【カーブ】の一つだけだが、意味がないので使っていない。
大きく振りかぶると俺の身体は旋風に包まれた。
左足を上げてこれでもかと身体に捻りを加える。
緑色の魔力は唸りを上げ、流れるような投球フォームに沿って右腕に集約していく。
魔球は旋風の推進力を加えられ俺の指先から放たれた。
遠くでパンと乾いた音がしたと思った直後、上空にあった点は静かに落下していった。
『クエスト/イザナを達成しました』
(は?)
クエスト/イザナ
報酬/無し
概要/覚醒者を討伐して己の力を示せ。
(報酬無しかよ!)
こうしてエイデン防衛線の幕は閉じた。
▽
ヴォロフ帝国との国境では屈強な辺境伯軍が魔物の群れを殲滅し凱旋を果たした。
ここで一つ問題が起きた。
俺が討ち取った覚醒者が魔物ではなく人だったのである。
鑑定の結果その者は魔物使いの職業であった。
つまり今回の
辺境伯である父からその報告を受けた王国が帝国に問い質すも知らぬ存ぜぬの一点張りであったという。
覚醒者が既に死亡しているため王国側はそれ以上の追及を諦めざるを得なかった。
もともと休戦中であった両国はその後戦争を再開するのだが、それはまた別のお話である。
▽
月日は流れ、俺は王都の学園に通うことになる12の歳を迎えていた。
ザラマート王国の貴族の子弟は全寮制のその学園へ入学することが義務付けられている。
そして、俺は現在王都へ向かう旅の途中である。
貴族の移動は主に馬車が使われるのだが、もちろんそんな物には乗っていない。
飛んだほうがはるかに速いし、入学する前にしたいことがあるのでなるべく早く王都へ行きたいのだ。
クエスト/イザナを達成すると新たなクエストを受注した。
そう、イザナは連続クエストだったのである。
イザナクエスト②/王都へ
報酬/1000SP
概要/王都へ向かい聖遺物を入手せよ。
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