第05話 呵々大笑

「あの連中を……どうやって?」


「連中とは、予備校生から金銭を巻き上げようとしていたところを駄犬に邪魔されて激昂し大乱闘ハイスクールウォーズ状態になった、北高不良キタコーヤンキーのことで宜しくて?」


「ああ」


「駄犬がふたり倒した程度でバテてしまうものですから、仕方なしに残りは私が始末しましたわ」


「始末て」


「あら嫌ですわ。あんな愚昧どもの血で手を汚すはずがないでしょう? 軽く投げて差し上げただけで脱兎の如く、でしたわ」


「……よっ、と」


 俺は全身の痛みを無視して起き上がる。今度は南天城みなみあまぎも止めなかった。立ち上がり、座った彼女の全身を上から下まで眺めると、思った以上に彼女の体のラインは華奢だった。背が高い分殊更ことさらそう見えるのかもしれない。


淑女レディの体を不躾に見るのはマナー違反よ、駄犬」

「すまん。アンタ、武道か何か修めてるのか? じゃなきゃ連中をああも簡単にあしらうなんて」


 俺の言葉に南天城はぷっと吹き出した。

 余程よほど面白かったのかけらけらと笑い、目尻の涙を拭ってから、


「私の噂はご存知でしょ? だのに武道だなどと仰るの? ――魔女の得手えてでしょう」

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