第3話ハピポより…
場所は、ハピポダウンロードから数日が経ち、高校の3時限目の終わりの休憩時間。
少しずつだが勇樹もハピポの貯め方がわかってきた。
良い事をすれば、スマホにお知らせがくるのだ、その点はわかりやすい。
だが、これはかなり良い事しただろと会心の想いだった事でもお知らせが来ない事がある。
たかしが言っていた「恩着せがましい」というやつか?
もしかして、相手に確認したのがいけなかったのか?
うーん
勇樹は考え込んだ。
「…でっかいポイント稼ぎないかなぁ。」
たかしがその言葉を聞き逃さなかった。
「…おいおい。そんなんじゃ、ポイント貯まらないぞ。ハピポのコツは『日常生活でコツコツと』だぜ。」
諭す様にいうのがまた、ムカつく。
「どうせ、それも攻略サイトの受け売りだろ。」
たかしは、答えず、勇樹をじっと見つめる。
考え込むような素振りを見せ、ため息をつく、そして、後ろを向くと上半身だけ振り向くと言った。
「正解!」m9( ゚Д゚) ドーン!
「スッと答えろよ!」
勇樹とたかしの日常風景だった。
4時限目の終わり、担任が
「今村勇樹、昼飯済んだら職員室に来い。」
と、指名された。
「勇樹、何したんだよ!終わったか?終わったな?勇樹の人生終了だな?」
たかしがはしゃぐ。
「マジ意味わかんねぇー!最近大人しくしてんじゃん俺!」
勇樹もおどけてみせる。
「早く飯食って職員室行けよ。」
クラスメートにツッコまれたので二人は大人しくなった。
昼食後の職員室。
「ここのところ休んでたクラスの沢村はるかが、やっと退院らしくてな、週明けから登校してくるそうだ。お前、幼馴染で家が近所だろ?」
「はい。」
「様子を見て当分は一緒に登校してやってくれ。何かあった時の事を考えて。」
「…わかりました。」
素直に応じると職員室をでた。
沢村はるかは小学生からの同級生だ。
小さい頃から病弱で、専門の病院がある、うちの街に小学校から引っ越してきたそうだ。
目が大きく細身でそして、美人。
勇樹の初恋の相手だった。
今も、その胸に淡い気持ちは残っている。
高校が同じになったので浮かれていたが、最近、病気が悪化してはるかは入院して学校に来れていなかった。
「よし、明日からはるかと一緒に登校だ!」
病気は心配だが、一緒に登校できる口実が出来て喜ぶ勇樹だった。
「お、おはよう。」
久しぶりに会うはるかはやっぱりかわいかった。
透き通るような白い肌がまぶしい。
「おはよう、勇樹君。」
「病気、大丈夫か?」
早速、気を使わず、聞く勇樹。
「うん、だいぶ良くなったから。学校楽しみにしてたの。」
「あ、鞄持つよ。」
はるかが答える前に鞄をもぎ取るように奪った。
「自分で持つよ?」
「いいから!今は自分の体の事を考えろよ。」
「ありがとう。」
笑顔で答えるはるか。
ピロン
ハピポのポイントチャージのお知らせが来たが勇樹にとって今は、それはどうでもよかった。
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