第34話『VSジュナ』


デンカがあっさりと捕まったので、第一試合のルナは自ら棄権した。それもそうだろう。もう戦う意味は無いのだから。雷達もそれを受け入れた。


「……終わったか」


「そうだな。……さて、ルナは?」


ルナ自体は問題ないというようであった。むしろ取り乱す事無く、自らの足を使って堂々と帰っていく。その目には涙を浮かべながら。


「彼女は問題ないようだったよ。……一応俺の勝ちって事になったが。……何か虚しい最後だったな」


結局捕まった後の事は知らない。デンカとか言う女が何者なのかもよくわからないし、どうでもいい。ただそれだけであった。と言う訳でそいつらの事は無視して二回戦目を考える事にしたのであった。相手はあのジュナ。前回戦った時には何だかんだ強敵であった相手。


「あぁ。少なくともあのデンカ?とか言う女がどうなるかはしらねぇけどよ、……罪にはなるだろうな。さぁ二回戦だ!相手はジュナだぜ」


「……今回はあの一点物で来るのか。……ヤバいくらいに強いだろうな。間違いなく」


しかも前回はスペルと言う一般機であったが、今回は一点物である。恐らく本気度マックスであろう。間違いなく強い事だけが理解できる。それだけであった。


「あぁ。前に戦ったことがあるが……それでもまぁ強かったからなあいつ。……今回はもうシャレにならないくらいの強さだろうよ」


「しかしこちらも一点物だぜ?って事は五分五分って訳よ。……行くか」


しかし奴が一点物を使用するという事は、こちらも使うという事でもあった。憐は機体自体の性能は五分五分と考え、後は自分次第だと話すのであった。そしてこれだけの事があったが、ルナの頼みにより続けることとなった。


『いやぁ……何と言いますか……ちょっとトーナメント再開する事出来るのか迷ったんですが……することにしました』


『はい。彼女は大丈夫だと言っていましたよ』


正直なところ、本当はやるべきではないのだろう。しかし本人である彼女がそう言うのだ、続けない訳にはいかないのだ。


『……正直、大丈夫だと行った時、本当に大丈夫かと思いましたが……それでも、いいと言っていました』


『……ですから私達はただ解説するだけです。行きましょう!第二回戦です!』


空元気に話し合うナレーター二人。そして闘技場では雷とジュナが話し合っていた。お互いに大分慣れているので、さっさと二人で話すことにした。


「よぉジュナ」


「やぁ雷」


一応まだ戦闘のゴングはなっていない。と言う訳で二人はさっさと話しあう。正直戦闘することには問題が無いが、それ以上に何となくだが出会い続けている為にやりづらくなってしまった。


「いやぁ……俺らアレだなぁ……まさかここで戦うことになるとはなぁ……」


「そうだね。君がここに来る時を待ってたよ。正直」


気さくに会話している二人であるが、もう既に一触即発である事だけが互いに理解できるだろう。笑顔で会話しているが、内心は早く戦いたいという気持ちでいっぱいだった。


「俺もだ。……さぁ、行くぞ!」


「これが私の一点物!……その名も『エンド・オブ・ザ・ワールド』!長いからワールドでいいよ」


彼女が着たスーツは、緑色で全身に銃をあしらった物であった。接近戦も出来るようにスマートに作られており、確かに前の奴とは格が違うと言うような物であった。


「らしいな。……んで?どんだけ強いんだお前のそれは?」


「滅茶苦茶強いよ……!何せさっきの奴を全部見てたからね!」


「……マジ?」


先程のアレを全てみられていたというのだ。という事はアレが始まってから全部見ていたのである。……少なくともかなり早くから始まっていたのだ、どうあがいてもすぐに終わらせなくてはこうはならないだろう。それは見ていたと伝えると同時に、もう一つ重要なことを教えていた。要は早く終わらせたのである。


「うん。よくわかんないけど大体分かったよ。……後スラム出身って事は知ってたよ」


「あ、マジ?」


正直気さくに話しかけてくるなと考えていたが、まさか知っているとは思っていなかった雷。しかしどうして知っているのだろうと考えるが、それを聞こえないくらいに小さな声で話すジュナ。


「うん。……って言っても覚えてないと思うけどね……」


「え?なんじゃそりゃ?」


聞こえなかったのであれば問題ないと言うように、銃を構えるジュナ。


「今は良い。……さぁ始めようか!」


このの戦いの前、雷と憐はとある会話をしていた。それはジュナの専用機の話である。はっきり言ってアレはかなりヤバいのである。一応設計した奴に心当たりがあるが、それは今言わない事にした。そしてこれが何なのかを話していくことにしたのであった。


『奴の機体は中々ヤバイな、一言で言うなら近距離ガンカタ特化型の機体って訳よ、……さて、今回もヤバいことに銃がえげつない程使われるようだ。ちょっと聞いてたんだけど、まぁ……うん。GGの銃の店が一切無くなるって言う事件が起きちゃったみたいで……』


「成程……え?ちょっと待って?何それ?」


店内にある銃は少なくともかなりの数あったはずである。それが全部買われたというのだ、つまりそれはそれを全部使ってくると言っているような物であった。そして困惑した後で、憐は結論を告げる。


『つまりヤバいって訳』


とまぁそう言う訳で今ここにいるのであった。まず間違いなく前回とは比較にならないほどの大量の銃弾が襲い掛かってくるだろう。少なくとも前回より厳しい戦いになることであろう。


「……さて、どこからくる……?」


雷がどこから銃を撃ってくるのかと身構えていると、ジュナは空に飛び、大量の手榴弾を地面にばらまいていく。銃弾ではなく爆弾を投下してきたジュナに驚愕しつつも、その爆撃を避けいったん離れる雷。


「爆撃!」


「あっそう言う!?」


大量の砂塵が舞い、辺り一面がすっかり見えなくなってしまう。そして砂煙が晴れると、そこには大量の銃が地面に突き刺さっていた。


『手榴弾による攻撃だーッ!これはヤバイ!辺り一面が砂煙でおおわれていきます!』


最初から本気モードであった。既に何本化の銃を持っているジュナ。早速弾丸をばらまき、雷へと攻撃していく。


「……さぁ、本気でやり合おうかぁ!」


「……だったら来やがれーッ!」


意を決したように立ち向かう雷。銃弾を弾きながら真っすぐジュナの元へと迫っていく。そして遂に二人の拳が交差するのであった。



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