第21話「ルール確認と……修行?」


「大会まで一週間を切ったぞ!という訳で確認しておくからな!」


デカい大会まで一週間を切ったので彼らはルールやら何やらを確認していく。そんな中、完全に最終調整が終わったので改めてルールを確認していた。


「よしじゃあ確認するか……!」


そんな中、一人明らかな部外者である太陽は自分がここにいていいのかと困惑する。憐は完全な部外者であるがゆえに話していても問題ないと判断したのである。


「……わしが聞いていていいのか?」


「ん?あぁ、問題ねぇよ別に」


太陽はそれを聞いて、その場に座って話を聞くのであった。


「そうか……」


三人が適当におやつを食いながら、憐の話を聞いていく。一応憐はおやつを食べている間は喋らなかったが。それはそうと今回の大会、実はかなり長い大会で、何と一週間もの間があるのである。なぜそんなに?と思うだろうがデカい大会なのだ、このくらいはある。


「さて、まず一つ確認することがある。今回の大会は長い。実は一週間の期間があるのだ」


「……そんなに?」


ついでに彼らは一週間もそのトーナメントが開催されている場所にいなければならない。これは厄介である。ここで雷が気になったのは、一週間もの間家とかあるのか?という事であった。そう、家やら食料やらの話である。


「あぁ。そんなにだ。……んで、まぁ当然一週間も俺らは拘束されるって訳ね。分かるか?」


「そうか……家とかは?」


それに関しても問題ないと話す憐。大丈夫だと言いながらも、今回の大会はかなり厄介な物である。何せ初めての大会であるがゆえに。ちなみにパーツを売っている店もある。そう言う事らしい。


「寮がある、それにちゃんと店もあるんだ、少なくとも機体がぶっ壊されて困るってことはねぇ。幸いあの父親の店は無いからな……珍しく」


「そうなのか?」


久しぶりに父親から解放されたという表情をする憐。とは言え二人は何も考えない。それを聞いたところで何も無いからである。まぁそもそも二人共影に暗いところがあるのだから。他人の影に無理やり勝手に入るほど、彼らは阿保ではない。憐も何も聞かれないのでそのまま続けていく。


「あぁ。あの店は厄介な奴が多いんだよな。……まぁそんなわけだから基本的に誰も信用してないよ、あいつらは」


「信用してない信頼か……まぁそう言うのもあるんだろうな」


とりあえずそう言う事なのだろうと判断し、そのまま話し合う。今大会は全く知らないルールであった。まず四つのトーナメントに別れ、そこで優勝者と準優勝者の二人が完全に決勝に進むことが出来る。つまり一トーナメントから二人が出場するのだ。


「さて。今大会基本的に前半と後半に分かれててな、前半で主力の選手を決めて、ンで後半でトーナメントって訳。……ちなみに前半で負けても、活躍すれば後半戦に行くことが出来ることもある。……まぁ勝てばいいけどな」


「そうか……よし、勝てばいいんだな!」


と勝てばいいと判断した雷を一旦止める憐。なぜなら今大会は厄介な点が一つ存在するからである。


「待てぃ。お前は物事を焦りすぎる。いいか?今回の話、実は結構厄介なのさ」


「……なんで?」


「厄介なのは賞金システムにある。そう、今回優勝すれば一千万円だ」


今大会はデカい。ひたすらデカい。そりゃもう客もいっぱい来るだろうし、経済効果も爆アドだろう。……当然優勝賞金の額もデカいのだ。そう言う事なのである。思ってもみないことに雷は驚愕する。


「……マジ?」


「あぁ。……しかし、それは優勝賞金であり、ちょっと違うんだ。そう観客の賞金ってのがある。アレだよ、ほら観客が金をくれるんだが……それが厄介だ」


全開のあのトーナメントで色々あったが賞金を手にした雷。それの中には観客から貰ったのも少なくはない。観客達は投げ銭のような物で選手を応援する、要はウィンウィンの関係であった。しかしそれの何が厄介なのだろうか?と考えていると、憐もそれに答える。


「……なんで?」


「先ほども行ったが優勝賞金だ、すぐにもらえる訳じゃねぇ。……そこで重要になって来るのがこの観客賞金な訳よ」


「……はぁ……」


雷は明らかに分かっていない。憐は何が厄介なのかを再度説明する。大会賞品は基本的に勝った後に貰える物。出場中は出来ないのだ。……ただしそんな中でも出来ることがある。そう、観客から貰えばいいのだ。


「そう、厄介なの。……ついでに言うとさ、今回オールイエロールールだからさ、機体がぶっ壊れるのはほぼ確定な訳、全部を全部作り直さない訳じゃないから安く済むんだけど……ね。ほら今金ほとんどないし……」


当然機体がぶっ壊れる前提のルールであるがゆえに今回はかなり厄介な大会になっていた。壊れるのが前提なので、死ぬほど厄介な事この上ないのであった。と、ここで大体の話を聞いていた太陽が話しかけて来た。


「……そうか……さて、どうするか……」


「……聞いていたが、そのいえろーるーるとやらは何だ?」


太陽は考えてみれば、十年間もの間あの島にいたのだ。GGを知らなくても無理はない。雷は少し考え、分かりやすく言おうとしようとする。


「あぁ爺さんはGG知らないか……あの機体で……殴り合う?」


と言う雷に、太陽は大体把握したのか、頷いていた。そしてとんでもないことを言い出すのであった。


「そうか……よし、そうであるのなら協力しよう。暇じゃしな。……ついてこい」


そう言われ手を引かれる雷。まぁしょうがないので着いていくことにすると、憐に試合への最終調整を頼む。そして彼らは山に向かうと、そこで訓練をするのであった。


「ちょっと待ってくれよ……あ最終調整頼んだぞ!」


「了解!」


ここで太陽がどんな拳法を学んでいたのかを紹介しよう。太陽は前に見せたこともあるだろうが物質破壊系の技を極めている。とにかく側と中身さえあれば問題ないのだ。恐ろしい拳法である。


「……さて、わしの技は基本的に人体破壊に特化している。……前にやったようにな」


前の船で散々食らったのだ、どれだけ脅威かは一番知っている。あのキットがなければ恐らくこの大会に出れなかっただろう。それだけヤバイ位の怪我を追っていたのだ。それでもほぼ治ってしまうというのが恐ろしい物だろう。


「うん。……散々食らったからね」


「それもそうじゃな!……では、教えよう。わしの武術の一つ『狂極流きょうごくりゅう』をな……!」


そう言い、太陽は自分の拳法を教える為に、一夜漬けのドが付くほどの粗修行をするのであった。

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