第14話『腹が減ったら肉を食おう』
さて、ここで雷と憐の二人の容姿について、簡単に伝えておこう。雷に関しては、黄色とオレンジがかかった髪の毛で、目の色は黒と白のオッドアイ、髪の毛に関しては後ろで雑に結んでおり、身長は大体168センチ程度、服のセンスは皆無であった。ンで憐に関しては、青い髪を短く揃えていて、目に関しては青一色、白目がほとんどないのが特徴。身長は159センチで、やはり服のセンスはカス以下の物。そんな彼らは今ステーキを食いに行っていた。
「なぁ、いくらまで食っていいんだ?」
そう言う雷の前には大量のステーキ皿が残っており、更に憐の前にも雷ほどではないがそこそこ量がある感じであった。とても楽しそうに肉を食っていく雷であったが、途中で流石に食い過ぎたのかと判断したのか値段を聞く。憐は大丈夫だと一言言うと、その後に続けて言う。
「いくらでも食え。しかし……よく勝ったな、あのジャックに」
「俺もそう思う。……ただ、アイツの煽り耐性が皆無だったのが役に立ったと思う」
憐は一度アレと出会ったことがある。と言うかアレの機体を作ったのは憐の父親であるから知っていた。かなりの切れ者であるが、キレ者でもあった。それ故にジャックは馬鹿にされていると感じると、すぐに手を出してしまうのである。
「まぁ煽られると相手かまわずボコボコにする奴だったからなぁ……それで捕まってたんだけどな。一年位前まで」
捕まっていたのかと呆れるが、確かに強かったことを知っている雷は、確かにと思う他に馬鹿かと呆れるのであった。
「……そうか……まぁ、勝ったからいいか!」
「そうだな!機体も後は組み立てるだけだしもう問題ないな!」
二人共大分楽観的になっている。ハイテンションに肉を食っていく二人の元に、ウエイトレスがやってくる。
「あの……お客様……」
「ん?何?」
雷が問うと、ウエイトレスは若干躊躇するように、皿を下げるかを聞いてきた。とにかくヤバいくらいに食っている二人であり、ハッキリ言って異常なほどに食っているのであった。恐ろしく思うのも無理はない。
「あ……食後のお皿をおさげしましょうか?」
「おお悪いな!じゃあ頼む!後肉追加してくんね?」
「りょ、了解しました……」
まだ食べるのかと思うウエイトレス。二人はそんな事を気にせずに残りのステーキを食い始めていく。ちなみに店内に二人以外はいない。二人の食事を見て食欲がなくなり出ていってしまったのである。当然他の店員たちも彼らを見てドン引きしていた。
「あいつらどんだけ食うんだよ……」
「もう在庫の肉が無くなりそうなんだけど?ねぇまだ残ってる?」
「一応……」
肉が無くなってきた店内。とここで彼らの話は雷のことになる。雷は今めちゃめちゃ旨そうに肉を食っており、憐は逆に淡々と肉を食っていた。とここで憐はある質問を雷にぶつけるのであった。
「というかさ、どうでもいいんだけどお前肉ホント旨そうに食うような。スラム出身だったっけ?」
「そうだが?言ってなかったっけか?」
どこかで聞いた話であると思いつつも、一応調べていた雷の情報を確認していく。それはスラム出身であるという事、そしてその中には色々な物が捨てられていたという事も理解していた。
「……調べててな。まぁいいんだけどさ」
少しだけ躊躇するようにそう言うと、雷は全く関係ないと言わんばかりに肉を食っていく。そして完食した後に、彼は自分がなぜそんなに旨そうに肉を食っているのかと説明していくのであった。
「そうか。あぁ、肉に関してははっきり言っていっつも生肉だったからなぁ……食中毒もほとんどなくなっちまったよ」
「……何で生肉?」
「焼くと煙で他の奴らにバレる。バレるとあいつら殺しにかかってくるからな」
疑問符を浮かべた憐に対して、雷はあたかも当然のように話す。それはスラム出身であれば誰でも知っていた事。不用意に火をつければすぐにあいつらがやってくる。あいつらは強く、雷も一度だけ退けたことがある物の、指を噛み千切られていて、二度と火をつけることは無かった。
「……スラムに何がいるの?」
「何かよくわかんねぇけど、二本足で人型だし人間でしょ。後肉って焼くとうめぇんだな!手が止まらねぇぜ!」
どういう生き物がスラムにいるのか分からないが、とにかくヤバいという事だけは分かる。とは言え今は普通に生きているのだ、これ以上聞いては無粋であると判断したのか、何も聞かないことにしたのであった。とは言え単純に流石に食い過ぎだろうと判断していた。
「……食いすぎじゃね?」
「お前も結構だけど?」
二人の合計はよくわからないが、少なくとも二人は牛一頭以上の肉を食っている。二人は互いにそんなに食うのか?と思っている。そして互いになぜそんなに食うのかと言う疑問をぶつけ、それに答える。
「俺は頭使うし、食える時に食っとかないと倒れるから」
「俺は食い溜め出来るし……ほら食える時に食っとかないとヤバいから」
互いによくわからない理論をかざす二人。そして二人は、それ以上の会話は必要ないと考え、そのまま料理を食い進めていくのであった。
「……」
「……」
散々食った後、雷は料金をどうするのかという質問を投げかける。それも当然であるかもしれない、賞金に関しては治療と機体のパーツ購入で全部使いきったし、そもそも憐に関してはどこまで金を持っているのか分からないからであった。
「そういや金あるの?」
「無いけど?あ、現金は無いって話だけどな」
あっけらかんとそういう憐に、雷は完全に疑問を隠せないでいた。まさか今の今まで金がないのに食い進めてきて、それでどうするんだという疑問がいっぱい出る。
「……え大丈夫?」
「なーに、俺にはこいつがある」
憐はそう言うと、懐からある元を取り出す。それは黒い板であり、明らかに凄いものであると言うような感じであった。しかしそれが何なのか分からない雷は、それが何かを質問する。
「……何その板?」
「ブラックカード、無制限で使えるカード。まぁ
明らかに敵意を持って父親と言い、そして大丈夫だと言いながらそのカードを見せつける。それは要するにこれを使えば銀行から金が支払われる奴であった。しかも制限なし。とは言えこれ、父親から奪うように持って行った物なので、流石に父親の息がかかっているスーツ系の店では使えないと判断していた。
「……まぁ問題ないってこったな」
雷はそう判断すると、憐は一応大丈夫だと言いながらデザートも食っていいと雷に言い放つのであった。
「うん。デザートも食っていいぞ」
「マジか!?じゃあこっからここまでくれ!」
ここからここまでとは、デザートのある場所を指してからほぼ全部であった。まだ食うのかと困惑する彼らであったが、憐はそれに何も言わなかったのであった。
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