第5話『天才と天才』
「ここがGGの研修所です!」
「中は意外にごちゃごちゃしてんだなぁ……っと、はぇ~……スーツにも色々あるんだなぁ……」
二人は施設の中に入ると、色々な物を発見する。それは彼の持っているスーツではない物も沢山あった。ネリンはそれを見ると、若干テンションが高くなり、そのスーツの名前を言っていく。
「『オルテガ』に『カリガカリ』、『マキシム』と『ショウダウン』までありますよ!」
防御系のオルテガ、特殊兵装がふんだんにあるカリカガリ、単純に強いマキシム、相手のスーツを破壊することに特化しているショウダウン。色々あるのが分かる。ちなみにこれだがGS(ガレオ・スーツ)と呼ばれている。でも面倒なので皆普通にスーツと呼んでいるが。
「……ちょっと名前は分かんないですねぇ……」
ハッキリ言って雷は自分が持っているあのエレクトロ以外、スーツを知らなかったため、名前はよくわからなかった。困惑と疑問を繰り返す雷であったが、はっきり言ってよくわからないので考えることを止めることにした。
「はーい!研修の子はこちらに来てくださーい!」
と二人が考えていると、研修を担当する一人がやってくる。それは女性であったが、そもそも雷自体は誰でもGGに参加できると知っているので、特に何も言わなかった。
「よしじゃあ行こっか!」
「……俺が行っても良いのか?そもそも研修とか俺知らねぇし……」
雷の手を掴んで研修場に行こうとするネリンであったが、ここで雷は自分が研修届とかを出していない事を疑問に思う。本当に大丈夫なのかと疑問に思うが、ネリンは大丈夫だと言っている。
「大丈夫だと思うよ!……多分」
「……」
彼女が言うには大丈夫らしい。だが多分という一言に若干不安にもなるが、それでもとりあえず行ってみることにした。そして彼らはすごく広い場所に出る。車で走っても時速五十キロで十分はかかるくらいには広い場所であった。
「さて。今日ですが……とりあえずスーツを着てみましょう!」
そう言う
「やっぱ色々あるんだなぁ……っと、俺スーツ持ってますけど、その場合どうすればいいんですか?」
「あらそう?じゃあそれでいいわよー!」
以外にも、スーツを持っている事に対して何の疑問も持たない先生。彼女が言うのであれば問題ないと判断し、そしてスーツを着るのであった。
「だってさ」
彼は以前来た時には停電で見えなかったエレクトロの姿をしっかりと見る。まず感じたのは派手だという事、電気のような模様がビカビカにつけられており、何で停電してる時に光らなかったんだってくらいには派手なのであった。
「……前は暗くてよくわからなかったが……結構派手だなこのスーツ。何用なんだこれ……」
「各自スーツを受け取りましたかー?それでは着てみましょう!」
そう言われると、他の奴らもスーツを着ていく。ネリンが貰った物は『コポルクス』と言われるもので、警察に配られている量産機の一つであった。雷はそれを見て、パトカーに似ていると思った。
「見てみて!ほら凄いよ!かっこいい!」
「……そうかぁ?……ま、見た目が全てじゃねぇし」
正直に言えばパトカーに碌な思い出がない雷からすれば、正直手放しにかっこいいと言えないのであったが、それとなく見た目がちょっとアレだと言っておいた。とするとここで彼女が飛ぶためにエンジンを全開にした。当然吹っ飛んでしまうネリン。それを走って止める雷。
「うわわわわ!!!」
「おい大丈夫か?」
急に飛んだことによりちょっと吐きそうになっているネリンであるが、一応まだ大丈夫なようであった、確かに急加速すると碌なことにならないのは知っている。昔彼も色々あってそう言う目になったからである。
「うぅ……大丈夫……」
「急加速すると碌なことにならねぇからな。……と言うかそれ飛べるのかよ……俺のは飛べねぇし」
とここでエレクトロの装備に一切飛ぶ武装が無いという事が分かる。はっきり言ってどいつもこいつも人を殺害する為に出来るような武装であり、明らかに普通の期待ではないとだけが判断できた。それもそのはず、彼が昔見たGGというのは、裏世界で行われているものであり、殺人が基本の物となっていたからである。
「そう言えばそうですね。……何が違うんでしょうか?」
「まぁあんな場所にあったんだから……碌な物ではねぇだろうな」
当然スラムで拾ったものであるから、碌な物ではないと理解している彼は、それ以上何も言わないのであった。言えばボロが出る可能性もあるから。とここで先生が生徒一向に向けて話しかけてくるのであった。
「さて……。皆さん!あちらを見てください!」
「何だ?」
と皆がそちらを向くと、そこには的があった。それも十二か所に。多いなぁと思うが、実際そんなもんかと考え、再びその的を見てみることにする。大きさは人間大、もしくはそれより小さいものである事が分かる。そしてそれらを確認した彼らに向けて、先生が話しかけてくる。
「アレを撃ってみてください!銃と弓がありますよ!」
「これか」
銃と弓と言われ、横を見てみるとそこには確かに銃と弓があった。そして各々好きな武器を持ち、的を射止めようとする。だが距離があるのか中々当たらない。しかも小さく見える的が、いやらしくも動いているのだ。偏差射撃をしなければまず当たらない。当然ネリンは苦戦していたのであった。
「うー……難しいですね……」
「そうか?銃でも弓でも同じだろ?」
彼はスラムで育てられた経験により、驚異的な記録を出していた。銃で撃てば百発百中、弓を使おうものならど真ん中に命中させることが出来る。何が問題なのかと言うと、スラムでは時たまヤバイ獣が出てくることがあるのだ。それによって死んでしまったスラムの住民もいる。それ故に小さく、素早く動く獣を正確に撃ちぬく技術が必要になって来るのであった。
「違いますよ!?以外に難しい……です?」
「ん?」
そしてネリンが何とか一発命中させた時には、既に雷が全部の的に銃弾と弓矢を命中させ終わっていたのであった。それに驚いているのはネリンだけではなく、他の……そう、生徒だけではなく教師も驚いていた。
「……もしかして……もう全部射貫いたって事ですか?」
「そうだな。……何度も言うがそんなに難しくないだろ……」
彼からすれば難しいことではない。と言うか出来なければ死ぬだけである。とは言えそんな事は知らない彼らは、当然だがその発言を嫌味に感じる者も存在した。ネリンに関しては強いと知っているものの、流石にここまで強いとは思っていなかったので、ちょっと引いていた。
「……えぇ……?」
「ちょっと!そこの……あれ誰?」
雷の元に先生がやってくる。研修の中に知らない奴が紛れ込んでいることに驚くが、別に金を貰っている訳でもない自由参加の研修であるため、特にそこは気にしなかった。とりあえず市民証を見せるように指示する先生。
「知らない奴!市民証を見せなさい!」
「ほれ」
雷は自分が持っている市民証を見せつけると、先生はそれを見て、確かに問題ないと確認すると今度はあの的を射ったことについて質問した。
「っと……雷?聞いたことのない名前だが……まぁいい、それよりアレを全部射貫いたのか?」
「えぇ。正直銃も弓も使いやすいですよ?」
これは雷の本心。これがあれば助けられた命もあっただろうと考え、少しナイーブな気持になる雷だが、そんな事を彼らは知らないので、雷に対してとある話を持ち掛ける。
「……そうか……一ついいかい?」
「何です?」
「ちょっと君に紹介したい人がいてね……来てほしいんだ」
と言われる彼であったが、正直誰なんだと気になってしまう。当然のごとく質問する雷。
「……誰ですか?」
先生は少し目を伏せ、そして雷に対して真っすぐにこう言った。
「……『
雷はそれを聞いて、逆にあってみたいと思うのであった。
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