第11話 邂逅

岡田のLINEから送られてきた場所は大学近くの居酒屋だった。日時は土曜日夜7時から。岡田は毎日のようにこんな事をしているのかと思うと急にチャラい男のように思えてきた。俺は岡田とLINEを交換したその日の夜やはり断ろうかと迷っていたが、もう決めてしまった事なのでグダグダ言わずに行こうと決心した。

相手の女性は3人らしい。男も俺を合わせ3人である。支度をして、電車に乗り大学からの最寄り駅で降りる。大学までの道の途中で角に曲がる。すると目的の居酒屋が見えてきた。派手な蛍光色ライトが店の看板を彩っている。扉を開けて中を除いた。客は若者が多い。もしかしたらこの店はここの大学生の溜まり場なのかもしれない。


「おーい。矢神。こっちこっち」


名前を呼ばれた方に顔を向けると岡田がこちらに向かって手を振っている。

客の席の間を通り抜けると


「まだ、女の子たちは来ていないよ。矢神も好きな飲み物選びな」


岡田に席に座れと催促され、仕方なく座る。飲み物は烏龍茶にした。残念ながら19なので酒は飲めない。岡田は20なので、生ビールを飲んでいる。もう一人の男を横目で見ると金髪の頭、耳にピアスをして俺が一番苦手そうなタイプだったので話しかけないことにした。烏龍茶を飲んでいると


「よ!待ってました〜」


岡田が突然大声をあげ手を叩いて拍手をしている。なんだと思いそちらを見ると女子3人組がこちらに歩いてきた。

最初に入ってきた女は肌が黒かった。おそらく日焼けサロンで焼いたのだろう。虎柄のバックを持っていた。そしてミニスカート。

次に入ってきた女は胸元を開けていた。長髪で顔がいかにも気が強そうな印象を受ける。

最後に入ってきた女に少し違和感を覚えた。他の2人とまるでタイプが違うからだ。表情に乏しくくっきりとした顔立ちで、いわゆる典型的な美女の部類に入るだろう。

三人がゾロゾロと席に座り、奥から虎柄女、胸開け女、寡黙女、の順番で座った。

岡田が早速切り出し、会話が始まった。スラスラと言葉が出て時折笑いも混ぜながら話す岡田に俺は感心していた。きっと何回も合コンしているからではなく、元々コミュニケーション力があるのだろう。メンバー紹介ということで、俺のことも紹介されたが女たちはあまり興味を示さなかった。俺は自分と同じ様に黙っている女を見ると


こちらを見ていたのである。


じっと見ていた。俺は混乱した。すると女は目を逸らした。なぜこちらを見ていたのか考えていると、やがて岡田が二次会でカラオケに行こうと言いだした。俺はタイミングを見て岡田に言って、合コンから抜けた。誰も俺を引き留めようとはしなかった

店を出て少し歩いたところの道に


こちらを見ていたあの女がいたー

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