謎の祠
ある日の昼休み
「はぁ!?お前虫とか食ったことあんの!?」
日本では珍しい赤毛の男が騒ぐ。
「山奥での時にな、飢える寸前だったんだから仕方ないだろ。見た目に慣れると結構いけるぞ。」
「ぜってぇいやだわ!!」
「食事中に騒ぐな」
昼休み、赤毛が俺に質問し、俺が答え、なぜか引かれる。いつもの流れでもある。
自分ではあまり変なことはいっていないつもりなんだがな。
いつもは、ここにもう数人いるが今は生徒会のメンバーと一緒に食べているらしい。こいつとは、高校からの付き合いだが、こいつの抱えていた問題を俺が解決したので、とても懐かれてしまった。暇があるとよく俺の机に襲撃にくる。俺は惰眠をむさぼりたいというのに…
そんなどうでもよく、幸せな日常はもう戻らない。
◆◇◆◇◆
異世界に来てから初めての朝がきた。
来たときは正午だったので、まだ丸一日は経過していないだろう。
俺の服装は、上下セットのジャージである。ジャージはいい。動きやすいし、洗うのは面倒じゃないし、俺のは特別性なので、破れにくいしで非の打ち所がない。なので俺はよくジャージを着ている。もちろんこの世界に来た時もだ。
え、色?真っ黒ですがなにか?やっぱりシンプルイズベストが一番だよ。
ん?日本語的におかしかったな今の言葉。
夜は大樹の根本で休んだ。なんだか、昔を思い出したよ。じいちゃんに、修行と言われ肉食獣がいる森に放置された時だ。
昔から、スパルタなんだよあのジ…やめとこ。あのひと勘ヤバいから。
さて、今日はこの森周辺の探索に力をいれようと思う。やはり、異世界で生きていくためには拠点が必要と考えて、村か町を見つけたいのだ。人間一人じゃ生きていけないからな。
朝飯はやはり、ザリガニモドキだ。昨日罠を作って仕掛けておいたので、あっさり捕まえることができた。味も昨日と同じだったよ。でも、なんていうんだろうな?これを食べるとガッツがつくというか、元気が出てくるんだよな。そういう成分でもあるんだろうか。
朝飯が終わるといよいよ探索の時間だ。昨日滝を見つけた方向とは、逆の方に進んでみる。森は鬱蒼としていて、迷ってしまいそうだ。迷わないように木の枝を折って目印をつけながら進むんでいく。
30分程だろうか。おそらく大樹から1キロくらい離れた場所だろう。そこには…
「…祠か?」
そこには洞窟というより、祠という言葉がしっくりくる人工物があった。入り口には狼と猫のような像が左右に佇んでいる…
「なにかある予感しかしねぇ~。」
これ程怪しいものはそうそうないだろう。俺は周りを見渡してみる。これ以外に怪しいものはなさそうだ。
「入ってみるしかないだろ。」
この非常事態において重要な情報は喉から手が出るほどほしい。もし、人にあったときなにも知らなかったら、善人ならいい。だが、あの世界にもよからなぬことを考える奴らがいたのだ、この世界にもいる可能性が非常に高い。
なので、騙されない為にも入って情報を得る必要がある…というのは建前だ。嘘ではないが本心は別にある。
なにかって?そりゃ…
「最高に面白そうだからだろ…。」
俺はそういってニヤリと笑いながら祠に足を踏み入れた。
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