第2話 12月の贈り物2
「なんだ!? あれは!?」
一郎は夜空にサンタクロースを見た。
「私の名前は魔王サンタ。プレゼントに目が暗んで開けてしまった欲深き人間は、モンスターか、剣、魔法、アイテムなどに変身させてもらった。」
一郎と凛の目の前には両親の代わりに薬草、火の魔法ファイアの魔法書、おもちゃの剣、モンスターのスライムがあった。
「さあ! 人間同士で争うがいい! ワッハッハー!」
魔王サンタの卑劣なクリスマスプレゼントだった。
「なんだって!? まさか!?」
「これらはお父さん!? お母さん!?」
一郎と凛の両親は魔王サンタの魔力により冒険のチュートリアル関連に変身させられてしまった。
「いったい何がどうなっているんだ!?」
「いや!? お父さんとお母さんを返して!?」
突然の出来事に理解に苦しむ二人。
「ニヤッ。ギョギョギョギョギョ!」
スライムが襲い掛かってきた。モンスターとは人間を襲う生き物である。
「ウワアアアアア!?」
「危ない!? 凛!」
一郎が凜を抱き寄せスライムの攻撃をかわす。
「やめて!? 私たちは家族でしょ!?」
誰かは分からないが目の前のスライムは一郎のお父さんかお母さん、凜のお父さんかお母さんの誰か一人であった。
「ニヤッ。」
しかしスライムは目の前の自分の子供に気づかない。
「ギョギョ!」
スライムはネバネバの体を投げつけてきた。
「ウワアアアアアー!?」
一郎に命中。ダメージと共に体がネバネバして動きづらくなった。
「一郎!? 大丈夫!?」
「僕に触るな!? おまえまでネバネバするぞ。」
「何か一郎を助ける方法はないの!?」
凜は必死に考える。
「あった! 火の魔法のグリモワール!」
凜は火の魔法の魔法の書を手にする。
「こういう時、アニメやゲームでは・・・・・・一郎のネバネバを焼き尽くせ! 凜の名において命じる! いでよ! ファイア!」
凜は火の魔法ファイアを発動させる。
「できた! 私ったら、スゴイ! アハッ!」
火の魔法が使えたことで自画自賛で喜ぶ凛。
「アッチチチチチー!? 死ぬ!? 豚の丸焼きになる!?」
スライムのネバネバごと一郎も火に包まれる。
「火力のコントロールって難しいのね。アハッ!」
「笑って誤魔化すな!」
一郎の火は自然に何とか消えた。
「こっちはもう少しで死ぬ所だったんだぞ。」
「ごめんなさい。ここに薬草があるから貼ってあげる。」
凜は薬草を一郎に貼る。
「ギャアアアアアア!? 染みる!?」
一郎の火傷の傷には薬草は刺激的だった。
「おお!? 傷が痛くなくなった!? ありがとう。凛。」
「どういたしまして。私って、やればできる子なのよね。アハッ!」
幼馴染でお互いを良く知っているので一郎と凜は仲が良い。
「ニヤッ。」
スライムが微笑んでいる。
「どうすれば、あいつを倒せるんだ!?」
「これで倒せるんじゃない?」
「おもちゃの剣!? こんなもので倒せるのかよ!?」
凜は一郎におもちゃの剣を渡す。
「ギョギョ!」
スライムが襲い掛かってきた。
「でやあー!」
一郎はおもちゃの剣をスライムに突き刺す。
「ギョギョギョギョー!?」
スライムは断末魔の悲鳴を上げて倒された。
「ああ、剣も折れちゃった。」
おもちゃの剣も折れてしまった。
「・・・・・・やってしまった。僕たちはお父さんやお母さんを殺してしまった。」
「いや!? お父さん!? お母さん!? うえ~ん!?」
一郎と凜は父殺し、母殺しの肩書を手に入れた。
「ワッハッハー!」
その時、また魔王サンタの笑い声が聞こえてくる。
「良心の呵責に泣くことはない。既に人間は変身させられた時に死んでいるのだからな! ワッハッハー!」
プレゼントを開けた瞬間に二人の両親は死んでしまっていたのだった。
「クソッ! 魔王サンタ! 許さないわよ! あなたを倒して平和な生活を取り戻して見せる!」
凜は魔王サンタに宣戦布告する。
「ねえ、一郎?」
「これで良しっと。凛、おまえも手を合わせろ。」
一郎は両親たちを土に埋めお墓を作っていた。お墓にはスライムの破片と折れたおもちゃの剣と薬草のカスと火の魔法書の燃えカスを入れて両親を供養した。
「安らかに成仏してください。」
一郎と凛は両親の即席のお墓に手を合わせた。
「何かおかしい! きっと、これは夢に違いない!」
「そうね! サプライズよ! お父さんたちが企画したイベントに違いないわ!」
現実を受け入れたくない二人。
「凛、僕の頬っぺたをつねってくれ。」
「こう?」
凜は一郎の頬っぺたをつねる。
「イタタタタタタタタ!?」
やはり夢ではなかった。
「もし現実ならテレビニュースでやっているはずだ!」
家のテレビをつけてみた。
「ピー。」
どこのチャンネルも何も放送していなかった。
「え?」
唖然とする二人。
「ならスマホニュースならどうだ?」
スマホの画面を見た。
「電波は使われていません。」
スマホも電波が入らなかった。
「何かがおかしいよ!? 一郎!?」
「そうだ! 警察に行こう! お巡りさんならなんとかしてくれるはずだ!」
一郎と凜は近所の交番に行くことにした。
つづく。
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