第3話   ゴルフ



「戦争など始まったら、ゴルフが出来ないじゃないか」


と叔父さんが言っていると、両親からの手紙にあった。朝から晩までゴルフ三昧で、セントアンドリューズゴルフコースの会員でもあるこの人が、実は父よりも大好きだった。自分のやっている事も、とても応援してくれていて、母国に帰るのは

「彼と会って話をする楽しみ」のためだった。自分と違って人づきあいが上手く、このことでどれだけ色々なことが上手くいったか数知れない。

子どもの頃は「ゴルフばっかりしている面白い叔父さん」だったのが、今は「大恩人」となっていた。

その懐かしい思い出に浸る間もなく、戦争は拡大の一途をたどり、私にも「帰国命令」が下っていた。

私は悩んだ。国籍をいっそここにしてしまえば、帰る必要もない。いったい何のために戦争などするのかもわからない。自然も建物も文化も壊れてしまうのに。


「先生帰っちゃうの? 」

「それはわからないんだ・・・」


子供の前で煮え切らない態度の私を珍しく思ったのか、皆が心配して家にきてくれた。食べ物や何かを持ってきてくれる人もいたが、町長がある夜やって来てこう言った。


「此処に残りたいと思ってくださることは本当にありがたいことです。しかしやはりあなたはイギリスの方です、危険が及ぶかもしれません。本国にお帰りになった方が安全であろうと思います。

あなたが今までやってくださったこと、ここの土地が素晴らしいということを、他の国の人から言われた子供たちが、どれだけ生きていく誇りを得たのか、町の長として本当に感謝してもしつくせません。

そのお礼に、ここの「平和の秘密」をあなたにお教えしましょう」


町長と次の日にシャーマンと三人で会う約束をした。


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