第2話 ダミー
大手携帯会社のCMの仕事が決まった。黒い犬が出てくる人気シリーズである。
今回のCMは売れっ子芸人がモデルのようにシュっとカッコつけるという内容である。私の役は、その売れっ子芸人のツッコミ担当のダミーである。業界ではそれを『スタンドイン』と呼ぶ。
売れっ子様をお待たせしないように、私たちスタンドイは、カメラアングルチェックや立ち位置、動きの確認など、忙しい芸人の代わりに事前テストのマネキンとして働くのである。
ポジティブに考えれば、あたかも大手CMに出演しているような錯覚を味わえるが、あくまでもダミー。オンエアに乗ることはなく、人の目に触れることもない。
『ブレイクスルーを感じない』
誰かのダミーでいるうちは、たぶんきっと売れた俳優はいない。公の経歴にもならないし、実際、俳優として売れるその日が来ない限り、どこにも何にも活かしようがない。
選ばれしタレントのダミー。
これがいかに売れてない俳優にダメージを与えるのか、その傷はどうやったら癒せるのかGoogleで調べたけども、どこにも答えは書いていなかった。
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