第3話 朝
僕が、飲酒運転で捕まってから、朝が来た。この日は実家の家に泊まっていた。
どれだけ最悪な出来事があっても生まれ育った場所の布団はここちよかった。
午前10時。自分を責める気持ちと、これからどうなるかわからない不安で胸が苦しくなった。
充電したスマートフォンで僕は車で1時間離れたC市に住む彼女の由美子に電話した。
「由美子、俺飲酒運転で捕まったんだ。」
彼女は驚きを隠せない声色で、
「嘘でしょ、何やってんの?」
ぼくは捕まったいきさつを彼女に話し、もう車で隣街のC市まで迎えに行けなくなった事を話した。もちろん、浮気相手の家でセックスに明けくれていたことは、話せなかった。
「しばらくこっちにいるから、ごめん」
「あまり落ち込まないでね」
彼女との電話のあと自分がどういう罪にあたるのかスマートフォンで調べまくった。
どうやら酒気帯び運転で、免許取り消し、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となることがわかった。
さらに絶望感が高まった。僕の仕事は作曲家で、レーベル運営をしていたのだが、近年は売り上げが落ち込み、実は就職をしようか考えていた矢先の飲酒事故となった。
このまま死のうかな?
どうやって死のうか?
僕の頭は自殺願望でいっぱいになった。
飲酒運転で捕まったのに、家族は優しくしてくれた、母は手料理を振る舞ってくれて、父は、この日も大好きなお酒を飲めと言って僕と談笑しながらなだめてくれた。
死のうという気持ちが少しだけ和らいだ。
世の中の血の繋がった多くの親は、自分の子に何があっても愛している。たとえ子が殺人を犯してもだ。子のためなら死ねるだろう。
次の日から、飲酒運転の現場検証と
警察署で調書作成が始まった。
浮気相手のあゆみと行った居酒屋、通った道、駐車場など、指差しを行い写真を撮られる。酒を提供した居酒屋の店長、あゆみまで詳しい事情を聞かれた。
色々な人に迷惑がかかる。
事故の翌日の警察署で取り調べは、約4時間3畳ほどのスペースで自分の生い立ちから、仕事の、事まで全て調書を取られた。
その夜、自分のアパートに、あゆみを呼んでこの日もセックスをした。経験上、不幸な事が、起こると人間の脳はドーパミンを求めてセックスを求めたり、酒を飲んだり、快楽に走ろうとする。ドラックやらギャンブルやタバコもそうだ。本当は反省をしなければいけないのだが。
1週間後、僕の事業は破綻しあゆみも僕の元から離れていった。
夜空に咲く花 小林グミ @tk6215ttk
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