第7話最終話。

「なんで、、」


「実はね、能力を自分で発動させようとする時に同じ能力者の体液を摂取したばかりだと使えない上に僕は君よりも能力は完璧なの。だから、君が発動させようとした瞬間にそれを無効化する事が出来る訳。」


「酷い、、酷いよ。メアは、、」


「そう?、酷いは君の方だよ。嶺衣、僕は君が好きなだけなのに君は僕から離れていく、でも、もうこの鬼ごっこは終わりだね。僕の勝ちだよ。」


メアは勝ち誇った顔で俺を見下ろして、俺は媚薬でおかしくなりそうな体と唯一の逃げ道であるリセットが使えない事に、ポキッと今まで折れなかった心の柱が折れた。


「ねぇ、嶺衣。諦めて、僕と幸せに暮らそうよ。」


悪魔の囁きが折れた心に響いて、まっすぐ立って居た柱が歪な形を作り代わり、心を再構築していく。


「僕はね、君と幸せな人生をすごしたいだけなんだ。」


と心が再構築し終えて、俺は意識がプツンと途切れた。そして次に目を覚ますと隣で寝ているメアを抱き寄せて、軽いキスを3回すると胸に吸い付いた。


「っん‥‥‥あっ‥‥んんっ。」


眠りの深いメアの口から出る声に今の俺は更に声を聞きたいと思うようになり胸から首筋に顔を埋めて、自分の物だという証であるキスマークを1つ、2つを付けているとメアが目を覚ました。


「嶺衣?。」


名前に反応して、胸にキスマークを付けるのをやめて、顔を近づけると挨拶がわりディープキスを仕掛けると、メアの瞳が惚けて、無限に湧き出てくる欲情に俺は身を委ねた。


「ひぃ‥はぁはぁ‥‥嶺衣‥‥激しいぃ。」


「メア、メア、メア。」


俺は一切、メアに余裕と主導権を渡さずメアの中で果てると強く抱きしめる。


「嶺衣、僕、今日はピル飲んでないの。子供できちゃうかもしれない。」


「俺との子供欲しくないの?。」


「欲しいけど、、まだ2人で居たい気もする。」


それを聞いて、メアから離れるとメアは枕の下からピルを取り出して飲んだ。


「ねぇ、嶺衣。」


「何?。」


「僕達、2回前は普通にデートして良い感じになれたよね?。」


「うん、間違いなく。最初からビビって断ったり、逃げなければ、こんなに鬼ごっこをしなくても恋人になってた。だから、メアにお願いがある。」


「何?。」


「俺と初めからやり直して欲しい。付き合う前からこんな事をしてる俺達に言う権利は無いかもだけど、デートから始めたい。」


「良いの?、僕は媚薬を盛って、心を壊したよ。そして歪な形に作り替えたと思う。」


「だから、仕切り直そう。多分、俺はメアにしか感じないし、気持ちも動かないだろうから。」


俺はそう答えて、メアを抱きしめた。その後、俺達は順調にデートを重ね、高校を卒業してお互い同じ大学へと進学すると同時に同棲を初めた。


「おーい、メア。メアが開発したゲームの攻略法教えてくれ。」


「ダメだよ、嶺衣。それじゃあつまらないじゃん。」


「だって、やる度に強くなるんだよ。無理に決まってんじゃん。だったらプレイヤーのレベル上限をあげてくれ。」


「ダーメ、こっちだって嶺衣が勝ったら、バイトに行っちゃって寂しい想いをすることになるんだよ。絶対に教えないから。」


「クソなら、いいもんね。メアがどんなに構ってほしがったって構ってあげないから。ゲームやり込むから。」


と冗談で対抗するとメアの瞳から光が無くなって、コントローラーを持つ俺をメアは押し倒した。


「僕よりゲームを優先させるなんて許さない。」


「ちょ、ズルいよ。自分の時だけヤンデレモードを発動させて、自分の要求を通そうとするなんて、メアのバカ。」


「ふふっ、ゲームの時間、1日30分ね。」


「あ、ごめんなさい。許してください。」


俺はコントローラーを捨てて覆い被さって、死刑宣告をするメアを抱きしめて、謝罪のキスをした。


「もう、、、次は無いからね。」

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