第34話 冒険者ギルド②
僕はクリファスさんの昨日の行動説明をギルド長と共に聞いていた。
クリファスさんは冒険者ギルドからの依頼により暴食竜に変化の兆しがあるかもしれないとお告げがあった為に、封印されし山脈へ調査チームを組んで出発した2日目で謎の集団から襲撃を受けたらしい。
謎の集団はクリファスさんたちの素性を確認する事もなく突然襲ってきたので、謎の集団の目的などは分からず、クリファスさんたちを全員殺す気だったということだけしか分からなかったみたいだ。
「私達、ギルドとして予想していなかったとはいえ、クリファスさんたちを危険な任務を依頼してしまって申し訳ありません。そして、アカリさんとハリッサさんにはクリファスさんを含むハンターを救って頂きありがとうございます」
「僕たちはたまたま遭遇しただけですし、クリファスさんには町への道案内もして頂いたので、僕たちも助かりました」
僕たちもあのままクリファスさんたちと遭遇しなければ、今でも森の中をさまよっていたかもしれないのでクリファスさんと遭遇出来たことには感謝していた……そして、もう少し早く遭遇出来ていれば、助けられた人もいるかと思うと残念でならなかった。
「それでは冒険者ギルドとして、早急に回収班を向かわせるように手配しますので少々お待ち下さい」
そう言うとマチルダさんは部屋から出ていった。
「そう言えば、アカリさんたちはこれからどうする予定なのか、決まりましたか?」
「う~ん、まだ何も決まっていません。とりあえず、今日からの資金を稼がなくてはいけないので冒険者ギルドに登録するか、武具を販売する位ですかね……って、普段は平和なら武具は売れないかな……」
日本で武具が売れないのと一緒で、モンスターが徘徊しない森の中では僕の武具は売れないだろう……
「そうですね、いくつかの武具はハンターに売れるかもしれないですが……どうでしょう? そうだ、アカリさんは包丁などの調理器具や生活用品は造れないですか? 私達を助けてくれた時など、即席でリアカーを作ってくれましたよね?」
「ああ、なるほど……包丁なども造れると思いますよ」
「それでしたら、私が所有している空き家を一軒、店舗として無償で貸しましょうか?」
「えっ、無償で貸してくれるってクリファスさんに何の利益もなくないですか?」
僕としたら鍛冶師として商品を販売出来るお店を開けるのは有り難いけど、クリファスさんからしたら只の慈善事業みたいにならないだろうか?
「確かに私にお金は入らないかもしれないですが、私は町長の息子ですから、町の住人の為になるならアカリさんに空き家を貸してもおかしな話ではないですよ。それに、その空き家は全く使っていないので誰かに使われた方が良いでしょう。あとはもしよければ住民の買える手頃な値段帯にしてもらえると助かります」
「なるほど、そう言うことならばやらせてもらおうかな? だけど、やすくし過ぎたら今販売している人に悪いのではないですか?」
ぶっちゃけ、包丁などなら鉱山で大量に採掘した金属はアイテムボックスに眠っているのをスキル上げの為に消費出来ると思えば、いくらでも安くしても問題ないのだが、先に商売している人に恨まれることはしたくなかった。
ファイナルオンライン内では、価格破壊したら同業者から恨みのメッセージが大量に届いたからな……
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