第33話 冒険者ギルド
僕とハリッサはクリファスさんの案内により冒険者ギルド内に入るのだが……
「あれ? 人がほとんどいないけど……朝だから?」
「冒険者ギルドがボロボロな理由がそれです」
「えっと、どういうこと?」
「アカリさんはハンターが何をするか分かりますか?」
「ん? ハンターって位だから、モンスターを狩ったり依頼を受けたりとか?」
ファイナルオンラインのプレイヤーが主にすることは、モンスターを狩って素材集めやイベントや常設のミッションを攻略したりしていたから、現実世界でも似たような感じかなと思って、クリファスさんの質問に答える。
「そうです、そしてこの町周辺は何故かモンスターもほとんどいなくて平和そのものという感じです」
「あっ……」
「だから、この冒険者ギルドでは大きな依頼は無くて、いつも経営難なんですよ……」
「だから、ボロボロなのか……ちなみに冒険者ギルド以外にもギルドはあるんですか?」
「商業者ギルドなどがありますが、この町には無いです」
「……無いのかぁ。僕的には商業者ギルドの方が向いている気がするんだよね」
「確かにアカリさんは鍛冶師だったら商業者ギルドの方が向いているかもしれませんね、ギルドは別団体なので掛け持ちしても基本的には大丈夫ですよ」
「そうなんですね」
「クリファスさん、昨日は大変でしたね」
僕たちが冒険者ギルドの入口付近で話していたら、制服を着た女性が話しかけてきた。
「マチルダさん、今日は昨日の報告に来たのと、仲間と襲撃者の死体回収をお願いしに来ました」
クリファスさんは女性に今日来た目的を伝える。
「わざわざ来ていただいてありがとうございます。それで、こちらの若い女の子は?」
「こちらは昨日の襲撃事件の時に助けてくれた2人てす」
「僕はアカリです」
「私はハリッサ!」
「えっ、こんなに小さな女の子がクリファスさんを……?」
女性は不思議そうな表情で僕たちとクリファスさんを見る。
まあ、普通に考えたら僕たちみたいな子供2人が大人のクリファスさんを助けるなんて有り得ないだろうから、女性の表情は当然だなと思った。
「本当の話です、詳細は個室で話しても良いですか?」
「ええ、それでは向こうの部屋でお聞きしますね」
僕たちは女性に案内されて個室に入ると、僕たちはソファーに座らせてもらった。
そして、反対側のソファーに案内してくれた女性が座る……
あれ?
この受付嬢みたいな人が一旦、話を聞くのかな?
僕はてっきり、クリファスさんみたいな町長の息子が襲撃された事件だから、冒険者ギルドの偉い人が話を聞くのかなと思っていたけど、違ったみたいだ。
「うふふ、私がアカリさんやハリッサさんがクリファスさんを助けたと聞いた時に変な表情をしたのと同じ様に、アカリさんも不思議そうな表情ですね」
「あ、すいません……」
思いっきり顔を出ていたか……
「アカリさん、この方は冒険者ギルドのギルド長ですよ」
「えっ!? あ……すいません」
この受付嬢みたいな人がギルド長だと聞いて、思いっきりびっくりした声を出してしまう。
「ふふ、気にしないで下さい。私はギルド長のマチルダです。この町のギルド長は戦闘経験よりも運営能力が優先されているので、アカリさんみたいにびっくりされる人は沢山います。それではクリファスさん、昨日の詳細をお願いします」
「分かりました。昨日、私たちは……」
クリファスさんがギルド長に、昨日の出来事を説明しだした……
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