第31話 無双の剣星
【ファイナルオンライン内】
「師匠! 遂に真龍の魔技宝玉を手に入れたんで、また魔剣を作って下さいよ~!」
ガツ~ン!
ガツ~ン!
俺は仲間と共に56時間もかけて討伐した鬼畜イベントである『真龍襲来』で星龍という、運営が倒させる気が無いのではないか?と思われるほどの強さの裏イベントボスを倒した報酬を持って師匠のところへ来ていた。
ガツ~ン!
ガツ~ン!
「師匠~! 聞こえてますか~!」
「えっ? ああ、クロポン来ていたんだ、採掘に集中し過ぎて気がつかなかったよ」
「相変わらず師匠は採掘が好きですね」
「僕は師匠って名前でもないし、クロポンを弟子にした覚えも無いんだけど……って、今日は何のようなの?」
この師匠という呼び名は俺が勝手に呼んでいるだけで、本当のプレイヤーネームはアカリさんという名前なんだけど、俺のイメージ的には師匠って響きが好きだった。
「まあ、良いじゃないですか……それで、この魔技宝玉で魔剣を作って欲しいんですよ」
「えっ? また魔剣を? 先週に七本も造ったばかりじゃん」
「えっと……今回のイベントで全部折れちゃいました……」
「えええっ!? あの七本の魔剣はかなり高価な素材で造っていて、雑に使っても折れるような代物じゃないよ?」
「すいません……それが今回の敵はやたらと硬くて耐えきれなかったんです」
あの七本の魔剣は確かに売れば、かなりの金額になるだろうが、今回の星龍は星の堅さを身に纏った龍とかいう意味の分からない防御力を誇る龍だった。
しかし、せっかく師匠が造ってくれた魔剣を全て折ってしまったことは、申し訳ないと思ったので再度謝った。
「すいません……」
「ああ、魔剣をこわすのは別に良いよ。クロポンがワザと壊す訳ないし、武器は使えば壊れるものだから、壊す事を怒っているわけじゃなくて、びっくりしゃってね。しかも、あっという間だったからさ……それで、今回はどんな魔剣が良いの?」
師匠は鍛冶師の中でもかなり変わっていて、ほとんどの有名な鍛冶師はすぐに武器を壊されたら怒るのだけど、師匠はすぐに武器を壊されてもわざとでなければ怒らないのだ。
まあ、逆にこちらが申し訳なく思ってしまうのだけど……
「今回は、この魔技宝玉と素材を使って魔剣を造って欲しいんです」
「ほ~、クロポンはよくそんなに魔技宝玉を持ってこれるね……魔技宝玉は貴重って話だったけど、実はそうでもないのかな?」
「さあ、俺もよく分かりません」
俺たちトッププレイヤーからしたら、魔技宝玉はイベントボスを倒せばかなりの確率で複数個ドロップするアイテムだけど、普通のプレイヤーからしたら超貴重なアイテムかもしれないけど、最近の事情よく分からないな……
「分かったよ、今回はこれで魔剣を造ってみるよ……そうだ、クロポンはポンポンと武器を壊すけど、魔剣解放はしてるの?」
「あっ、はい! 真装展開はやってます!」
キングクオリティ以上の魔剣のみが出来る限界突破スキルで、俺は最近になってやっと真装展開を使えるようになっていた。
そもそもファイナルオンライン内でキングクオリティの魔剣を作れるのは師匠を除いたらほんの数名で、しかも師匠ほど高確率でキングクオリティを造れないのだ。
だから、トッププレイヤーの中でも真装展開を使えるのは数名しかおらず、俺みたいに新しい魔剣で真装展開を使えるのは更に少なかった。
これも、師匠がキングクオリティの魔剣を造ってくれるおかげではある。
「ん? 真装展開? いやいや、違うよ。 真装展開って魔剣の初歩スキルでしょ? 僕が言っているのは魔剣固有スキルの開放だよ……そうだなぁ、真装展開が魔剣同調レベルが10パーセントだとすると、魔剣固有スキル開放は魔剣同調レベル50パーセントが必要になるやつだよ」
「えっ? それは知りません……」
は?
魔剣には真装展開スキルの更に先があるだと……?
そんな情報はトッププレイヤーの俺ですら噂さえも聞いたことがない……
しかも、俺は師匠の知っていて当然じゃないの?という雰囲気に更に衝撃を受ける。
「……ってな感じで魔剣同調レベルにもいくつかレベルがあるんだけど、クロポンには魔剣固有スキル開放位までが……ってクロポン聞いてる?」
「は、はい!」
ヤバい……師匠のあまりの衝撃的な発言に、ちょっとパニックになってしまい、師匠の話があまり入ってきていなかった。
「まあ、良いか。それじゃあ、クロポンは魔剣同調レベルを上げる訓練が必要かな~」
「ちなみに、師匠は魔剣同調レベルなどの情報を知っているって事は魔剣固有スキルを使えるのですか?」
「僕は鍛冶師だから、魔剣同調レベルは高くても使えはしないよ。ただ、魔剣同調レベルは100パーセントだから知っているだけだよ」
「魔剣同調レベルが100パーセント……!? 流石は師匠です……」
流石はファイナルオンライン内で伝説の魔剣鍛冶師と呼ばれている師匠だ。
魔剣に関しては師匠を超えるプレイヤーは居ないだろう……
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