第15話 武器を大量生産する

【アイテム】

赤晶石の大剣・KQ4・アカリ


6本造った赤晶石の剣の中からハリッサが選んだのは、刀身を厚くして重さを増やした赤晶石の大剣だった。


「それじゃあ、また赤晶石の大剣を大量に鍛冶錬成するから、試作の剣は全て叩き折るつもりで硬い大岩を叩きまくって良いよ」


「アカリお姉ちゃんが造ってくれた剣を折るだなんて……」


「ああ、ハリッサには僕の武器に対する考え方を伝えてなかったね……ハリッサみたいに僕の造った剣を大切にしてくれるのは嬉しいし、僕が武器を造る時に手を抜いたりは絶対にしないけど、僕は武器は道具であって持ち主の役にたってこそ意味があると思っているんだよ。だから、大切にして壊さないようにするよりも、スキル上げの為ならばガンガン使って壊すなら本望だし、壊れた武器は僕のまた新たなスキル上げの材料に変わる訳だから問題無いんだよ。まあ、ハリッサが武器を大切にして折りたくないと言うなら無理に折れだなんて言わないし、今まで通りアイテムボックスから出しているツルハシなどを使ってくれても構わないよ」


「……」


かなりゲーム脳的な思考だから、現実世界で生きてきたハリッサには納得出来ないかもしれない変わった思考だとも自覚しているけど、これからもハリッサと一緒にスキル上げや戦闘をするなら、壊れることを恐れずにガンガン使って欲しいと思っている。


それとは別にハリッサみたいに剣術を学んできた人が身近にいなかったので、剣術を学んできた人が自分の命を預ける事になる武器をどれくらいのレベルで大切にしているのかを僕は正しく理解出来ていないだろうとも考えていた。


「いろいろ話したけど、分かるかな?」


「うん、分かった。私はアカリお姉ちゃんの言うように積極的に武器を使っていくね」


「無理はしなくても良いからね?」


「無理はしてないよ! だって、武器はアカリお姉ちゃんがいっぱい渡してくれるんでしょ?」


「うん、ハリッサがいくら武器を壊しても、無くならないくらいのストックはしておくと約束するよ」


「なら私はアカリお姉ちゃんの言うとおりにする!」


「理解してくれてありがとうね」


僕は感謝の意味を込めて、ハリッサの頭を優しくナデナデすると、ハリッサはとろける様な笑顔になっていた。


「えへへ」


「さてと……それじゃあハリッサが使い切れない程の武器を造るかな。材料の備蓄はアイテムボックスにたっぷりあるからね」


それにハリッサが武器を折ったとしても、折れた武器を金属精製して、再度鍛冶錬成するまでのロス率は3パーセント位だと分かったので、いくらでも掘って、精製して、錬成出来る僕からしたら、ほとんど誤差みたいなレベルのロス率だった。


それから僕とハリッサは町へ向かうことは忘れ、ひたすら鉱山にてスキル上げの為の生活を続けるのだった。



【神界にて……】


「えっ……勇者様の行動が……」


私が一番期待していた勇者様は、何故か町を目指すことなく、今度は鉱山に数ヶ月も籠もりだしてしまった。


私の予想では鉱山に籠もったとしても一週間ほどで目的は達成し、町を目指してくれるのかと思ったのだけど、私の予想は大幅に外れていた。


「それに何で鍛冶師である勇者様が鍛冶錬成なる私の知らないスキルを修得してるのかしら? 錬成は錬金術師の領分だし、あんなポンポンと錬成出来るものでは無い筈……よね?」


私の知っている錬金術師による錬成は1つ錬成するのにも素材はもちろんだけど、複雑な錬成陣と膨大な魔力を必要とするので、あんな数秒で錬成陣も無しで武器を錬成してしまうなんて、信じられない光景だった……


あまりにも規格外の勇者様の力を見て、私は早く他の勇者様達と合流してくれないかなと思ってしまうが、私が勇者様達に出来るのは転生の準備をして送り出すまでなので、もどかしい気持ちになっていた……


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る