第13話 鍛冶錬成
カツーン!
カツーン!
バキンッ!
カツーン!
カツーン!
バキンッ!
僕とハリッサが、地道な道具破壊によるスキル上げを始めてから既に2ヶ月が経過していた。
僕は元々、何か同じ事を繰り返すのは苦にならない性格だから道具破壊みたいな地味な作業を2ヶ月も続けられたが、ハリッサも剣術によるツルハシの破壊を2ヶ月も続けられた事にびっくりしていた。
カツーン!
カツーン!
バキンッ!
「ハリッサ、飽きたら無理してやらなくても良いんだよ?」
「全然飽きないよ! それに、これをやっているとご飯が美味しくなるから楽しいよ!」
「なるけどね、ご飯の為に頑張るというモチベーションの維持の仕方もあるのか」
カツーン!
カツーン!
バキンッ!
この2ヶ月間で僕の採掘スキルや金属精製スキルはかなり上がり、そろそろレッドミスリルではレベルが上がりにくくなっていた。
それにしても、女神から貰った無限増殖出来るゴッドクラスのツルハシとスコップには感謝しなくてはいけないな……
最初のステータスを見たときとスタート地点が森の中だったときはちょっと殺意を覚えたが、今では女神に感謝しかない。
だから、しっかりと鍛冶スキルも上げて、他の勇者の役にたってあげようと思っている。
勇者が何人いるのかは分からないが、1人1本ずつ位は最高品質の武器を作ってあげれば魔王討伐に役立ててくれるのではないだろうか。
【アカリはレベルが1上がりました。レベルが20になりました……】
【アカリはスキル・鍛冶錬成を取得しました……】
「おっ、鍛冶錬成? ゲーム内では見たことの無いスキルだな……ってか、名前からして鍛冶師というより錬金術師っぽいな。しかし、錬金術師のキャラクターもやっていたけど、見たこと無いって事は僕が引退後に増えたスキルなのかな?」
【スキル】
鍛冶錬成・簡易的な鍛冶を可能にする。
鍛冶場での鍛冶から2段階品質が落ちる。
ゲームでは、鍛冶場と呼ばれる鍛冶をやる専用スペースで武器や防具を製造するのだけど、鍛冶錬成があればどこでも武具が作れるという事か?
しかし、品質が2段階も落ちるのか……
鍛冶に限らず、ファイナルオンラインの生産系ジョブの人が作成するものには必ず品質が表記されるのだが、女神のゴッドクオリティは例外として、大きくわけるとノーマルクオリティ、ハイクオリティ、キングクオリティ、レジェンドクオリティの4段階がある。
まあ、その中でもレベル1からレベル10まであるので、400段階あることになるが……今回の場合は多分大きく分けたクオリティクラスの事ではないかと思われる。
400段階の2段階なんて誤差みたいなものだしな。
「アカリお姉ちゃん、どうしたの?」
僕がステータス画面に集中するためにテを止めていたのを見ていたので、ハリッサが気になって近寄ってきた。
「鍛冶錬成っていうスキルを手に入れたから、試してみようと思っているんだよね。ハリッサ用に試しに武器を作るとしたらやっぱり剣が良いかな?」
「私用の武器? なら、このくらいの長さで細い剣が良いかな」
ハリッサは全身を使い、欲しい剣の要望を伝えてくる姿が可愛い感じだったので微笑ましくなった。
「うん、ハリッサの欲しい武器の形は何となく分かったよ。あとは実際に作ってみての感想次第かな。僕も実際に武器を作るのは初めてだから、どうなるかわからないしね」
「分かった!」
ゲーム内でもいろいろな形状の武器があり、片手剣だけでも20種類以上はあった。
そして、今回の鍛冶錬成はというと金属に魔力を流し、あとは欲しい武具のイメージするだけで完成するという、リアルな鍛冶職人からしたら怒られそうなレベルのお手軽鍛冶作業だった。
それじゃあ、大量に余った鉄で試してみよう。
他にも使い道がない大量の金属が僕のアイテムボックスに眠っているが、使うことはあるのだろうか?
まずは鉄に魔力を流し込む。
アイテムボックスに魔力を流す感じで良いのかな?
何となく鉄に注入出来る魔力量には限界があるみたいで、僕は鉄の限界手前くらいで魔力を流すのを止める。
あとは……ハリッサの欲しいとされる武器をイメージする……
よし、イメージは固まった。
「鍛冶錬成!」
僕が鍛冶錬成のスキルを発動させると、鉄の塊は飴細工の様にびろーんと勝手に伸びていき、剣の形に形成されていく。
これだけを見ていると本当に鍛冶か?と思ってしまう。
そして、1本の剣が簡単に完成してしまった。
【アイテム】
魔力鉄の剣・KQ6・アカリ
「アカリお姉ちゃん凄い!」
あれ?
いきなりキングクオリティの武器が出来てしまったぞ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます