第5話

「許せない。誰の親よ」


 怒りがなかなか収まらない。


「まあまあ。ただのリレーだから」


「だってさ。あなたが最高に輝けるリレーなのに」


「いいよ別に輝かなくても。面倒だよ」


「そっか」


 怒り。すごく簡単に収まる。


「いつも思うんだけどさ、毎回、他人のためにしか怒らないよね」


「うん」


「なんで自分のためには怒らないの?」


「自分に怒ったら、かなしいじゃん」


「なんでそこだけは人並みなんだか」


「人並みよ、人並み。全部人並み。あなたとは違う」


「わたしは普通だよ」


「めちゃくちゃ才能あるのに、それを使わないで普通のふりしてる」


「かっこいいのよ、それが」

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