第699話 ヤタガラスの動き
なんだか、ヤマタノオロチとはまた別の幻獣種で、ヤタガラスとやらが出てたみたいだけど……逃げていったから問題なーし!
「さてと、今ので吹っ飛ばした方向に進んでいきましょう! 丁度、東の方角ですし!」
うふふ、少し北寄りに進んじゃってたけど、ここで東に方向を変えられるのはラッキーなのですよ! 目指してる方向は、東だもんねー!
こんにゃく : あー、まぁ進むには丁度いい方向にはなったか。
神奈月 : だなー。
サツキ : サクラちゃん、東へ移動だー!
水無月 : 移動だー!
「東に向けて、改めて出発ですね! あ、いつの間にか切れてたので、再発動で! 『索敵』『見切り』『弱点分析』『看破』!」
んー、いつの間に切れてたんだろ? さっき、少し話してた間でかな? うん、まぁいいや。とにかく、東へ向けて移動開始! 破壊して拓けた場所を進んでいくのです!
「『破壊の咆哮』で壊した部分は、『獅子咆哮』で壊した時よりも、木々がバラバラになってますねー。威力の違いが目に見えて分かります!」
『獅子咆哮』でも木が折れたり、吹っ飛んだりはしてたけど……今のとこは、そこから更にバラバラの木片に変わっちゃってるもんね。
金金金 : 流石は、最強格のスキルって事か。
G : そういう事になるな!
咲夜 : ここの森はそこまで広くはないし、多分、森の外まで破壊にはなってるんじゃね?
ヤツメウナギ : その可能性は十分あるな。
「おー、ここを通っていけば森を抜けられるのはいいですね!」
木片は散らばってはいるけど、その木片自体は結構な距離まで吹っ飛んでるっぽいし……森を出るまでは足場は結構平気そうかな?
まぁ足元は注意しながら進んでいこー! あと、この辺にも森の中に敵の反応は残ってるから、それも要注意で!
「あ、そういえば、さっき倒した敵達でLvはいくつくらいですかねー?」
どれも何を倒したかすら分かってないから、敵のLvを知る手段がないんだよねー。この遠距離からの瞬殺での問題点は、そこな気がする!
ミツルギ : あー、Lvは2〜4くらいの範囲だとは思うぞ?
神奈月 : ここの草原エリアは広いから、Lv4まで入ってればラッキーってとこかも?
イガイガ : まぁ縄張りの範囲内にいたのは、高くてもその程度だろうなー。
「あ、そんなものなんですか! となると、縄張りで引き寄せちゃった相手は、もう同格か格下だけになってきた訳ですね!」
そっか、そっか! 全然相手の姿が見えないままの撃破だったけど、それくらいにはLvが上がったんだね!
富岳 : ……ヤタガラスは、完全にスルーか。まぁそれでもいいかもな。
チャガ : 何も知らない状態だから、警戒のしようもないしな。確かに実感しないと分かりにくいではあるし……。
ミナト : まぁあれは確かにねー。あ、ちなみにヤタガラスでLv4だったよ。
「おー、流石はミナトさんです! Lv4の敵がいたのが分かったのはいいですね! もう1回くらい、縄張りを展開してた範囲で一団を仕留めて、その後には縄張りの範囲外に出ても良さそうです!」
うふふ、一時は不安だったけども、完全体相手でも十分戦える! ヤタガラスに何かあるみたいだけど、まぁ逃げていったんだし、気にする必要は……あれ?
「あのー、なんだかマップに表示されてる敵がどんどん近付いてきてません!?」
待って、待って、待って!? この接近の仕方って『縄張り』を展開した時の様子に似てるんだけど!? なんでそうなってるの!?
違うのは全方位から集まってきてるんじゃなくて、特定の一方向から集まって……って、この方向、さっきのヤタガラスが逃げた方向じゃない!?
富岳 : 始まったか。
チャガ : 始まったな。
咲夜 : あ、ヤタガラスが本格的に動き始めたな。
G : 間違いなくそうだな! さぁ、サクラちゃんは生き残れるのか!?
イガイガ : 果たしてどうなる!?
「ちょっと待ってください!? あのヤタガラス、何か仕掛けてきたんですか!?」
ぎゃー!? これ、なんか凄い嫌な予感がするんですけど!? 待って、待って、待って!? 何、この敵の数!?
金金金 : 狼狽え始める狐っ娘アバター。これは何事だ?
ミナト : さっき、チャガさんがヤタガラスの説明をしてたけど、それに由来する行動ではあるんだよね。『導きの神』の部分なんだけど……まぁそれをモチーフにしたスキルがあるんだよね。
チャガ : 効果としては、特定の相手に対して、周囲の個体を誘導するというものだ。その『特定の相手』は、この場合……サクラちゃんだという事になる。
富岳 : 幻獣種は……個体差もあるんだが、スキルツリー外で固有のスキルを得る事があってな。ヤタガラスの場合は固有スキルがその『導きの鳴き声』になる。
「それって、導くとか言いつつ、要は私に周囲の敵をけしかけてる事ですか!? っ!? この数、普通に死ねますって!? あ、カラスが見え……あれが『ヤタガラス』ですか!?」
ヤタガラスの姿は見えたけど……この状況は本当に待って!? ヤタガラスの後ろに、タカとか、トンビとか、普通のカラスとか、他の種族が飛んでるのも見えるんだけど!?
何気に陰湿なスキルだよね、これ!? 森の中にも色々いそうだし、大急ぎで逃げないと!?
「戦略的撤退です! とりあえずこのまま、東へ進んで森から抜け出ます! 『疾走』!」
ヤタガラスが森に入った地点は通り過ぎてるから、変に森の中へ逃げるよりは、破壊した方向に逃げる方が逃げやすいはず!
うぅ!? それにしても、ヤタガラスはなんてスキルを使ってくるの!? 周囲の敵を誘導するって無茶苦茶じゃないですかねー!?
『縄張り』……ううん、どっちかというと『威嚇』かな? ともかく、その効果を他の敵に強制的に押し付けてるようなものだよねー!?
サツキ : サクラちゃん、逃げる、逃げる、逃げるー!
水無月 : 戦略的撤退だー!
咲夜 : さぁ、果たして逃げ切れるのか!?
イガイガ : どうなるんだろうなー? いやー、面白い展開になってきた!
G : ヤタガラスは仕留め損なったら、即座にその場から離れて敵を引き連れてくるのが定番なんだが……まぁサクラちゃんはそんなのは知らんからな!
富岳 : だから、厄介だと言ったんだがな。まぁ初遭遇だし、知らなくても仕方ない部分ではあるんだが……。
「富岳さんが厄介って言ってた意味、ようやく分かりましたよ!?」
うがー!? まさか、あんなに多くの敵を引き連れてくるとか考えてもなかったよ!? 何気に反応が増えてる気がするから、縄張りの外から引き連れてきてる敵もいそう!?
ミツルギ : さて、大ピンチに陥っているけども……どう切り抜けるもんだろうな?
神奈月 : ヤタガラスは死にやすい要因ではあるけど、まぁ対処方法がない訳じゃないしなー。
いなり寿司 : サクラちゃんがそれを実行出来るかどうかが問題か……。
ミナト : んー、まぁその手段以外にも、けしかけられた敵を全部仕留めるって方法もあるけどねー。
ヤツメウナギ : また、サラッと高難易度な事を言ってる……。
こんにゃく : まぁそこは、ミナトさんだしなー。
富岳 : それでも、縄張りを使った時よりは切り抜けやすくはあるぞ?
チャガ : 全方位から囲まれる訳じゃないからな。このまま逃げて……いや、速度負けしてる相手がいるから、流石にそれは無理か。せめて、『逃走』のスキルがあればよかったんだが……。
「これ、逃げ切るのは無理なんです!? あ、俊敏のステータスが低めになってるのに、俊敏系統での進化の個体が混ざってたら無理ですよね!?」
よく考えなくても、無理な理由は明白だったー!? ぐぬぬ!? 逃げるのが無理なら、もう立ち向かうしかないよね!
「だったら、迎え撃ちます! どうせ死ぬなら、それまでの間に経験値を稼いでおきたいですし!」
という事で、ズサッと止まって向き直――
「ぐふっ!? ちょ、待って――がはっ!?」
ぎゃー!? 向き直った瞬間、イノシシに思いっきり突っ込んでこられたんですけどー!? 待って、待って、待って!? これ、多分だけど『連突撃』だよねー!?
「ぐっ! でも、踏ん張れてますし、反撃させてもらいます! 『縄張り』『雷纏い』!」
どうせ乱戦は避けられないのなら、思いっきり強化して、倒せるだけ倒してやるのさー! そして、この状況を仕掛けてきたヤタガラスだけは絶対にぶっ倒すのですよ!
……縄張りの再使用時間、ギリギリだけど過ぎててよかった!
ミツルギ : おっ、徹底抗戦だな!
富岳 : まぁ逃げ切れない以上、これしかないか。
サツキ : サクラちゃん、反撃開始!
水無月 : 反撃開始!
「当然、そのつもりです! ぐっ!? 『放電』『放電』『放電』!」
ぐぬぬ!? とはいえ、思いっきりイノシシやシカやオオカミとかが次々と突っ込んできてる状態は良くないよね……。麻痺で動けなくなってるとはいえ、ダメージは入ってる訳だし……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます