第670話 和室の改装の続き
午前中の予定は終わったし、兄さんとの色々な話も終わり! さーて、それじゃ予定通りに和室の改装の続きをやっていこー!
「えーと、兄さんにチェックしてもらう時間も必要だから……」
17時には完成させるように頑張っていこー! 多分、その時間くらいで完成はするはず! 集中し過ぎて忘れないように、アラームはセットしておいて……。
「これでよし! 新しい椅子で、フルダイブをやってみよー!」
うふふ! いつもはベッドに寝っ転がってるけど、今回は新しい椅子の背もたれを倒していくのです! おー、やっぱり今までの椅子とは全然違うねー!
「……うっかりしたら、寝ちゃいそうだよね?」
それだけ座り心地……この場合、寝心地なのかな? まぁそれだけ良いものって事なのですよ! 座ってたら傷の部分も全然見えないし、気にならないしねー。
「それじゃ、作業開始!」
縁側のデザイン自体はもう済ませてるから、すぐにフルダイブでの作業に移っちゃおう! 一旦椅子を起こしてから、改めてVR機器を頭に被って、また背もたれを倒して……あ、しっかりフルダイブの条件は満たしてくれたね! いざ、フルダイブ開始! さーて、頑張ってやっていこー!
◇ ◇ ◇
フルダイブにして、デザイン用のソフトの仮想空間へと移動完了! んー、完全にこっちに移ったらリアルの感覚はないから、あんまり椅子の恩恵は感じない? まぁあれは携帯端末の方で作業する時に良さそうだと思ったから、フルダイブの方ではおまけだよね!
「あ、そういえばこの作業空間に、あの椅子って出せるのかな?」
別にこっちじゃ、いくら立ってても疲れはしないけど……折角、兄さんに使えるようにしてもらったんだから、使ってみよー!
作業内容によっては普通に座りながらやったりする事もあるし、あれがあれば気分的に快適な気がするもんね。えーと、取り込む要領は、配信用の和室と同じような手順のはず?
「あ、あった! やっぱりここでも出せるみたい! ちょっと出してみよー!」
ふふーん! という事で、出してみる! おー! こっちは傷一つない綺麗な状態だー! まぁデータなんだから、リアルの物と違って綺麗で当然だけど!
うん、座り心地はリアルと一緒だね。データと実物という違いはあっても、同一の物として作ってるんだから、当然だけど!
「縁側を作るには微妙だけど、小物を作る時には使えそう?」
あちこち動きながらだと意味ないけど、手元だけで作業する時には良さそうだもんね。小物なら風鈴を作りたいとこではあるし……あ、お団子の宣伝をする時にはお皿も欲しいかも!
うん、まぁその辺は今すぐじゃなくて、時間があればって事で! 今はともかく、縁側の作成を開始なのさー!
「えーと、まずは土台から!」
一番最初にやるべきは、この和室全体の基礎を作るのですよ! ……今まで、中だけのハリボテだったのがよく分かるよねー。
「まぁここは見えない部分だから、盛大に手抜きでいいよね」
という事で、昨日屋根の部分で仮に置いたような真っ白いだけの板を、そこそこ厚みを持たせて地面に置くのです! それで、元々素材として用意されている中から、この表面に岩のテクスチャを貼って……。
「コンクリートっぽいのがいいかな? こんな大きなの、一枚岩じゃ不自然そうだし……」
とりあえず貼り比べてみて……うん、やっぱりコンクリートの方がそれっぽい! よーし、それじゃコンクリート風味で決定!
それの上に今までの和室を持ち上げて置いて、丁度大きさが重なるようにサイズ調整をすれば……。
「うん、土台は完成! それっぽくはなったね!」
うふふ! 今までは直接、地面から壁が生えてた状態になってたもんね。我が家を外から見た時、もの凄くその辺に違和感があったけど、それも解消!
「さーて、次は縁側だー!」
出来るだけ、同じような部分は同じパーツで作るのが容量の節約になるって姉さん言ってたもんね! 必要なのはサンダルを置く平べったい大きな岩と、縁側を支える柱と柱の土台になる石と床板だけ!
多少のサイズ違いは拡大と縮小を駆使して、基本パーツはそれだけに抑えるのです!
「とりあえず、岩から作っていこー!」
ざっくりと平べったい楕円形のものを作って、そこから加工していくのです! 前なら自分で岩の表面を塗ってたけど、姉さんには用意されてるテクスチャを活用しなさいとも言われたからね!
拘るところは自分で塗ってもいいけど、それだけに集中し過ぎないようにって教わった! まぁ自分で用意しなきゃ駄目な場合も結構あるみたいから、なんでも手抜きが出来る訳じゃないとも言われたけど、岩くらいなら手抜きが出来る部分!
「どっちかというと、岩っぽい形にする方が難しそう……?」
まぁでも、庭から撮った姉さんの部屋の横にある縁側の岩を参考にしていくのですよ! 普段から見慣れてるから今まで気にしてなかったけど……我が家のこれ、何気に良い素材な気もするよ? うん、まぁいいや!
「自宅のなら、特に権利を気にする必要はないもんね!」
姉さんに、参考資料も丸パクリは駄目だって言われたもんね。まぁ元々、そういうつもりもないけど……どんな資料用の写真や衣装でも、それぞれに作った人の権利があるから、その事を忘れちゃ駄目って言われた!
ただし、その権利を持ってる人の許可や、自分自身がその権利を持ってる場合は問題ないとも言ってたもんね。姉さんが色々とくれた資料の写真は、全て許可を得てるって話だったし、自宅を参考にするのも問題なしって言ってたから大丈夫!
「……本当、今の姉さんは私の師匠だよね」
少し前に帰省してきた時だけだけど、その時に色々と教わったもんね。機会があればまた教えてくれるとも言ってたし……うん、その時に成長を見せられるように、頑張ってやっていこー!
◇ ◇ ◇
「やった! 出来た!」
昨日の屋根ほどは苦戦せず、縁側が完成だー! 岩の上に乗せる柱の高さの微調整に少し手間取ったけど、その程度の問題だけだったのですよ!
床板はテクスチャのパターンを変えた板を、木目の位置をズラして並べるだけだったし、大した手間じゃなかったね!
「釘とかで固定する必要もないってのはいいよねー!」
実際の建築とは違うから、部品ごとの接着は特に必要なし! パーツ毎に座標を固定してしまえば、そこから動きはしない――
「あ、17時!? ギリギリセーフ!」
アラームが今鳴ったとこだけど、時間までには完成したのですよ! ふふーん、これなら今日の配信は縁側で出来る!
「よーし、それじゃ兄さんにチェックしてもらおー!」
私なりに無駄を省く努力はしたし、すんなり兄さんからの許可が出ればいいなー? とにかく、作業内容を保存して、フルダイブは一旦終了!
◇ ◇ ◇
フルダイブを終えて、兄さんの部屋の前までやってきた! あの椅子でのフルダイブ、特に身体が痛くなったりはしないんだね。うん、快適、快適! まぁ今はそれはいいや!
「兄さん、今いい?」
「ん? あぁ、言ってた件か。あー、少しだけ待ってくれ。一旦、中断する」
「はーい!」
兄さん、何かしてる途中だったのかな? まぁ兄さんもよくフルダイブをしてるけど……何やってるんだろ? あ、そういえば兄さんはオンライン版のモンエボをやってるって、前に言ってたっけ! まさしく、今やってた最中だったのかも!?
んー、兄さんってどのくらい強いんだろ? はっ! もしかして、ミナトさんみたいに超上級者って可能性もあるのかも!? 兄さんなら、ミナトさんが時々言ってるような無茶な事でも平然とやりそう――
「待たせたな。手早く確認するから、ちょっと見せてみろ」
「お願いします!」
ちょっと兄さんの強さを考えてたら、思ったより早く出てきてくれたね。なんというか、お手間を取らせてすみません! でも、こうやってチェックしてくれるのは助かるのです! ……今年度中までがそれが出来る期限とは言われたから、それまでには自分で出来るようにしとかないとね。
「……ほう? 思った以上に、ちゃんと軽量化が出来ているな。柱や床板をわざわざ1つずつ別データにするなんて真似もしてないか。ただ、瓦は……種類が多いな。これ、実際の瓦の組み方だな?」
「うん! 同じ種類のは一緒のデータでやったけど、元々の種類が多くて……」
「……和室の離れなら、簡易的な屋根よりは本格的な瓦にしたいとこか。まぁこの程度なら許容範囲だが……この襖の奥の、何もない空間はそのままでいいのか?」
「あ、うん! 設計ミスみたいなものだけど、下手に弄る方がややこしくなりそうだから!」
「……削れる部分ではあるが、まぁそれで良いなら問題ないな。これ、もうすぐにでも反映は出来るが、やっておくか?」
「出来るなら、お願いします!」
「それなら、少し待っておけ。すぐに反映させてくる」
「うん! 兄さん、ありがと!」
うふふ、今日の配信までには和室の改装は間に合ったー! これで庭に出れ……あれ? よく考えたら、庭に出る為の履き物がない気がするよ!?
ぎゃー!? それ、どうしよう!? なんで今の今まで、そこの存在を忘れてたの!? サンダルとか、思いっきり思い当たるヒントがあったはずなのに!? ……今から作れば、間に合う? 和服に合わせるなら、草履だよね!?
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