第654話 タカとの決着
ふふーん! ちょっと当たり方は浅かったけど、それでもタカに『出血』を入れられたのは大きいね!
「わっ!? わわっ!? 『出血』でもお構いなしに、襲いかかってきますね!? 『発火』の分だけ、少し怯んでますけど、それでも突っ込んできてるんですけど!?」
わー! 回避、回避、回避ー! でも、動けば動くほどダメージ量は増えていってるし、圧倒的に有利になってきた!
ミツルギ : 知恵が弱点で低いから、まぁこういう時は動きまくるんだよなー。
G : あれだな! 火でもお構いなしに突っ込んできた個体と同じようなもんだ!
イガイガ : まぁこれも火に突っ込んできてる状態ではあるしなー。
富岳 : 知恵のステータスで、実際の行動パターンに変化が起きてくるのは大きい部分だろうよ。
咲夜 : プレイヤーには、そういう影響はないんだけどなー。
神奈月 : ゲーム内のステータスで、実際の思考に影響が出てたまるかって話だぞ、それ。
いなり寿司 : まぁそれは言えるな。そんなの出来たら、洗脳可能な危険な装置に変わってしまう。
「……あはは、確かにゲーム内のステータスで、思考が変わるなんてのは嫌ですよねー! わっ! わわっ! 『放火』『放火』『放火』!」
『出血』でのダメージ量は増えてるけど、当たり方が浅かったから、元々の出血量が少なめだったのかも? あんまり今まで意識してなかったけど、傷の深さでダメージ量って変わるんだ?
というか、この『発火』の状態、あんまり意味ないよね!? 私は攻撃を躱してるし、全く怯んでない訳じゃないけど、普通に突っ込んできてるし!
「うーん、生命も弱点ではありますけど、エリアボスだけあって、HPは多いみたいですね。まだ4割、残ってます……って、旋回し始めましたし、また溜め攻撃ですか!?」
むぅ……旋回し始めたら、出血での継続ダメージ量がちょっと減ったよ!? 動きが規則的になったから、出血量が減ったの!?
サツキ : エリアボスのタカ、また溜めを開始ー!
ミツルギ : あー、再使用時間が過ぎたのか。さて、サクラちゃんは今回はどう凌ぐ?
こんにゃく : この感じだと、溜め完了までに生命が尽きるって事はなさそうだな?
ヤツメウナギ : だろうなー。傷の深さで出血量は変わるから、さっきのは傷が浅かったか。
金金金 : へぇ、そんな要素もあったのか。
真実とは何か : それが真実の仕様である!
ミナト : オンライン版じゃ、『出血』は無くなった要素なんだよね。毒系統も、動きで継続ダメージが増す要素は無くなってるしさ。
富岳 : どっちも強過ぎる効果だから、バランス調整が入った要素だな。
「ちょいちょいオンライン版の話題は出ますけど、ここも変わってる部分なんですか! とりあえず、HPの回復はしておきます!」
ドラゴンフルーツ……は流石に勿体ないから、野イチゴを食べて回復なのですよ! 耐えるにしても、HPは全快させてないと危ないし!
サツキ : サクラちゃん、回復だー!
水無月 : 回復だー!
イガイガ : 回復するって事は、今回も耐える方向か?
「あ、はい! 今から私が溜めても間に合わないでしょうし、耐え……あ、これなら間に合います? 『放火』!」
ふふーん! これならどのタイミングでも溜めは終えられるし、遠距離攻撃じゃないなら当てやすいかも!
ミツルギ : あー、カウンター気味に爆発させる方向か。確かに、今回はそれも悪くないな。
ミナト : 当てる方向にもよるけど、攻撃の軌道が逸れて外す事も出来るしね。
イガイガ : 出た! ミナトさんの気軽な、高難易度の発言!?
神奈月 : 側面から当てれば出来るけど……いや、俊敏が低いエリアボス、しかも翼が傷んでる状態なら、そこまで高難度でもないか?
富岳 : 少なくとも、さっき一撃は入れられたし、完全に不可能とは言い切れんぞ。
「おー! 当て方次第では、攻撃を避ける事も出来るんですね! なら、それを狙っていきましょう!」
『出血』と『火傷』で着実にHPは削れているし、火もかなりタカの状態を悪くはしてるもんね! 溜めている『放火』がどれだけの威力になるか次第だけど、上手くいけば躱わす以前に仕留められるかも!
まぁ仕留められない可能性もあるから、側面から狙って吹っ飛ばすのを第一に考えよー!
「あ、『発火』が切れました……。今回、あんまり役立ちませんでしたね!?」
ぐぬぬ! 折角使ったのに、ほぼ意味がなかったよー!
ミツルギ : まぁ攻撃を躱してたら、そもそも意味がないスキルだしなー。
いなり寿司 : 自分が近接攻撃を仕掛けていれば、それでも効果は発揮するが……相手がこのタカだと、そうもなる。
G : 触れなきゃ意味がないスキルだからなー。
真実とは何か : 状況的に相性が悪い。それが真実なのである!
「……あはは、まぁそうなりますよねー」
多分、それは『雷纏い』でも同じ事だし、今回の戦闘にはただ単に向いてなかっただけなんだろうね。うん、まぁそういう事もありますとも!
「あ、タカの残りHPが3割を切りましたね。これ、溜めた『放火』で仕留め切れます?」
出来ればそれがいいんだけど、皆さんの見込みはどうなんだろ?
ヤツメウナギ : あー、堅牢は高いし、エリアボスだから……微妙なラインか?
ミツルギ : サクラちゃんは『縄張り』を使用してる上に、器用系統の影響を大きく受ける『放火』だから……倒せる可能性はある。ただ、段階的に溜めてる訳じゃないから、正確な威力が読み辛いんだよな。
富岳 : サクラちゃんの方が溜めの開始が遅いから、その分だけ威力は控えめにもなるしな。まぁそれでもそれなりの威力になるだろうが……倒し切れるとは断言出来ん。
サツキ : あっ! タカが動き出した!
「あ、本当です!?」
皆さんの意見は聞けたけど、それについて考えてる時間はないっぽい!? もう真っ赤に視界が染まってるし、ここでちゃんと当てないと!
「……そこです!」
もう目の前まで迫ってきたタカだけど、その横っ面に向けて『放火』を溜めた火の球をぶつけちゃえ!
「わっ!? とっと!?」
危ない、危ない! 思いっきり至近距離で爆発したから、体勢を崩しかけちゃった。
「あ、タカはどうなりまし……地面に墜落してますね? まだ生きてますけど、『朦朧』になってますし……絶好の攻撃チャンスじゃないですか!」
残ってるHPは1割もないし、ここで攻撃しないなんて選択肢はなーい! うふふ、これは勝ちが見えたね!
サツキ : サクラちゃん、いっけー!
水無月 : いっけー!
「はい、思いっきりいきますよー! 『強爪撃』からの『双爪撃』!」
むぅ……これで仕留め切れるかと思ったけど、まだHPは残ってるね。あと少しなのに、やっぱりエリアボスはHPが多いよ!? あ、もう『朦朧』が治った!?
「逃しません! 『強獲牙』! ふっふっふ、捕まえましたよ!」
飛び上ろうとしたタカの脚に噛みついて、逃亡は阻止した――
「わー!? 顔に蹴りを入れないでください!?」
ぐぬぬ!? このタカ、何をしてくれてるんですかねー!? 死に損ないが、悪足掻きをしてるんじゃないですよ! 思いっきり頭を振り上げて、そのまま地面に叩きつけてしまうのです!
<成熟体を撃破しました>
<進化ポイントを2獲得しました>
<エリアボスを討伐しました>
<サクラ【巧妙なライオン【火】】が成熟体:Lv59に上がりました>
<基礎ステータスが上昇します>
<進化ポイントを4獲得しました>
「やりました! エリアボスのタカ、撃破完了です!」
ふふーん! これで上限Lvにも到達して……って、あれ? 今ので到達すると思ってたのに、到達してないよ!?
「……ほんの僅か、経験値が足りてません!?」
ぐぬぬ!? あと1体、どんな雑魚敵でも倒せば到達するくらい、ほんの少しだけ足りてないよ!? この絶妙な足りなさ、なんか悔しいんだけどー!
金金金 : 悔しそうな狐っ娘アバター。このあと少しの足りなさだと、気持ちは分かる。
ミツルギ : まぁそれくらいなら、近くの雑魚敵……今は縄張りのせいでいないな。
いなり寿司 : 最低でも、縄張りを出るまでは我慢か。
サツキ : サクラちゃん、ドンマイ!
水無月 : ドンマイ!
ミナト : まだもう少しは配信の時間もあるし、縄張りを抜けつつ、次のエリアへ向かうのがいいかもね?
「なんか不満ですけど……それがよさそうですよねー。まぁあと少しで上限Lvにはなりますし、配信時間も残り20分を切ったとこですし、移動していきましょうか!」
ちょっとガッカリしちゃう決着後の状態だったけど、エリアボスのタカへのリベンジには成功したもんね! うふふ、ともかく今日の目標はほぼ達成! 残り時間はのんびりやっていこー!
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