第653話 タカとの攻防
ぐぬぬ! エリアボスのタカが、上空からまた溜め攻撃を狙ってるっぽい! しかも、今度は遠距離攻撃!
「これ、どう考えても萎縮にしてのキャンセルは無理ですよねー!?」
あれ、距離があり過ぎたら届かないもん! 地上にいるなら近付けばいいけど、空を飛ばれてたらどうしようもないよ!?
金金金 : 慌てる狐っ娘アバター。空中のいる飛行種族は、厄介っすなー。
咲夜 : マジでこの手のやつは厄介なんだよ! 俺なら、倒すのは諦めて避ける!
神奈月 : 同じく! キャンセル出来る距離じゃないし!
いなり寿司 : 空中からの遠距離攻撃は、凶悪コンボ過ぎるからな。特に、広範囲の遠距離攻撃は酷い……。
こんにゃく : 自分がやる分にはいいんだが、やられると嫌なやつなんだよな。
「どう考えても厄介ですよねー!?」
ぐぬぬ! 本当にどう対処しよう!? 相手にしないって選択肢は選びたくないけど……届くだけ溜めた放火で、溜めが終わるまでに削り切るのは無理っぽいよね。
「……こうなったら、仕方ないです! 耐える方向でやりましょう!」
縄張りでステータス強化中なんだし、堅牢も前より高くなってるんだから、多分いけるはず! えっと、まずはこれだー!
急いでHPを回復して、胃袋も満タンにしちゃおう! 急いで回復したいから、採集したドラゴンフルーツを食べるのですよ!
「あ、確かに酸味と甘味が控えめなキウイみたいな味ですね! んー、個人的にはもう少し甘い方が好きですかねー?」
ガブリと丸齧りしたけど……ちょっと皮が食べにくい? まぁこれって普通なら剥いて食べる気がするけど、ライオンでは剥けないから仕方ないね!
うん、別に皮ごと食べても問題ない果物もあるんだから、そこは特に気にしない! ともかく、今は回復を急げー!
サツキ : サクラちゃん、回復開始!
水無月 : 回復開始!
ミツルギ : ま、戦闘を続けるなら、ここは耐久で凌ぐしかないか。
ミナト : 下手に避けようとしても、広範囲攻撃だから避け切れない可能性が高いしね。地上だけで動くなら、尚更にさ。
咲夜 : ……超上級者は、ここから上空に進んで距離を詰めていくから恐ろしい……。
神奈月 : 水への適応進化の『水化』と『放水』の併用で、空中戦用の足場を作ったりするんだよな。動画で見た事あるけど、同じゲームをしてるとはとても思えない動きだった。
「あ、そういえば足場に出来るって話でしたっけ!?」
ちょっとだけだけど、私も使ったやつ! ……まぁあれで空中戦をやれと言われても、出来る気は全くしないけど!
「よし、HP全快です! 次は胃袋も満タン……って、わー!?」
待って、待って、待って!? 視界が真っ赤に染まって……これ、間に合う!?
「『身構え』! ぐっ!」
凄い衝撃がきたけど……なんとかスキルの発動は間に合ってた! 踏ん張りも効いてるし、吹き飛ばされずに済んだね!
金金金 : おー、ギリギリで耐えたか。
ヤツメウナギ : 『縄張り』と『身構え』の併用でも、生命が3割も削られたか。……恐ろしい威力だな。
ミナト : 両方なければ……9割くらいは削られてたかもねー。
サツキ : 耐え切ったから、問題なーし!
いなり寿司 : まぁそれはそうだが……折角なら、『堅守の構え』で強化をしたかったところだな。
「あ、それも狙えたんでした!?」
うがー! 3割程度までダメージを抑えられたのなら、もっとダメージを受けてたとしても『堅守の構え』で強化を狙った方が良かったのかも!?
ぐぬぬ!? スキルを選ぶ余裕はなかったし、今更言っても仕方ないけど……なんか悔しい!?
「でもまぁ、なんとか凌ぎ……って、わー!? また羽根が飛んでくるんです!? わっ!? また背中を掴まれました!?」
ぎゃー!? 『身構え』の効果中だから、全然回避出来ずに攻撃を受けまくってるんですけどー!? ……ダメージ、かなり少なくなってはいるけど! 胃袋から回復もしていってるし!
G : それはまぁ、効果が切れるまでは仕方ない。
神奈月 : 『身構え』はそういうスキルだしなー。やっぱり、軽減率が低くても強化が入る『堅守の構え』の方が良かったんじゃね?
イガイガ : 今更言っても、遅いけどな!
真実とは何か : まさにそれが真実である!
「本当、今更どうしようもないですよね!? 切り替えられるなら、今からでも切り替えたいですよ!?」
この猛攻を考えたら、結構な強化幅になってた気がする! でも、今からとか無理だから! ともかく、今は『身構え』の効果が切れた瞬間からの動きが大事!
「というか、離してくれませんかねー!?」
うがー! 持ち上げられはしないけど、背中を鷲掴みにされているのは嫌なんだけど!? 効果が切れたら、また焼いてやるのさー!
「あ、動けるようになりました! 今です! 『放火』『放火』『放火』!」
マニュアル操作で、思いっきり燃やしてやるのです! そして、私の背中から離れろー! あ、離れた!
「また上空へ飛び上がりましたね!? むぅ……まだHPは4割くらいしか削れてないですか……」
結構、放火や火傷の継続ダメージは入ってるけど……エリアボスだから、元のHPが多いみたい! 溜めてない放火は、1発ずつの威力はそこまで高くはないし――
「わっ!? わわっ!? もう面倒なんですけど、この回避!? 『放火』『放火』『放火』!」
うがー! 遠距離攻撃を何発か仕掛けてからの、距離を詰めての近接攻撃を繰り返し過ぎじゃないですかねー!? 距離がコロコロ変わるから、かなりやりにくいんだけど!?
「わっ!? わわっ!? とりあえず、減ったHPは回復です! 『自己修復』!」
溜めてる間でもなければ、回復アイテムを食べてる余裕はなーい! 胃袋はもうさっきの大技の回復で使い切っちゃったから、スキルで回復なのですよ! ふぅ、少し回復したから、ちょっとだけ安心。それにしても……。
「……『火傷』って動き回っても継続ダメージの量は変わらないんですね? というか、このタカは火に怯まなさ過ぎませんかねー!?」
うがー! 他の雑魚敵は火を避けるようにしてたのに……あ、知恵が弱点だから!? このタカ、頭が足りない子なの!?
ミツルギ : 毒と違って、火傷は動けば全身に回るものでもないからな。
富岳 : 一応、動き回り過ぎると『火傷』の自然治癒が遅くなっていくというデメリットはあるが……戦闘中に影響する部分でもないのがな……。
ミナト : 動き回る相手には『出血』か『毒』が有効ではあるんだけどね。手段自体はあるから、サクラちゃんがどう当てるかが問題だよ?
チャガ : あと、一応だが火に怯んではいるぞ?
ヤツメウナギ : 『放火』からは逃げるように、上空へ飛び上がってるしな。何もない時に比べると、少し飛び上がるのが早い。
ミナト : 俊敏が低めなのと、『火傷』の影響で飛ぶ動きが少し悪いから、気付きにくい変化ではあるけどねー。
「え、火には怯んでたんです!? そうなると『出血』や『毒』をどう入れるかが問題……わっ!? わわっ!? 『放火』『放火』『放火』!」
回避してから放火を当てるのが精一杯なのに、毒の実を投擲で当てるとか、カウンターで爪を当てるとか難しいんですけど!?
縄張りでステータス強化になったから、多少は回避しやすくなった気もするけど……あれ? 少し回避に余裕が出来てるような気もしてきた? もしかして、今ならカウンターも狙える!?
金金金 : 意を決したような表情の狐っ娘アバター! さぁ、ここから反撃か!?
サツキ : サクラちゃん、やっちゃえー!
水無月 : やっちゃえー!
「はい! 『放火』に少しでも怯んでいたのなら……これならどうですかねー!?」
飛んでくる羽根を今回は避けずに、タカを見据えて……。
「……今です! 『発火』! あ、確かに怯みましたね! 『強爪撃』!」
ふふーん! 火を放ち始めた私を避けるような挙動があったけど、明確な隙なのですよ! そこに大急ぎで爪を振り抜いていくのさー!
「ちょっと当たり方は浅かった気がしますけど……やりました! 『出血』になりましたね!」
クリーンヒットではなかったから上空に飛び上がられちゃったけど、それでも『出血』に出来たのは大きいよ!
神楽 : おー! 少し手が離せなかったけど、戻ってきたらボス戦のいいとこっぽい!
金金金 : ここからサクラちゃんの大逆転の開始ってとこだな!
ミツルギ : 今の当たり方で『出血』になる確率は低めだが……ラッキーだぞ!
富岳 : 『発火』を使ったなら、少し近接攻撃は控えめにはなるかもしれん。
G : さてさて、ここからどうなる?
「私は、このタカを倒す為に全力を尽くすまでですね!」
タカの残りHPは約半分! 半分は削れたんだし、残り半分も頑張って削って仕留めるのですよ! 多分、それで上限のLv60に到達するしね!
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