第652話 タカの猛攻


 わー!? どうも、今のタカは上空を旋回しながら溜めてるっぽい! これ、どうすればいいの!?


「とりあえず、溜めてる場合じゃないですね!? 今の溜めで届けばいいんですけど……いっけー!」


 ともかく、他の手段を使う為にも放火の溜めは中止! 無駄撃ちにはしたくないから、これは届いて!


「あ、なんとか届きましたね! ギリギリですけど!」


 ふぅ、当たってくれてよかったよ。今は夜だから、ちょっとタカの位置が分かりにくいんだよね。


ミツルギ : ギリギリもギリギリだったけどなー。まぁ当たっただけ、よしとしよう。

富岳 : 旋回している分だけ、移動する範囲が絞れて、狙いやすくはあったしな。

神奈月 : 『放電』よりはどうしても着弾までに時間がかかるけど、まぁ上手く当たった方か。


「あはは、確かに『放電』は一瞬ですもんねー」


 『放火』と『放電』の大きな違いってそこにもあるよね。『放火』は地味に当たったところでは止まらなくて範囲攻撃にもなってるから、攻撃の速い『放電』とは使い勝手は結構違うのですよ!


「さてと……もう少しで『縄張り』が使えそうですけど、今すぐ使いたいですね!? まぁ使えないものは仕方ないので、今はこれです! 『疾走』!」


 ふふーん! 上空で旋回しながら溜めているとしても、狙いを定めにくくすれば回避出来るはず! という事で、思いっきり走っちゃえ!


サツキ : サクラちゃん、疾走開始!

水無月 : 疾走開始!

ヤツメウナギ : あー、移動して狙いを定めさせない方向で対処するのか。

ミツルギ : まぁ溜め攻撃は、基本は回避推奨だしな。疾走で逃げ回るのはありだろ。

富岳 : 『背水の陣』を使えれば、あえて受けるという手もあるんだが……まぁこれはサクラちゃんは持ってないからな。


「そういえば、HP1で確実に生き残るんでしたっけ! ……それ、どこかの機会で解放しちゃいたいですねー」


 すぐに回復しないと危険そうな気もするけど、それでも死なずに済むのって大きいよね! まぁ今は使えないから、気にしない!

 今はともかく、狙いを定められないように動き回るのです!


「……むぅ、ちょいちょい周囲に敵がいるのが邪魔ですね!?」


 うがー! タカだけを確認していたいのに、そもそも見上げなきゃいけないし、見上げても夜でタカは見えにくいし、その上で周囲にも注意をしないといけないのって厳しくないですかねー!?


いなり寿司 : 邪魔といえば邪魔だが……それはどうとでもなるだろ。

咲夜 : これは、また手段を失念してるパターン!?

イガイガ : そこは言ったらダメだろ!?

G : いや、このやり取りで慌てるというのまた面白いかもしれんぞ?


「え、何か手段が……って、あー!? 別に『縄張り』が使えなくても、どうにか出来ますよ!? 一旦、止まります!」


 わー!? 最近、こっち単体で使う事がなかったから完全に忘れてた! 大急ぎでズサっと止まって――


「っ!? あ、危ないですね!?」


 止まって瞬間、視界が真っ赤に染まったよ!? 慌てて横に跳び退いたけど……止まった瞬間に狙ってくるのは酷くないですかねー!

 ぐぬぬ! 溜め攻撃はなんとか躱せたけど、ギリギリ過ぎたー! うぅ……今のタイミングでは止まるべきじゃなかった!


ミツルギ : タカからすれば絶好の攻撃チャンス。そりゃ狙ってくるよな。

富岳 : 俊敏が弱点でよかったな。そうじゃなきゃ、今のは回避は間に合ってない。

G : わっはっは! やっぱりこうなったか!

イガイガ : 相変わらず、他の事に意識が向くと変な事になるなー。

ミナト : サクラちゃん、今のはタカが真っ正面から攻撃してきたから回避出来たけど、後ろから来てたらアウトだったからね! 周囲の状況が気になるのは分かるけど、そっちに意識を持っていかれ過ぎないように!


「……はい、そこは反省です。って、わっ!? わわっ!? また羽根を飛ばして……また突っ込んできました!?」


 ぎゃー! 旋回して溜め攻撃の準備をする前の動きに戻ったんだけど!?


「ともかく、今のうちにこれです! 『威嚇』!」


 これで雑魚敵はどっか行ってしまえー! 『畏怖の気迫』の効果は、本来はこの『威嚇』のものだもん! 今の今まで完全に忘れ去ってた手段だけど、今はこれが有効なはず!


咲夜 : おっ、やっと使ったか!

ミツルギ : まぁタカとは既に交戦状態に入ってるし、他の敵がマップに表示されても問題はないしな。

イガイガ : 確かになー。『索敵』で表示されるのを避けてたけど、あれは『縄張り』の再使用時間を待つ為だけだったし。

サツキ : 今となっては、その意味はなーい!


「ふっふっふ! 雑魚敵は散って下さい!」


 ふふーん! マップに赤い印が沢山出たけど、どんどん逃げ出していってるね! うふふ、これで――


「わっ!? わわっ!? なんとか1対1の状況には出来ましたけど、タカの攻撃は厄介です!」


 これまで何度かタカって遭遇したけど、今回のタカは特に厄介な気がする! ぐぬぬ、何が秀でているかでかなり違うのかも!


サツキ : サクラちゃん、避ける、避ける、避けるー!

金金金 : 周囲の雑魚敵が逃げていったから、タカだけに集中出来るようになったな。このタカ、やっぱり攻撃自体は遅めか?

ミツルギ : エリアボスにしては、かなり遅い方だな。そうじゃなきゃ、もう何発も当たってる。

富岳 : 飛行種族のエリアボスってのは、本来ならライオンでは相当倒しにくい相手だからな。地面に近付いてくるのと、速度が控えめだから、カウンターを狙いやすい個体ではあるが……。

いなり寿司 : カウンターは得手不得手があるからな。


「さっき、思いっきり失敗しましたしねー! わっ! わわっ!? あ、再使用時間が過ぎました! 『放火』『放火』『放火』!」


 襲いに降りてきたタイミングを狙って、火を放ちまくるのですよ! うん、確かにこのタイミングは狙いやすいし、実際結構当たってる!

 回避と攻撃の両方を狙うカウンターより、回避後のこの攻撃の方がやりやすいよね! 


ミナト : 突撃に合わせて、その勢いを利用して爪を振り抜くっていうのも有効だよー! 勢い分だけ、ダメージも上がる! まぁ出来れば、敵が速い方がいいんだけどねー。

神奈月 : ミナトさんは、相変わらずの高難易度な手段をサラッと言うな!?

こんにゃく : 相手が速ければ速いほどカウンターの威力も上がるけど、その分だけタイミングは合わせにくいんだが……。


「……あはは、とりあえずカウンターは私には無理そうです! わっ! わわっ! そこです! 『放火』『放火』『放火』!」


 回避と同時に攻撃とか、無理なのですよ! 地上にいる敵ならまだ出来そうな気はするけど、上からはさっきみたいに失敗する気しかしないもん!

 せめて、失敗しても大丈夫なように『縄張り』でのステータス強化くらいは欲しいし……って、思ってたら再使用時間が過ぎたー!


「ふっふっふ、お待ちかねのこれが使えるようになりました! 『縄張り』!」


 これでステータスが大幅にアーップ! HPも残ってる割合に合わせて、強化分だけ回復もしたし、ここから大反撃を開始……。


「……あのー、今度はホバリングで滞空してるんですけど……今度は別の溜め攻撃なんです!?」


 待って、待って、待って! HPは6割くらいまで削ったけど、また溜め攻撃なの!? しかも、今度はさっきよりもかなり上空なんだけど!?

 ぐぬぬ! 夜空だからタカの位置が分かりにくいのに、更に上空に上がられると余計分かんないんだけど!?


ミツルギ : さて、次は遠距離からの溜め攻撃か。サクラちゃんはどう避ける?

富岳 : 1つアドバイスだ。遠距離攻撃の速度は、俊敏よりも器用のステータスが重視されるから……今度のは速いぞ?

ミナト : 完全に動きが止まってるから、ほぼ確実に使ってきているのは『獅子咆哮』に近い『烈風翼』だろうな。

こんにゃく : 空からの広範囲の溜め攻撃とか、相当凶悪なやつっすなー。


「嫌ですね、それ!? どう対処しましょう……?」


 上から『獅子咆哮』で狙われるって考えたら、本当にとんでもないね!? これ、躱そうと思って躱せられるの? 縄張りは発動出来たんだし、躱わすより耐えるのを考えた方がよかったりする?

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