第655話 縄張りから抜ける為に


 ふっふっふ! 忌まわしき、今日の私を最初に殺したエリアボスのタカの撃破は成功なのですよ! ちょっとだけ経験値が足りなくて、上限のLv60には届かなかったのが悔しいけど!


「さてと、とりあえず縄張りを出ましょうかねー? あ、その前に、進化ポイントはいくらになったか確認しておきますね!」


 Lvも大事だけど、進化ポイントも大事だった! 多分、足りてそうな気はするんだけど……動き出す前に確認だー!


ミツルギ : あー、Lvが届いてないから、微妙に足りてるかが分からんな?

ミナト : ギリギリあるか、少し足りないくらいかも?

真実とは何か : 真実は如何に!?


「あはは、もう足りてたらいいんですけどねー。まぁどっちにしても、まだLv1は上げる必要もあるので、少し足りない程度なら問題ないですけど……って、丁度100でした!?」


 多い訳でもなく、少ない訳でもなく、進化に必要な量がピッタリあったよ! うふふ、こういう時に丁度だと、なんか嬉しいよねー!


金金金 : 笑みを浮かべる狐っ娘アバター。進化用の進化ポイントは、もう確保出来たか。

咲夜 : あと1体、なんでもいいから倒せば、進化は出来そうだし……これ、今日中に出来るんじゃね?

イガイガ : あー、確かに?

サツキ : サクラちゃん、その辺はどうするのー? 今日中に進化までやっちゃう?


「えっと、どうしましょう? 今すぐに出来るなら、それもありな気はしますけど……縄張りの外まで移動が必要ですよね?」


 うーん、縄張りの範囲は結構広いから、その移動を済ませた後からって考えると……あんまり時間の余裕はないかも? 変に慌ただしくなるのも嫌だし……。


「んー、まぁ時間があればですね? その時の考えましょう!」


 多分、これが慌てる必要がない無難な選択なのですよ! 完全体から解放出来るようになるスキルツリーもあるだろうけど、まぁそこまでは無理な気がするけど。


ヤツメウナギ : 早く進めば、今日中の進化もあり得るか。

こんにゃく : 遂に完全体への到達が見えてきた! なんだかんだで、ここまで結構時間がかかったな?

イガイガ : まぁ最初の1種族目が、1番時間はかかるからなー。

ミナト : でもまぁ1種族目のクリアは、ある意味、スタートラインでもあるけどね。


「え、1種族目のクリアがスタートラインなんです!? もう結構やってる気がするんですけど!?」


 今日の配信が17回目だし、毎回2時間やってるんだから34時間……実況外のプレイを入れたら、もっとやってるよね!? まぁでも、今はイージーしか出来ない状態だし、色々と解放される要素もあるみたいだし……って、まだ完全体の先にも進化階位がありそうだったよね!?


富岳 : モンエボ……特にオフライン版はやり込み系のゲームだからな。明確なストーリー的なエンディングは無いに等しいから、やろうと思えばいつまででも出来る。

ミナト : 種族によって全然違うし、同じ種族でも育成方法の違いでも全く別物になるからねー。

G : オフライン版のモンエボのボリュームは、半端ないからな。フルコンプしてるプレイヤーは、ほとんどいないんじゃね?

神奈月 : 高難易度に挑戦していくか、自分に見合った難易度であちこち探索していくか、方向性が分かれてくるしな。

咲夜 : その両方を両立させていく、実力派がいるのもヤバい!?

イガイガ : サファリ系プレイヤーの一部の層が、その手の人だしな。

チャガ : その代表例としては、ミナトさんか。

真実とは何か : それが真実なのである!


「……あはは、やっぱりミナトさんは凄いんですね? まぁともかく、まだ完全体へも進化してませんし、その先もありそうですし、1種族目のクリアまではもう少しかかりそうですね!」


 それでも、1種族目の終盤に差し掛かっている感じはある! 次の進化階位の名前からして『完全体』なんだしねー!


「さてと、とりあえずこれ以上の雑談は縄張りの外へ向けての移動中にしましょう! 今からなら直接、東に向かっても良さそうですね! 『疾走』!」


 という事で、思いっきり駆け出していくのです! 目指すは、サイコロ様が指し示した東のエリアへ繋がる部分!

 この感じなら、設置した『再誕の道標』は使わなくても問題はなさそう? はっ!? そもそも、今の状態でどうやって死ねばいいの!?


「……あの、予定外にエリアボスと遭遇した形になりましたけど……元々の予定だと、どう『再誕の道標』を使えば良かったんですか?」


 その辺、よく考えずに設置しちゃってたー!? え、エリアボスの撃破後に時間短縮のつもりで設置してたけど、もしかしてあんまり意味なかったの!?


ミツルギ : そこ、考えてなかった!?

イガイガ : サクラちゃんらしいっすなー。

G : ですなー。

ミナト : この辺だと自分から死ねる手段は限られるから、河川域に戻る必要があったかな?

富岳 : 手段としては、河川域に戻って川で死ぬか、乱獲して完全体の個体を出現させてから殺されるくらいだな。

チャガ : まぁどっちも少なからず時間はかかるから、素直に移動するのとどっちが早いかは……正直、微妙なとこだぞ。


「あ、そういう手段はあったんですか!? あんまり『再誕の道標』を設置してた意味がないですね!?」


 うぅ……折角設置したのに、死ぬ為に時間がかかるんじゃ時間短縮になってないよ!? まぁどっちにしても使う必要も無くなったんだし、別にいいや!


こんにゃく : まぁ何かの機会に戻ってきたい時もあったりするから、設置しておく事自体は悪くないぞ。

咲夜 : あー、でも1種族目だと微妙じゃね? 自由な転移の制限解除されるのってクリア後だし……。

こんにゃく : あ、そういやそうか……って、おい!?

神奈月 : ちょ!? それ、ネタバレ案件!?

G : またか、咲夜さん。

イガイガ : 今度は完全なネタバレだよなー? 流石に処罰がいるんじゃないか?


「……あはは、自由に転移が可能になる要素もあるんですか。咲夜さん、どう考えても、今回のはアウトです!」


 まぁ1種族目をクリアするまでは無縁みたいだし、クリア後に色々と解放されそうなのは察してるけど、明確に言っちゃダメな部分だよね!


咲夜 : しまった!? くっ! 今回はアウト判定になっちまった!?

神奈月 : むしろ、今までよくアウト判定になってないもんだよな……。

イガイガ : 遂にこの時が来た! 咲夜さんへ、処罰の時が!

G : さぁ、大々的に巻物に名前を晒し上げられるがいい!

ミツルギ : そうか、遂に実行される時が来たか……。

富岳 : 良かったな、今日は特に宣伝がない日で。

サツキ : お店の人に迷惑はかからないもんねー!


「なんだか、皆さんの方が嬉々としてませんかねー? まぁ前に執行猶予とは言いましたし、今回のはアウトなんで、実行していきましょうか!」


 えっと、確か『ネタバレ厳禁』って書いてるとこに処罰者として名前を記載にするって決めてたんだっけ。一旦、ズサっと止まって、モンエボから和室に切り替え!


水無月 : あっ、和室の方に切り替わったね。

ミナト : あはは、まぁもうこれは仕方ないかな? 音声なしでのコメントでのネタバレ多発になりそうなのは気になるけど……サクラちゃんはそっちからほぼ情報を拾わないし、大丈夫そう?

いなり寿司 : 音声ありに切り替えて、ネタバレ狙いにしてくる奴が出てこなければ大丈夫な範囲だろ。

ヤツメウナギ : そこまでいくと、もはや確実に悪質な視聴者だから、ブロックでも構わんだろうしな。

こんにゃく : 音声なしのコメントでなら、もう既にいつもネタバレは流れてるし……まぁアーカイブになった時には大体が通報されて非表示にはなってるし、気にする必要もないだろ。


「え、音声なしのコメントって、ネタバレは普通にあるんです!? ……それ、迂闊に見れませんね!?」


 最近、電車での移動中にコメントのチェックはサッパリ出来てなかったんだけど、そこで見てなくてよかったのかも!? というか、ネタバレコメントって通報で非表示にもなるんだ!? うん、まぁ問題なさそうだから、それはいいや!


「よし、出来ました! 私の配信で、初の処罰者ですね!」


 『ネタバレ厳禁』の横に、『違反者:咲夜』の追加は完了なのですよ! 配信が終わる時には消すけど、それまではこのままだー! あと、アーカイブには残り続けるね!


咲夜 : そんな不名誉な初はいらないんだが!?

チャガ : どう考えても、自業自得でしかないな。

富岳 : 今まで、結構サクラちゃんの温情があって、執行猶予で止まってたんだからな。

真実とは何か : 紛れもない真実なのだ!

咲夜 : うぐっ!?


「さーて、それじゃ移動再開です! 早く縄張りを抜けたいですねー!」


 縄張りを抜けたら、すぐに敵を見つけてLv60にするのですよ! 縄張りから逃げ出ていった敵がいるはずだから、簡単に出来るはず! その為にも、モンエボに戻していこー!

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