第635話 火での攻撃


 うぅ!? 格上の敵ばかりの中で縄張りを使ったんだから仕方ないとはいえ、敵の攻撃が激しいよー!? ぐぬぬ! ともかく転んじゃった状態から起き上がって……!


「ともかく、活路を作ります! 『放火』『放火』『放火』!」


 放電と違って、明確に火は敵が避けようとしてくるのは大きな違いだよね! でも、そんなのはお構い無しに飛んでくるサボテンの針が痛いよー!?


「わっ!? わわっ!? 『放火』『放火』『放火』!」


 でも、なんとかこれで凌ぐしかない! 死ぬとしても、何体かは……倒したいけど、倒せるか怪しいね!?

 ぎゃー!? サボテンの数、増えてきてるー!? 駆け抜けていきたいのに、もう完全に囲まれちゃってるよ!? 吹き出す火で近付けないように牽制は出来てるけど……これ、攻撃にはなってないよね!?


金金金 : 慌てる狐っ娘アバター。まぁこりゃ、また死ぬんだろうな。

真実とは何か : それ以外の真実は、極めて低い可能性である!

ミツルギ : まぁどんどん数が増えてきてるし……時間の問題だな。

咲夜 : 数の暴力は凄まじい!


「やっぱり厳しいですよねー!? 『放火』『放火』『放火』!」


 うがー! 少しくらい倒したいのに……あ、でも知恵が弱点のヘビは自分から火に突っ込んできて、『火傷』の状態異常になって……わー!?


「火だるまになった状態で突っ込んでこないでください!? わー!? もう逃げる場所がないですよ!? 『放火』『放火』『放火』!」


 ぎゃー!? 何も手を加えすに真っ正面に火を吹いてるだけじゃ、真っ正面以外からは距離も詰められて、何度も攻撃を受けるようになっちゃってる!? 

 高くなってる堅牢のおかげで、かなりダメージはマシになってるみたいだけど……このままじゃ1体も倒せないまま、削り切られちゃう!?


ヤツメウナギ : かなり追い込まれてるし、完全に囲まれたなー。

G : 火に包まれるサソリに、襲われるライオンか!

イガイガ : ヘビやサボテンもいるけどなー。

神奈月 : イグアナやリクガメとか、荒野には特有の種族も多いぞ。


「確かに色々いるっぽいですけど、そこまで見てる余裕はないですよ!? わー!? ヘビが脚に巻き付いて……火傷を負いながらって、何考えてるんですかねー!?」


 ぎゃー! 火で追い払えるのって、知恵が高い個体だけだよー!? 『火傷』を無視して攻撃してくる敵が厄介過ぎる!? でも、その分だけ継続ダメージが入ってるし……でも『発火』の効果が切れちゃった!?


サツキ : ほら、そこは知恵が足りてないからね?

ミツルギ : 知恵が足りないから、状態異常にはお構いなく突っ込んでくるという。あー、『発火』が切れたのは痛いか……。

いなり寿司 : 『雷纏い』と違って、動きを止めるタイプの効果じゃないからな。性質の差は大きい。

富岳 : 攻めずに様子を見てた知恵のある敵も、そろそろ仕掛けてくるぞ。


「わわっ!? 確かに一斉に襲いかかってきてます!? 近寄ってこないでください! 『放火』『放火』『放火』!」


 ぐぬぬ!? 火を吹けば避けていく敵は凌げるし、意外とこの攻撃での『火傷』の成功確率は高いみたいだから、結構継続ダメージを受けてる敵は多いけど……どう考えても、私が先に死んじゃうよ!?

 わー!? もう残りHP、半分を切っちゃったー!? 縄張りでかなり強化になってるのに……やっぱりこの数は厳しいかも!?


サツキ : サクラちゃん、ファイトー!

水無月 : ファイトー!


「頑張りますけど、何をどうすればいいんですかねー!? 『放火』『放火』『放火!』 ぐふっ!?」


 うぅ……真っ正面からの敵は追い払えるけど、それ以外の方向から攻撃を受けまくってるよー!? 他の方向もなんとかする方法は……。


「あっ! マニュアル操作で『放火』です!」


 どういう風になるかはまだ使ってなかったからの分からないけど……あ、こういう感じなんだ! 口から吹き出すんじゃなくて、こうだー!


金金金 : サクラちゃんの左側面を、炎が薙ぎ払う! なるほど、これがマニュアル操作の『放火』か。

ミナト : 指定した2点の間を、火が通っていく感じになるね。火力アップは溜める事で可能だよー!

富岳 : 燃焼範囲も溜めれば広がるが……まぁ現状じゃ無理か。


「全方位をカバーとか、流石に出来そうにないですね!? でも、可能な限り巻き込みまくってやります! 『放火』『放火』『放火』!」


 もう避けられないどころか、身動きすらろくに取れない状態だし、私自身を炙るように火を放つので――


<サクラ【巧妙なライオン【火】】が死亡しました>

<死亡した為、リスポーンとなります。リスポーンの手段を選んでください>

<『死亡還元』の効果で、進化ポイントを1獲得しました>


 あ、死んじゃった。でも、久々に『死亡還元』の効果を見た気がする! 1でも余分に貰えるなら、ありがたいのさー!


「まぁ今回の死亡は仕方ないですね! 問題は次にどこに出るかですが……変な場所には出ないで下さい!」


 という事で、早速ランダムリスポーン! えーと、どこに出たのかな? ふふーん! 今の死と引き換えに解放したマップで確認していこー!


ミツルギ : おっ、これは……?

富岳 : ほう? こうなったか。

水無月 : おぉ! 縄張りを使った甲斐があったのかも!


「ここ、多分ですけど……さっき展開してた縄張りの南端の方ですよね? ここから北の方に、赤い印が沢山ありますよ!」


 わー! やった、やった! これって今いる周辺の敵を、さっきの縄張りで引き寄せてて、この近くには敵が少ない状態になってるっぽい!

 しかも、この荒野エリアに入ってきた方向だから、Lv帯もそこまで高くはないはず! ……それでも私よりは格上だろうけど、今までの状況よりも遥かにマシ――


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<サクラ【巧妙なライオン【火】】が成熟体:Lv52に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを4獲得しました>


「あ、Lvが上がりましたね! 『火傷』の継続ダメージで死んだ個体でも出ましたかねー?」


 うふふ、戦闘の途中では1体も倒せなかったけど、死んだ後になってでも倒せる事はあるのです! いぇーい! マップも解放出来たし、死んだけど結果は悪くない気がするよ!


金金金 : 満面の笑みの狐っ娘アバター。まぁ結果オーライな状況になったか?

ミナト : 確かにそだねー。縄張りのお陰で敵がいない空白地点が出来て、そこにランダムリスポーンしてこれたのはラッキーだよ!

こんにゃく : 『火傷』になってた個体はそれなりにいたし、少し待てばもうちょい撃破になるんじゃね?

真実とは何か : その真実になる可能性は高いのである!


「あ、確かにそうなりそうではありますね! それじゃ、少し待機しましょうか!」


 うふふ、私よりも格上の敵だったんだし、経験値は美味しい――


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


「あ、言ってる間に死んだ個体がいましたねー! 経験値、美味しいです!」


 いぇーい! 一時はどうなるかと思ったけど、結果的にはいい感じになったのさー! 


金金金 : そういや、『火傷』での継続ダメージのダメージ量の判定はどのステータスになるんだ? 状態異常だし、『知恵』か?

富岳 : 基本的には『知恵』だが、火を扱うスキルは器用のスキルツリーに入ってくるから、『器用』のステータスも少しだが反映されるようだぞ。まぁスキルツリーの中にない場合は、一覧での表記では『系統外』になるけどな。

ミナト : 割合的には、知恵が8、器用が2くらいって感じだねー。『火傷』自体、成功確率も高いから、意外と使い勝手はいいんだよ?

金金金 : ほう? なるほど、確かにそういう要素なら悪くもないか。

神奈月 : まぁどうしても動きを止められる雷への適応進化の方が強い判定にはなるけど、火への適応進化も十分なほど強いからなー。デメリットが割とあるから、最強格とは言えないけど……火力は十分だ!


「おー! それはいいですね!」


 確かに動きを封じられる方が効果的にはいい気もするけど――


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<サクラ【巧妙なライオン【火】】が成熟体:Lv53に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを4獲得しました>


 こうやって継続ダメージで撃破出来るなら、決して悪くは……あれ? 何か忘れてるような……?


「あー!? そういえば、Lv60が上限とか出てましたっけ!?」


 待って、待って、待って! そのLvくらいなら今日中に到達する可能性はあるよね!? 完全体への進化、もう間近に迫ってたの!?

 ぎゃー! 進化ポイント、足りるのかな!? 完全体への進化にいくら必要なんだっけ!? うぅ、その辺を確認しないと!?

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