第634話 再びの死の後
むぅ……まさか2回目も死ぬとは思ってなかった!? でも、格上ばっかの中に放り出されたら、そういう状況になっても仕方ないよね!
「とりあえず、またランダムリスポーンをしますね。今度は、安全な場所に出ればいいんですけど……」
なんだか妙に嫌な予感がするんだけど……大丈夫かな? ううん、気にしてたって時間が過ぎれば勝手にランダムリスポーンになっちゃうんだから、思い切ってやるまでだー!
ミツルギ : さて、二度ある事は三度あるか、三度目の正直になるか……どっちだ?
咲夜 : ぶっちゃけ、どこに出ても危険なんじゃ? どこも格上なのはほぼ確定だし、格上じゃない入ってきた場所の付近にはエリアボスがいるし……。
神奈月 : それはまぁ、そうなんだよなー。
「不穏な事を言わないでもらっていいですかねー!? えーと……パッと見の光景に大差がないですけど、どの辺に出ました……?」
って、マップがまだ解放されてないから、現在地も分かんないよ!? でも、今回は近くに敵がいる気配はなさそう?
「とりあえず、周囲の確認ですねー。『看破』!」
えーと、これで反応は……っ!? わー!? サソリがいるー!? それにハリネズミやヘビとかもいるよ!?
「……Lv55前後ですね。いきなり襲われる状態ではないみたいですけど、ここも危険なのは変わらないですか!?」
ぐぬぬ! 私にとって、今のこの荒野に安全な場所はないの!? このくらいのLv帯なら、中央くらいだよね!?
ミツルギ : あー、まぁさっきよりはマシな場所だが……それでも危ない範囲なのは確かか。
ミナト : これくらいなら、振り切ってもいけるだろうけどねー。
こんにゃく : まぁ全力で『疾走』で逃げに徹しれば、俊敏系統以外からは逃げ切れる範囲か?
いなり寿司 : Lv9差は厳しいが、Lv4差ならなんとかなる範囲だろうな。今こそ『雷纏い』が欲しいくらいだけど……。
サツキ : 今のサクラちゃんは、火への適応進化だー!
「うぅ!? 確かに、今こそ『雷纏い』が欲しいですよ!? あれがあれば、攻撃されても麻痺にして切り抜けられるのに!?」
うがー! なんで火への適応進化にした途端に、こんな状況に陥ってるんですかねー!? Lv帯から大雑把な現在地を推測するしか出来ないし、思いっきり危険地帯のど真ん中! さっきよりは遥かにマシだけど!
「……もう、こうなったら自棄です! 殺すなら、殺して下さい! その代わり、マップは解放させてもらいます! 『縄張り』!」
<規定以上の範囲を把握しましたので【マップ】が解放されました>
現在地が分からないのは困るし、これでマップを解放だー! うふふ、敵も襲ってくるけど、もう2回も死んじゃってるんだし、もう少し安全な位置まで移動する為にまた死ぬのもありだよね!
サツキ : サクラちゃん、縄張りを発動だー!
水無月 : 発動だー!
金金金 : これ、大丈夫か?
ヤツメウナギ : ステータスが強化になるから、渡り合う事自体は可能になるが……問題は敵の数だな。
ミツルギ : 即座に死ぬ事はないだろうが……十中八九、数が集まってくれば死ぬな。
「あはは、やっぱりそうなりますよねー! でも、もう今日は死亡上等です! 『見切り』『弱点分析』『看破』!」
もう今日は死なないって目標は駄目になったんだし、ここで生き残る事よりも、可能な限り比較的安全な場所への移動を最優先で!
ミナト : サクラちゃん、過剰に死に過ぎないようにねー! 死に過ぎて別の適応進化しちゃったら、増幅した火の適応進化、上書きされて消えちゃうから!
G : あー、その可能性も出てきたか。まぁ必要回数も多いし、そう簡単には発生しないとも思うが……サクラちゃんだしなー。
イガイガ : さてさて、どうなるやら?
「そうなるのは嫌ですけど、そうならないように頑張ります! あっ、サソリが迫ってきました!?」
むぅ……サソリって事は毒がありそうだよね? 弱点は――
「わわっ!? 針が飛んできました!? あ、今の針はハリネズミの仕業ですか!? わっ!? わわっ!?」
待って、待って、待って!? サソリが迫ってきてる中、遠距離からのその攻撃はズルいよ!?
「わー!? 今度は黄色い毒を滴らせたヘビが迫ってきてるじゃないですか!?」
黄色いのは、麻痺毒だー!? あれ、受けちゃ絶対ダメなやつ! ここで動けなくなったら、あっという間に袋叩きで……あ、別にそれでも……やっぱり良くないよ!?
「死ぬにしても、全力で抗うくらいはやりますよ! 『連突撃』! おぉ! 回避に使えますね、これ!」
サソリを狙ってやったけど、完全に空振りだった! でも、ヘビの噛みつきは躱せたもんね!
「えい! やぁ! とう!」
うふふ、見切りの反応から抜け出すにも、これは使えるね! 普通に動くよりも瞬発力があるから、緊急回避に便利かも!
サツキ : サクラちゃん、避ける、避ける、避けるー!
ミツルギ : おー、『連突撃』を上手く回避に使ってるな。
いなり寿司 : 何気にあれ、緊急回避には便利なんだよな。1撃ずつの出は早いしさ。
イガイガ : まぁスキルとしてはまだ連発出来ないから、本当に緊急回避用だけどな。
「確かにそうですよねー!? わっ!? わわっ!?」
ぐぬぬ、あっという間に連突撃の連撃分は使い切っちゃって、普通の状態に戻っちゃった。というか、回避してるだけじゃ、攻撃にならないよ!?
「せめて、1体くらいは倒したいですよねー!? ヘビとサソリは近付くだけ危険そうなので、攻撃するならハリネズミです!」
どんどんマップに見える赤い大量の印が私に近付いてきてるから、それらが集まり切る前に倒しておきたい! それに、少しくらい火の適応進化のスキルを使わせろー!
「これとこれでいきます! 『発火』『放火』!」
まだ使った事がないからよく分からないけど、とりあえず発動だー! あ、発火はライオンの全身から火が噴き上がってるね?
放火は、火を放つ方向が指定されて……あ、これもマニュアル操作があった! でも、今回はそのままでやってみよ! 溜めもなしで、すぐに発射だー!
「おぉ!? ライオンの口から、火が吹き出されました!?」
わー!? すぐに止まったけど、今のって火炎放射器だー!? おぉ、ハリネズミが火だるまになったよ!?
チャガ : 今のはマニュアル操作にせず、そのまま火を吹いたか。
富岳 : 火は素直に前方に放射されるから、通常使用でも割と使い勝手はいい。マニュアル操作でも、まぁ色々と出来るけどな。
ミナト : ハリネズミが『火傷』の状態異常にもなったね。これで継続ダメージが入るから、狙いはいいよ。
G : だが、迫りくる他の敵達!
金金金 : ……ヘビとサソリの動きが鈍ったのは、気のせいか?
「……確かに何か警戒してる感じですね? あ、もしかして火に怯えてます!?」
今の私のライオン、全身火だるまっぽいしね! 確か触れるだけで『火傷』になるって話だったし、近接攻撃は受けにくくなるのかも!
ミツルギ : まぁ、近接攻撃の頻度の低下が『発火』の効果の1つでもある。火での怯ませは知恵が高い個体ほど有効だが……『雷纏い』と同じで時間制限ありだから、気を付けろよ。
「あ、はい! わー!? 効果時間、1分っぽいですね!?」
これ、『雷纏い』と同じ効果時間と再使用時間なのかも!? はっ!? もしかして、今って脱出チャンス!? 火に怯えるなら、こういうのもありだよね!
「私の通る道を開けなさーい! 『放火』『放火』『放火』!」
前に向かって、放火を連発だー! うふふ、明確に避けている様子も見えるから、やっぱり火には怯えるんだ! これなら、縄張りの外まで――
「ぐふっ!? な、何かが突き刺さりました!?」
待って、待って、待って!? 前脚に大きな針が貫通して、盛大に転んじゃったんだけど……え、この攻撃、さっきのハリネズミじゃないよね!? 飛んできた針の大きさが全然違うし……。
「わー!? なんでサボテンが歩いてるんですか!?」
飛んできた方向を見てみたら、そんなのがいたー!? え、もしかして今の攻撃ってこのサボテン!? うぅ……『巧妙なサボテン』ってなってるし、その可能性はありそう!?
ミツルギ : 今のは多分、そのサボテンの『狙撃棘』だな。遠距離からの精密攻撃だぞ。
イガイガ : 遠距離からじわじわ攻めてくる、嫌なやつー。
富岳 : 荒野は独自の要素がある敵が割といるからな。そのサボテンもだが、サソリ辺りも出現エリアが少ない種族だぞ。
「今の状況で遠距離攻撃って、ものすごく嫌なんですけど!?」
ぐぬぬ、火で近接攻撃は躊躇させられても、遠距離攻撃には全く効果がないの!? うがー! 火の適応進化のスキルで切り抜けられるかと思ったのに、そう甘くはなかったみたい!?
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