第626話 配信前の雑談


 いぇーい! 今日の朝も昼も色々やったけど、配信の時間がやってきたー! まぁ今は開始までの待機時間だけど!


サツキ : 一番乗り!

水無月 : 2番目!


「サツキさん、水無月さん、こんばんはー!」


 おー、今日の初コメントは姉さんと結月ちゃんだ! 早いね、2人とも!


ミツルギ : おーっす。今日は特に宣伝は無しか。

咲夜 : そうみたいだなー。こんばんは!

G : 今日も始まったな!


「ミツルギさん、咲夜さん、Gさん、こんばんはー! 今日は特に宣伝はないですけど、明日くらいにはあるかもしれないですねー! 頼まれてる宣伝自体はあるので!」


 確定でやる内容としては、お団子の宣伝! 出来れば、明日中に改装中の和室を完成させて、それを使ってやりたいよねー!


サツキ : サクラちゃん、昼間のあれはどうなったの!?


「あのー、それはリアルで聞いてくれませんかねー? なんで配信途中で聞くんです?」


 姉さんの資料用の衣装を貰った件なんだろうけど……本当にこの場で聞く内容じゃないよね?


サツキ : あ、痛い!? 頷きながら、叩かないでー!?

金金金 : 開始早々、いきなり旦那に怒られているサツキさんである。サクラちゃん、こんばんは!

G : まぁいつもの事だけどなー。リアルで何があったかまでは、追求はしないでおこう。

咲夜 : 気になるけどなー。


「金金金さん、こんばんはー! ……あはは、そこは触れないでくれると助かります!」


 プライベートなVR空間で着ていく服がなかったとか、姉さんの仕事の参考用の衣装を貰ったとか、言いにくいもんね。文化祭の件も、個人が特定出来るような内容はNG!


「あ、そうそう! 今、前々から計画してた庭の作成を始めたんですよ!」


 ふふーん! これは完全に配信関係の話だから、喋っても問題ない内容だよね!


サツキ : おー! 作成、始めてたんだ!?

金金金 : 知ってそうなサツキさんが、知らなかっただと!?

咲夜 : ちょっと意外? さっきの件は、全然違う内容か?

ミツルギ : サクラちゃんが自発的に言わない限り、リアルでの出来事の詮索は無しだぞ。

水無月 : うんうん、それはそうだよね! サクラちゃん、庭はもう変わってるの?


「いえ、それがまだ庭自体に辿り着けてなくてですね? ほら、庭に出ようと思ったら、流石にここの和室の室内だけじゃ済まないじゃないですか? なので、外側を作成中です!」


 出来れば、今日はそこのお披露目までやりたかったんだけどねー。文化祭の打ち合わせがなければ完成してたかもしれないけど……まぁそこは仕方ない!


ミナト : こんばんはー! サクラちゃん、この和室を改修中なんだ?

水無月 : 外側を作ってるんだ!?

ミツルギ : あー、庭に出ようと思えば、確かに見えてくる部分だしな。というか、外側は今まで無かったのか。

サツキ : 見えない部分は、ハリボテだったりする……って聞いた事はあるよねー!


「あはは、まぁそういう事になります! 少し前まで屋根を作ってたんですけど、瓦って色々種類があるんですねー。参考資料で調べてみて、結構びっくりしました!」


 あれは本当に調べながら作って正解だったね! そうじゃなきゃ、思いっきり雑な屋根になってた気がする!


G : 屋根か。切妻屋根やら寄棟屋根やら、まぁ屋根の形状で色々種類があるしな。その中でも瓦にも種類があるし、昔ながらの瓦だったり、今風に金属製だったり、アスファルトのシート状のものもあったりするからな。

咲夜 : なんかGさん、詳しいな!?

G : リアルで家の建て替えの話が出ていてな? リフォームじゃなくて、完全に新築も考えてるから、どういう屋根があるのかを参考までに調べたばかりなんだよ。

ミツルギ : 家の新築!? あー、ずっと賃貸の俺には無縁の事だな。

ミナト : 屋根でも色々あるもんねー。

富岳 : こんばんは。なんで屋根の話だ?


「富岳さん、こんばんはー! 元は、私がここの和室の外側を作ってるって話なんですけど、Gさんの家が建て替えをするみたいでして?」


 新築の家かー。私の家、古い家だけどリフォームを繰り返してるんだよね。……いつかは建て替えって話も出てくるのかな?


富岳 : あー、そういう流れか。もう既に、ここの和室は外から見れるのか?

ミツルギ : 既に完成してる可能性もあったな!?

サツキ : あ、それはそうだね! サクラちゃん、もう出来てるの!?


「あ、いえ! まだ作成途中ですね! 屋根までは何とか完成したんですけど、縁側がまだ出来てないんですよー。明日には完成するとは思うんですけど……」


 そこまで作り終わったら、兄さんにチェックしてもらって、この配信用に反映したいよねー! ……明日、バタバタしそうなら、お団子の宣伝は明後日でもいいのかも?


G : ほほう? まだ完成はしてないが、完成間近か! 近いうちにお披露目か?

水無月 : お披露目、楽しみ!

富岳 : まだ庭には辿り着いてはいなくても、まぁ順調に進んでいるって事か。

咲夜 : そうっぽいなー! さて、どんな和室になっているのか!?

金金金 : 和室の外側が出来れば、庭の作成へ移行。それも終われば、今度は着せ替え衣装の作成も……!


「んー、衣装は……ちょっと思うところはあるんですよねー」


 浴衣なら多分、自分で作れる! でも、柄が今の桜模様の着物と同じような感じになっちゃいそう? それ以外の服装ともなると、今日、服を選んだ時みたいになっちゃいそうだもんね……。

 根本的に、私の中に衣装の作成のバリエーションが少な過ぎる! 全然意識してなかったけど、これってデザインする上では致命的かも……。


金金金 : なんか悩み顔の狐っ娘アバター。あれ? 俺、なんかマズい事を言った?

富岳 : 衣装替えに積極的とも言い切れないサクラちゃんへ負担がかかったか? いや、それでも今までこんな反応はしてなかったな?

サツキ : サクラちゃん、どうしたの!? 悩み事があるなら、お姉ちゃんが聞くよ!?


「あはは、大丈夫です! ちょっと色々忙しいなーって思っただけですから!」


 うん、これも決して嘘じゃない! 庭の作成は元々の予定ではあるけど、文化祭の手伝いの分もやらなきゃいけないしね!

 それに、忌まわしき夏休みの課題も片付けてしまわないと! うん、本当に忙しいかも……?


「……なんで、夏休みって課題があるんですかねー?」


 立花さんと結月ちゃんと勉強会とかになりそうではあるけど、忌まわしい存在なのですよ!


ミツルギ : あー、そうか。学生の頃だと、そういう想いもあるよなぁ……。

富岳 : 社会人になれば、その程度は甘いものだと実感するが……実感する頃には過ぎ去った後だしな。

イガイガ : こんばんは! あー、夏休みの課題の話か。そもそも、夏休みという長期休暇が貴重過ぎる!

G : 期限が明確に定められ、自分の裁量で無理なく終わらせられる仕事と考えれば……相当楽な範囲だぜ。

咲夜 : ちゃんとやれば、ちゃんと終わる量だしなー。色々と昔よりは労働環境は良くなってるとはいえ、無茶振りしてくる顧客までは消滅してないし……。

サツキ : うんうん! こっちの作業内容を全然把握してなくて、無茶な納期を押し付けてくる人っているもんね! そういうお仕事はしたくない! 根本的に時間が足りないから、徹夜とかになっちゃうもん!

イガイガ : あー、あるある。今は死語になりつつある、ブラック企業からの案件なー。

G : 労働環境の改善で大半は淘汰されたけど、それでも多少は残ってるからな……。


「なんか、切実そうな話ですね!?」


 うーん、実感として分からない部分だけど……社会人の皆さんは色々と大変みたい? サラッと姉さんも混ざってるし、お仕事の内容には関係ない事なのかも?


ミナト : 労働基準法の無視が常態化し過ぎてたから、どうしてもその感覚が抜け切らない人もいるしねー。法改正と管理AIの導入での厳罰化が大きな影響で、そういう人は普通に捕まるようになったけどさ。

ミツルギ : 人が管理するより、AIが管理する方が、不正が無くなるってのも皮肉なもんだが……。

G : 行き着く先は、AIに管理されたディストピアか?

富岳 : 腐敗し切った政治や経済よりは、遥かにその方がマシな気がするのが何とも言い難いな。


「……あはは、まぁ技術の進歩って凄いですもんねー!」


 私が小さな頃には、今使ってるフルダイブも夢の産物とかだった気もするし! これから先、どんな未来になっていくんだろ?


「あ、そろそろ18時ですね! それじゃ雑談はこれくらいで、今日の配信を始めましょう!」


 未来は実際になってみてじゃないと分からないし、今は今出来る事をやっていこー! 今日はまず、どこへ向かうかのサイコロタイムからだね!

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