第613話 デンキウナギとの決着


 今戦ってるデンキウナギはかなりレアっぽいけど、それはどうでもいいや! 何がどうだとしても、絶対に倒すのは変わらないもん!


「むぅ……やっぱり2段階目の溜めは長いですね。何とかもう少しで終わりそうですけど、まだ3段階目もあるんですよね……」


 ぐぬぬ! 溜めてる時間が長い上に、動けないのが余計に嫌ー! それに、デンキウナギがいつどういう動きをするかが分からないから、気が抜けないよ!?


金金金 : 落ち着きなく、ソワソワする狐っ娘アバター。まぁこの状況が落ち着かないのは分かる。

ミツルギ : デンキウナギの動きが見えにくいし、まぁそうなるよなー。

咲夜 : 自分が動けないから、尚更にな!

ミナト : まぁ確かにねー。


「……これ、2段階目で放っても仕留められますかねー? それでも十分な威力はありますよね?」


 正直、このまま待ち続ける状態はしんどいよ! デンキウナギのスキルツリーの内容が不明なら、さっきの攻撃とはまた違った何かの電気での攻撃をしてきても不思議じゃないし!


富岳 : まぁ凝縮すれば、いけなくもないか? 正直、ちょっと水中への攻撃は威力が把握しにくくてな……。

ミツルギ : 普通は水への適応進化と同時に使うから、そのままでは狙わないしなー。敵にしても、ここまで水中に引き篭もるタイプはそう多くないし……。

チャガ : そういう意味でもレア個体ではあるな。器用系統特有の距離を取るパターンではあるが、それは攻撃が届く範囲って限定にはなるから……。

水無月 : え、でも、今は何もしてないよね?


「……これ、実は川に電気が流れ続けてるとかってあります?」


 パッと見ではそう感じないだけで、そういう可能性ってありそうな気がしてきた! 


ヤツメウナギ : ないとは言えないけど、それは試してみないとなんとも……?

神奈月 : 近くに他の敵がいれば、それが目印になったりするんだけどなー。

こんにゃく : 今は『畏怖の気迫』で追い払ってるから、仕方ない。


「あー!? 畏怖の気迫を使わずに、他の魚に襲わせるって手もあったんですか!?」


 ぐぬぬ!? 1対1で戦う事ばっか考えてたから、そういう手段って全然考えてなかったよ!? そっか、川の水に電気が流れるんだから、今まで私が何度も殺されたように大量の周囲の敵に襲わせてもよかったんだ!


「あのー、今から畏怖の気迫をオフにしても効果ないですかねー?」


 マップを見る限りでは、少し離れたとこに逃げてる様子は見えるもん! この敵達、オフにしたら戻ってこないかなー?


ミツルギ : オンオフを繰り返せば、敵は近付いてくるようにはなるが……問題もあるのは伏せとくか。

G : そうだ、そうだ! そこは伏せておけ!

イガイガ : まぁ失念してるっぽいし、わざわざ言及する必要もないよなぁー!

神奈月 : いつも思うけど、地味に悪趣味だよな!?

ミツルギ : 俺はその中には入ってないよな!? 一応、サクラちゃんへの警告だぞ!

こんにゃく : 何か必死なミツルギさんであった。

富岳 : そういえば、以前言われてた『アドバイザー・ミツルギ』はいつに間にか消えたな?

イガイガ : ミナトさんや富岳さん辺りに、その座は奪われたからな! 格が違うんだよ、格が!

ミツルギ : 喧嘩売ってんのか!?


「あはは、確かにそういう呼ばれ方をしてましたよねー! んー、私が失念してる問題ですか……」


 ヒントとしてのアドバイスなら、ちゃんと考えないとね! 失念してるって事は、私自身が知ってて当然な事のはず? 確か畏怖の気迫のオンオフは前にもやった事があるし、それで効果がどんどん薄くなって、襲いかかってくるようになるんだよね?

 今の状態でそれをすれば、デンキウナギの攻撃範囲に入って麻痺になるだけで意味がない? ううん、そういう行動にさせるだけでも意味はあるはずだし……。


「あ、縄張りの範囲内の話ですから、陸地にいる敵は直接私を襲いにきますね!? それは邪魔なだけなので、駄目ですよ!?」


 私が失念してる内容って、多分これだー! うん、これは大問題! 溜めてる間にそんな事をしたら、下手すれば自滅だよ!?


G : ちっ、気付かれたか……。

イガイガ : 慌てまくるサクラちゃんの様子は見れなさそう……いや、まだあれがある!

サツキ : あ、まだ分かってない厄介な部分だね! あれ、結局何なのかな?

水無月 : なんとなくの想像は出来るけど、合ってる自信はないかも?

ミツルギ : まぁ可能性だけの話だから、絶対にそうなるとは言えないんだがな……。

真実とは何か : 未だ確定していない真実なのである!


「あ、絶対に起こるって訳ではないんですか、その件!」


 そっか、そっか。ちょっと過剰に警戒しちゃってた気はするけど、もうちょっと気楽に考えて……たりすると痛い目を見るんだよね! さっきだって予想外の攻撃を受けたんだし、油断は禁物!


金金金 : 少し緊張が緩んで、引き締め直した狐っ娘アバター。まぁ油断大敵ではあるが……実際、そんなに酷い事になるか? 予想通りのものだとしたら、それほど脅威とも思えないんだが……。

ミナト : んー、まぁ脅威は脅威かな? 場合によっては、命取りにもなるかも?

富岳 : 慌てなければ、対処出来るだけのものはあるがな。油断が最大の敵なのは間違いない。


「本当に何があるんですかねー!? 私が既に知ってるものって事ですけど……あ、2段階目の溜めが終わりました!」


 デンキウナギの動きが、見た感じでは何もないのが怖いんだけど……うん、決めた! このまま動けないままの方が神経をすり減らすし、倒し切れなくてもここで攻撃しちゃおう!


「もう待ち切れないので、攻撃開始します!」


 ふふーん! そういう事だから、『戦意の把握』の効果を使ってマップ上からロックオン! 凝縮も最大だー!


ヤツメウナギ : 2段階目で攻撃に移るか!?

いなり寿司 : 予定よりも早いが……変に集中力が乱れるよりは、落ち着ける状態で攻撃に移行するのも悪くはないだろ。

G : まぁ場合によっては、そのまま倒せるかもしれんしな!

イガイガ : それもそだなー。そのままやっちまえ!


「……何かある事を期待してる2人がそういう風に言うと、何かありそうで怖いですね!? まぁやりますけど!」


 逆に考えれば、何かがあるとすればこの攻撃の後って事だよね! 変な状態を期待して、結果的には私にそのタイミングを教えてくれているようなもの! だから、そこで思いっきり警戒してればなんとか出来るはず!


「それじゃ、いきますよー! 獅哮衝波、発射です!」


 デンキウナギへ直撃してください! おー、こっちの方が元々が細いから、凝縮すれば更に細くなって、水の影響は少ないっぽい! 


「一気にHPが削れて……むぅ、ギリギリ生き残りましたね!? ですけど、追撃でこれです! 『放電』『放電』『放電』!」


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>

<エリアボスを討伐しました>


<サクラ【巧妙なライオン【雷】】が成熟体:Lv50に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを4獲得しました>


 あ、やった! 何発か必要かと思ったけど、1発目に流れた放電で倒せたみたい! 本当、ギリギリで倒し切るのには足らなかったんだね!


「ふふーん! 撃破完了です! いやー、何かあるかと思いましたけど……特に何もなかったですね!」


 もう皆さんが警戒させるような事を言ってたから身構えてたけど、そんな事は全然なかったよ!


ミツルギ : あー、サクラちゃん? 何もなかった訳じゃなく、予想通りに事態は動いてたぞ?

G : まさかの自覚なし!?

イガイガ : ……そうきたかー。


「……え? 何かあったんです?」


 獅哮衝波が当たってすぐに動き出したのは気になりはしたけど、それ以外には特に何もなかったよね?


富岳 : 今のはダメージが足りなくてギリギリ生き残ってたんじゃなく、『背水の陣』で確定で生き残ってた可能性が高いぞ?

ミナト : その後の動きも早かったから、絞め殺しに動いてきてた可能性が高いんだけど……まぁその前に仕留めちゃったし、大丈夫ではあったね。


「……もしかして、厄介って言ってた内容、実際に起こってたんです!?」


 え、待って、待って、待って!? 警戒してたからすぐに追撃に動けたけど、そうじゃなければ……一気に距離を詰められて、また首を絞められてたの!?

 あー! そういえば、今日のこれまででトリカブトが『背水の陣』で生き残って追いかけてきたのもあったんだった! 確かに私が知ってる内容でもあったよ!?


サツキ : 勝ったから、経過はどうでもいいよー! サクラちゃん、大勝利!

水無月 : 大勝利!


「あはは、まぁそうですよね! リベンジ、成功です!」


 姉さんの言う事も間違ってはない気がするけど、気付かなかったのがなんか恥ずかしい!? それに警戒してなかったら、本当に危なかった気がするし、3段階目まで溜めてたらなんで倒せてないのかってパニックになってた気もするよ!? ……うん、勝ててよかった!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る