第611話 エリアボスのデンキウナギ


 エリアボスのデンキウナギをぶっ倒す為に、獅子咆哮を溜めていこー! 川の中に逃げ込んでるのなら、そのまま水ごと吹っ飛ばしてやるのですよ!


「これ、溜めが終わったら最大まで凝縮した方がいいですかねー?」


 デンキウナギが川の中に引き篭もったままだから、地味に待ってる間が暇ー! 放電は水に流れて届いてはこないし、他の遠距離攻撃ってあるのかな?


ミツルギ : 獅子咆哮なら、まぁそれでなんとか届くってとこ……いや、さっきは厳しめに言ったが、元の威力が高いし、結構いくか?

ヤツメウナギ : 器用系統かつ縄張りで強化中……範囲を絞れば有効打にはなり得る?

富岳 : 水への適応進化をしていれば影響は受けにくいんだが、通常状態だと広範囲攻撃は水で威力をかなり削られるからな。当たる面積を減らした方が減衰は受けにくいし、元の威力が高ければ、威力を削がれても相応のダメージにはなるか。

ミナト : ただ、どうしてもその分だけ外しやすくもなるから要注意ねー! 陸地と同じ感覚にはならないから!


「なるほど、凝縮した方がいいけど、狙いに要注意ですね! 了解です!」


 まぁ直接見えてる状態じゃないから、そもそもマップ頼りなんだけどねー。うーん、でもマップからじゃ、川のどのくらいの深さにいるかが分かんない!


こんにゃく : この状態、意外と追い詰められてるのはデンキウナギの方か?

G : あー、そうかもな。サクラちゃんが外しさえしなければ、水中に入る必要自体がない状態だしな。

イガイガ : 問題は、見えてないデンキウナギに、最大まで凝縮した獅子咆哮をどうやって当てるかだが……。

ミツルギ : 外したら、意味がないからな。


「それはそうかもしれないですけど……あ、確か『戦意の把握』で、自動照準に出来るとかありましたよね! ここはあれを使いましょう!」


 あんまり使った覚えもないけど……あれ? でも、使った事はあったっけ? んー、よく覚えてないけど、まぁいいや! 便利なものは、便利に使っちゃえばいいのです!


神奈月 : あー、今こそあれの有効活用の出番ではあるか。

サツキ : サクラちゃん、狙い撃てー!

水無月 : 狙い撃てー!

ヤツメウナギ : 今回のも嫌なタイプのボスだけど、強みが完全に封じられている……。

咲夜 : 嫌でないボスの方が少ない気もするけど、確かにそうだよなー! ぶっちゃけ、近接ならスルーしかない状況だし!

いなり寿司 : 水中から出てこず、水を通じて『放電』と『雷纏い』で麻痺を狙ってくる凶悪なボスだが……まぁそれも水中にいたらの話だしな。

チャガ : 麻痺が効かなくても、絞め落としにくるが……水中にいなければ出来ない行動パターンでもあるしな。こちゃ相性問題か。


「おぉ! それなら、ある意味、今の私の状況が1番いい状態だったりするんですかねー?」


 うふふ、さっきは水から出てきて放電しまくってきてたけど、今はそれすら出来ないもんね! 凝縮すれば水中でも攻撃が届くのなら、地の利は封じれてるのかも!


こんにゃく : まぁそういう事になるか?

ヤツメウナギ : だろうなー。普通なら陸に出てきても苛烈な放電で麻痺が脅威だけど……サクラちゃんの場合は効かないしな。

金金金 : これまでどこで役立つか分からなかった『麻痺耐性』が、とんでもない規模で効果を発揮してる訳か。

真実とは何か : それが真実なのである!


「あはは、『麻痺耐性』は役立つ時には、凄まじく効果があるんですね! 水中には入れませんけど、今は下手に入る方が危なさそうですし!」


 水への適応進化にしてた時は、あっさりと麻痺と窒息で殺されてるもんね。でも、今はその脅威はまるで皆無! 水への適応進化がないとまともな水中戦は出来ないけど、今はそれでいいのです!


「あ、溜めが終わりましたね! それじゃマップ上で見えているデンキウナギをロックオンです!」


 ふふーん! 縄張りのおかげで他の敵は近くにはいないから、どれがデンキウナギかは丸分かり! というか、マップから看破で見た情報が見えてるね。

 これ、確か『索敵』の効果だったと思うけど……今、直接見えてなくても大丈夫なんだ? まぁいいや! ともかく今は、最大まで凝縮して……。


「獅子咆哮、発射です!」


 ライオンの頭が勝手に動いて狙う方向が微調整されたみたいだし、これで……。


「わっ!? 凄い水飛沫が上がって……あ、川底が一瞬、見えました! 今、デンキウナギに当たったのが見えましたよ!」


 わー! これ、凄い! ほんの少しだけの間だったけど、川の水を押し除けて、川に穴が空いてたもん! すぐ元に戻っちゃったけど!


「……むぅ、当たりはしましたけど、今のでデンキウナギを仕留め切れませんでしたか。やっぱり、威力は削がれてるんですねー」


 ぐぬぬ! 多分、水を押し除けるのに威力の大半を使っちゃってる気がする!


ミナト : 一応、今のでデンキウナギの生命の3分の1くらいは消し飛んだけど……まぁ今ので3分の1なんだよねー。

ミツルギ : 完全に凝縮し切って、直撃してもその程度か……。元の威力が高いからこそ、その火力が出ているとも言えるけど……中々に厳しいな。


「今ので3分の1しか減ってないって厳し過ぎませんかねー!? 生命と堅牢、弱点ですよね!?」


 耐久性が高い訳じゃないのに、今のでそれだけしか削れないって……うがー! 水での威力の削られ方が酷いよ!? 普通なら、今ので仕留められてた気がするし!


「あ、デンキウナギに動きがあります……って、なんか距離を取ってません!?」


 わー!? 待って、待って、待って!? 川のど真ん中にいたのが、対岸の方まで離れちゃった!? あ、でも、視認出来る深さの場所にはなった?


ミツルギ : 知恵は弱点ではないし、警戒して離れたな。

ミナト : んー、離れた事自体はそれほど影響はないけど……警戒されたのは厄介だね。

G : 俊敏が高めだし、ちょっと厄介な可能性が高くなったんじゃねぇか?

咲夜 : 俊敏で厄介……あ、あれか!?

イガイガ : 言うなよ!? 絶対に、言うなよ!

咲夜 : 分かってるって! ネタバレ案件だろ、これ!


「え、何かあるんです!?」


 待って、この状況で何か私にとって不利な状況になった可能性があるの!? 俊敏が高い事で、厄介になる要素って何!? わー!? 何がどうなったの!?


金金金 : 慌て始める狐っ娘アバター。中途半端な情報だけ与えて、アドバイスをするのではなく混乱させるとは……実に嫌なコメントだ。

ミナト : ……あはは、下手に言っちゃうとダメな内容なんだけど、そこは気付いても秘めておかないとねー。

ミツルギ : まぁそうなんだよな。これは下手に教えていいのか悩む内容だし……。

富岳 : 既に内容的には知ってるから、可能性としてサクラちゃんが気付くかどうか次第なんだが……そういう言い方をされれば混乱するのは仕方ないしな。


「なんか、余計に混乱してきたんですけど!? え、何か対処しないとマズい感じなんですか!? でも、ネタバレになるのは流石にこの状況で聞きたくはないですし!?」


 内容的には私が既に知ってるものみたいだけど……どういう可能性があるの!? うぅ……アドバイスとして、もうその内容を聞いちゃう? でも、ボス戦は出来るだけ自力で頑張りたいし……。


「……もう、何かが起きたらその時に考えます! 距離を取られたのも、威力が削がれるのも、それ以上の火力で突破するだけですよ! 『獅哮衝波』!」


 うがー! どっちにしても溜めに時間がかかるんだし、迂闊に川に入れないのも変わらないもん! だったら、私の持つ最高火力を叩き込むだけなのさー!


「3段階目まで溜めて、ぶっ放します! それで仕留めて終わりにします!」


 みんなの反応が気にならない訳じゃないけど、溜めには時間がかかるから、考えるのはその間で!


サツキ : サクラちゃん、ファイトー!

水無月 : ファイトー!

ミツルギ : さて、どうなるか。まぁこれは有効だとは思うけど……。

金金金 : サクラちゃんが知ってる内容で……あぁ、なるほど。そういう事か。

G : 金金金さん、気付いても言うなよ?

金金金 : 言わねぇって。どういう反応をするか、楽しみだしな。

真実とは何か : 果たしてどのような真実が隠れて、どのような真実に至るのか!?


「なんか、私の反応を見て楽しもうとしてますよねー!? ……まぁ配信って、そういうものですけど!」


 ぐぬぬ、自分からやってる事だから文句を言うのは違うけど……このデンキウナギ、どういう可能性があるの!? その結果、私のどういう反応を期待されてるの!? うがー! 今の状況じゃよく分かんない!?

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