第607話 イネの集団


 ひまわり畑みたいな感じの、稲の集団を発見! 遠距離から倒す為に獅子咆哮を溜めている最中だけど……これ、お米が採集出来るか怪しくなっちゃってる!?


「お米……採集出来ますかねー? ヒマワリの時みたいに、その辺の地面に散らばってくれたりしません?」


 私としてはそれを期待したい! 可能性としては、あるはず!


ミツルギ : 土手の上からの『獅子咆哮』だし……何とも言い難いな。

ミナト : この手の場所の土は水気を含んでるから……消滅せずに残っても、『獅子咆哮』の勢いで土の中に埋もれる可能性は高いんだよね。

富岳 : 水への適応進化も解除してるから、ライオンの脚だと埋まりやすい場所でもあるぞ。


「わー!? それ、私には回収出来ない状態じゃないですか!?」


 ぐぬぬ……地形的な問題があったみたい! でも、もう溜めは終わりそうだし、エリアボスのデンキウナギと戦う為には経験値も必要だし、そもそもあの数の中に突っ込む方が危ないし……選択肢はこれしかないかな?


「……今回はお米は諦めましょう。まぁ生米ですし、無理に拘る必要もないですね!」


 炊けないお米に用はなーい! 私に生米を食べる習慣はないのです!


サツキ : お米……何とか生米じゃなくする方法ってないのー?

ミツルギ : 色々試行錯誤はあったけど、まぁ結局、器がないのが致命的で、どうにもならなかったな。

ミナト : オンライン版では色々と出来てきてるんだけどねー。竹を使って炊飯はしてるし、熱した岩を使ってお煎餅とかも作ってたねー。

サツキ : おぉ、お煎餅! サクラちゃん、岩ならあるし、火への適応進化を使えば出来るかも!?


「おー! そういう手段が……って、生米からそのまま出来るんです?」


 お煎餅の作り方ってよく知らないけど……姉さん、適当な事を言ってない!?


水無月 : ……余ったご飯とかならレシピはよくあるけど、生米ってどうなんだろ? お煎餅の加工手順、知らないや?

神奈月 : 粉にしてから加工じゃね? どっちにしても、オフライン版じゃオンライン版ほど細かい作業は出来ないから、やるだけ無駄だと思うぞ。

ミナト : うん、オンライン版だからこその可能になった部分だし、オフライン版では試行錯誤の上で不可能って判定だからねー。まぁまだ誰も試してない、新しい手段が出てくる可能性がないとは言えないけどさ。


「あはは、それは私には無理ですねー! さーて、そうしてる間に溜めも終わりました!」


 もしお米の加工が出来るとしても、これを放てば採集出来るかどうかすら怪しいもんね。エリアボスにも挑みに行くんだから、色んな人達が無理だと下した判定をわざわざ試す気もしないのさー!


サツキ : ……お米ー! むぅ、加工が出来ないのはガッカリだよ!

神楽 : 器があれば、何かしら作れそうではあるけどねー。生米から作るなら、リゾットとかピラフとか?

ミナト : そうそう、作れそうなのは色々あるんだよね。でも、肝心の加熱の為の器がないっていうのが致命的……。

富岳 : 貝殻辺りを器に出来ないかって実験もあったが、アイテム化しないからな……。器に使用するのは無理だった。


「……あはは、色んな試行錯誤がありそうですね? まぁ今はともかく、経験値です! 獅子咆哮、いっけー!」


 ちょっと距離的に遠いから、今回は凝縮は無しで! 縄張りからは出たし、全部を倒し切れるかは……どうだろ?


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<サクラ【巧妙なライオン【雷】】が成熟体:Lv48に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを4獲得しました>


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<サクラ【巧妙なライオン【雷】】が成熟体:Lv49に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを4獲得しました>


「……あれ? 思ったより倒せてないですし、それなりに生き残ってますけど……経験値が多いです?」


 あれー!? 待って? Lv48からLv49へ上がるまでの撃破数が凄く少ないよ? 何がどうすれば、こんな結果になるの? 稲はLv46前後だから、結構数を倒す必要があるはずなのに!?


金金金 : 不思議そうな狐っ娘アバター。これ、一体何が起きた?

ミツルギ : あー、多分、沢ガニか、同系統の逃げ足の早い個体が混ざってて、それを仕留めたんだと思うぞ。

いなり寿司 : だろうなー。経験値が多い個体を倒したから、一気にLvが上がったんだろうよ。というか、それ以外の理由は考えにくい。

咲夜 : それ以外の理由は、思い当たるものがないしな!

こんにゃく : 縄張りの影響で、そこの稲の中に逃げていた個体かもなー。

真実とは何か : おそらく、それが真実なのである!


「あ、そういう事ですか! それなら納得です!」


 そっか、そっか! 姿は見えてなかったけど、索敵自体には反応があったもんね! それが経験値たっぷりの沢ガニだったんだ!


「……って、わっ!? わわっ!? お米が飛んできてます!?」


 ぎゃー! 生き残った稲が、私の存在に気付いたー!? って、ちょっと待って!? 根で走りながら、穂を振って、お米を飛ばしてくるの!?

 しかも、ちょっと範囲が広いよ!? わわっ!? これ、なんか回避がしにくい!


「攻撃してくるのはともかく、根で走りながらはやめてくれませんかねー!? 植物は大人しく植わってなさーい!」


 ともかく、飛んでくるお米は後ろに下がって回避なのですよ! どうも飛距離は微妙みたいだし、距離自体は取りやすいかも! 再使用時間は過ぎてるし、反撃はこれだー!


こんにゃく : イネの遠距離攻撃は、射程が短いんだよなー。だから、近づいてくる。

ヤツメウナギ : その分、射程内の範囲は広めだけどな。銃で例えるなら、ショットガンだ。

咲夜 : 散弾銃と言い換えてもよし!

G : ……その言い換え、意味あるか?

咲夜 : いやー、サクラちゃんが分かるかどうかが微妙な気もして?


「ショットガンって、銃弾が広がっていくやつですよねー? 猟で使うのもそれですよね! 狩猟のゲームをやった事はあるので、それは分かります!」


 銃撃戦のゲームは全然しないけど、散弾銃とショットガンは同じものだとは分かるのですよ! まぁ狩猟のゲーム、すぐに気付かれてまともに狩れなかったし……狐さんも狩る対象だと分かって、やめちゃったけど!


「ともかく、生き残った稲の始末ですね! 『放電』『放電』『放電』!」


 ふっふっふ、稲に距離を詰められないように土手の上で後ろに下りながら、反撃なのですよ!

 生命系統と堅牢系統が生き残ってるけど、まぁ生き残るのはその辺だよね! 足場に気を付けていれば、なんとか……。


「……あれ? 飛んできたお米、地面に落ちたまま残ってません? わっ!? わわっ! 『放電』『放電』『放電』!」


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


 待って、待って、待って!? 何で生米、その辺に散らばって残ってるの!? 植わってた場所は壊滅させちゃったけど、ここに散らばってるのは倒し終わったら採集出来そうだよ!?


金金金 : また不思議そうな狐っ娘アバター。……生米、その場に残ってるのか?

水無月 : え、残ってるの!?

ミツルギ : おう、それは残るぞー。残るからこそ、加工が出来るんじゃないかって期待もあったんだがな……。

ミナト : そのお米、樫が使うドングリと同じで、敵が残す投擲用の弾になるんだよねー。まぁ普通の単発の弾じゃなくて、散弾用なんだけど。


「お米が散弾用の弾なんです!? というか、散弾の投擲とかあるんですか!? 『放電』『放電』『放電』!」


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


 それ、私のライオンでも使えるのかな? ……うーん、なんだか無理な気がする? まぁその辺を考えるのは後にして、今は稲を全滅させるのさー! えーと、あと3体だね!

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