第602話 新スキルのお試し


 なんだかとんでもない威力になってたね、今の最大まで溜めた放電! かなりの数の敵を倒したし……でも、まだ生き残ってるのも結構いるね!


「あ、ワニの頭が見えました! 旺盛なワニって事は……HPが多いヤツですね! あ、水面に顔を出した魚も出てきて……わわっ!?」


 ぎゃー!? これまで何度も見たけど、水を飛ばしてくるヤツだー!? 回避、回避、回避ー!


ミツルギ : サクラちゃん、溜め攻撃でない限り、今の状態なら無理に避ける必要もないぞ?

いなり寿司 : すぐに飛んでくる水弾だと、まぁそれほど威力も高くないしな。今の堅牢なら、そう簡単に大ダメージは受けん。


「……あ、それもそうですね。確かに全然平気です!」


 ふっふっふ! 実際に回避せずに受けてみたら、大した事ないダメージだった! うふふ、強化した堅牢を更に縄張りでパワーアップさせてるんだから大丈夫なんだ!


「これなら、攻撃に専念出来ますね! まずは迫ってきてるワニからです!」


 弱点は……スキルとステータスの両方あるのは俊敏と器用だね。スキルだけ弱点なのは堅牢だけ……うーん、麻痺せず動いてるのは知恵が弱点じゃないからかな? まぁいいや!


「とりあえず、明らかに噛みつこうとしてる、その大口は閉じてもらいましょうか! 『咆哮』! やった! 『萎縮』で動きが止まりました!」


 うふふ、いくら知恵が高かろうが私の縄張り内で勝てるなんて思わない事だね!


サツキ : サクラちゃん、ナイス咆哮!

水無月 : ナイス咆哮!

ミツルギ : このワニ、知恵は高いんだろうが……まぁ流石に縄張りの恩恵が大きいな。

イガイガ : まぁ知恵が低いのは、川の上に浮かんでるしなー。


「確かにそうです……って、川の上に浮いてる敵、流されていってません!?」


 わー!? 待って、待って!? どれもHPは多くても半分以上は消し飛んでるし、瀕死が大半なのに、流れていくのは駄目!? だったらこれで!


「『放電』! ……あ、再使用時間中でした!?」


 ぐぬぬ!? 最大まで溜めたから、再使用時間が長いよ!? 威力は凄い事になってたけど、連発出来なくなるのは辛いよ!?


ヤツメウナギ : まぁあれだけ溜めればな。

神奈月 : 威力と再使用時間は、トレードオフの関係だ。

富岳 : 速射性を求めるか、威力と麻痺を求めるか……その使い分けが出来るのもマニュアル操作の利点だが……まぁ両立が出来ないのが痛いとこだな。

こんにゃく : まぁそれが自由になったら、更に凶悪になってしまうけど……。

G : その制約があった上で、最強格だからな。

真実とは何か : それが真実なのである!


「……まぁそれはそうですね。追撃手段がないので、目の前の相手に集中します! まずはワニから!」


 生き残って流されている敵より、生き残って私に攻撃を仕掛けてきている敵を優先だー! 麻痺してるだけだから、もしかしたら麻痺が解けたら戻ってくるかもしれないし!


「それじゃ、新スキルのお試しといきましょう! 『突撃』!」


 水中戦で試してみようかと思ってたのが全然違う形になっちゃったけど……まぁいいや!

 えっと、少し脚に力を溜めている様子があるし、その間に狙いを定めたらいい感じかな? 狙うは当然、萎縮になってるワニ! いっけー!


「おぉ!? これまでの体当たりより勢いがいい……って盛大のワニが吹っ飛びました!?」


 わー、私のライオンと同じくらいの体格のワニなのに、思いっきり川の中まで突っ込んで――


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


「ワニも死にましたけど、何か別のも死にました!?」


 待って、待って!? 盛大に水飛沫を上げて着水したかと思ったら、何が死んだの!?


ミツルギ : ……何か、水中にいたっぽいな?

ミナト : 赤い印は出てたけど、流される様子もなく留まってたから……溜め攻撃の準備をしてた魚かな?

こんにゃく : あれ? 今回はミナトさんも分かってない感じか?

ミナト : まぁ視界が通らないと、確認のしようがないからねー。ワニの吹っ飛び方と死んだタイミングから考えたら水面近くにいただろうし、堅牢系統の魚……ブラックバス辺りだと思うよ。


「見えてなくても、推測で敵の種類が分かるのも凄いですね!? わっ!? 『迅速なカニ』が迫ってきてますね!?」


 沢ガニよりは大きいし、そこらの大きめな石くらいの大きさのカニ! 種類的にはモクズガニってやつだね! おじいちゃんのとこで見た!


「……ライオンとはサイズが違い過ぎますけど、当たりますかねー? 『連突撃』!」


 折角の機会だし、新スキルのお試しだー! えっと、攻撃の指定は……体当たりの時と同じ感じかな? とりあえずカニに向けて攻撃だー!


「あ、空振りました!? わっ!? え、次の向き指定!?」


 空振った直後にズサッと止まって、他の方向への指定が出たよ!? これが連続での突撃の指定の仕方なんだ!? わわっ!? これ、忙しいかも!?


「こう……ですかねー? わっ!? また外しました!?」


 ぎゃー!? 体格差があり過ぎて、全然カニに当たらない!?


金金金 : 慌てふためく狐っ娘アバター。まぁそりゃ空振るよな。

ミツルギ : 体格差があり過ぎるし、当然といえば当然の光景。

咲夜 : 当てる人は、これでも当てるよなー。弱めではあるけど、吹き飛ばし効果も乗るのに……。

富岳 : 吹き飛ばし効果に関しては、相手に踏ん張らせるのが前提になってくるがな。

ミナト : もしくは、空中に吹き飛ばして、その先に回り込むかだねー。これなら小型の相手でも比較的、やりやすいよ?


「それ、難しくないですかねー!? あー!? また外しました!? 次こそ! また空振り!?」


 ぐぬぬ!? そもそも1発目が当てられないのに、どうやって空中へ吹っ飛ばすの!? そこが謎だよ!?


神奈月 : サラッと語られる、上級者のプレイ方法……。そういや、連撃系のスキルは上級者でも割と使う方だっけ?

ミナト : 攻撃回数は縛られるけど、溜め攻撃よりは行動の制限は少ないからねー。完全に相手の反撃を潰した後、畳み掛ける手段としては使うよ。


「……あ、そうなんですか! あ、これならどうですかね!」


 真横から体当たりしようとするから素通りしちゃうんだろうし、地面へ私が頭突きをするような動きでならいけるはず!


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


「あ、やりました! カニ、撃破です!」


 ふふーん! 今の5発目の突撃で最後だったけど、なんとか当てられたね!


こんにゃく : 今のカニ、全然回避行動をしてなかったな?

ヤツメウナギ : 何気に堅牢は高いみたいだったから、『堅守の構え』辺りでも使ってたのかもな。

ミツルギ : あー、そうかもしれない。でも、石の上に乗ってたし、サクラちゃんの頭突きとで潰されて耐えられなかったか。

咲夜 : 今の、下手に躱されてたら、サクラちゃんの自滅で朦朧になってたんじゃ?

G : おいこら、待て! 何故、それを教える!?

イガイガ : どこかでそうなる機会が失われるじゃねぇか!

咲夜 : これに関しちゃ、怒られる筋合いはない気がするんだけど!?


「あ、そういう危険性もあったんですか!? ……次は気を付けないとですね!」


 躱されなかったから大丈夫だっただけで、躱されたらそりゃ自分から石に頭をぶつけにいってるもんね。……うん、要注意!

 Gさんやイガイガさんのこういうコメントは、もういつもの事だし、気にしない!


「さーて、次は水を飛ばしてきてる魚達を……あ、いくつかの赤い印が川を上ってきてますね! 麻痺が回復した敵ですかねー?」


 うふふ、さっき流されていってた魚達が戻ってきてるのかも!


サツキ : サクラちゃんに倒される為に戻ってきた敵達だー!

水無月 : 敵達だー!

富岳 : 結構な数がいるし、全部倒せばもうLv1くらいは上がりそうだな。

いなり寿司 : そこそこの量の進化ポイントにもなりそうだ。


「あはは、そうなりそうですね! 望むところです!」


 うふふ、私の縄張りの中で格下の敵が勝とうなんて甘いんですよ! あ、でもどうやって戦おう? まだ放電の再使用時間は過ぎてないし……水への適応進化は解除したから、水中戦は出来ないよね!?

 

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