第600話 川の中の様子


 うがー! デンキウナギに麻痺させられたのが、やっぱり腹が立つよ! ぐぬぬ、絶対にぶっ倒さないと気が済まないよ!


「……あ、そういえば、成熟体の上限LvってLv50じゃないんですね?」


 サラッと流してたけど、地味に重要な部分! Lv50の可能性が高いと思ってたけど、全然違ってたみたい?


ミツルギ : まぁ進化階位の上昇に伴う上限Lvの上昇には、特に法則性はないからな。

こんにゃく : 未成体までは10ずつ上がるけど、成熟体で一気にズレる!

ヤツメウナギ : 最初は戸惑うんだよな、これ。

サツキ : 分かる! Lv40で進化だと思ってたら、違ってて調べたもん!

ミナト : 初見の時のあるあるだよねー。1種族目をクリアしたら、それ以降は把握済みだから問題ないんだけどさ。


「あ、割とよくある事なんですか! んー、まぁここは聞く気はないので、気長にやりましょうかねー!」


 Lv50でも上限じゃないのなら、Lv60なのかな? でも、法則性がないなら……正直、予想は出来ないよね! まぁすぐにどうこう出来る事じゃないし、気にしなくていいや!


富岳 : それで、サクラちゃんはここからどうするんだ? 縄張りを使う理由も無くなった気がするが……。


「あ、そういえばそうですね? んー、どうしましょう?」


 移動していくだけなら川の上をまた滑っていけばいいんだろうけど……索敵の効果が出て、川の中に敵がいっぱいいるのは見えるようになったね!


「……索敵、エリアボスのデンキウナギと戦う前には切っておいた方がいいんですかねー? 位置、分からなくなりそうです?」


 今はこの周辺のマップ上には赤い印が大量だし、折角の交戦状態の証が分からなくなっちゃう!?


ミツルギ : あー、まぁそれはその方がいいか。

いなり寿司 : 折角、ボスだと判明してる反応だしな。わざわざ他の情報で上書きするのは勿体ないな。

ミナト : 効果範囲内にいる時しか表示はされないけど、表示自体は交戦状態になった時と変わらないからね。

富岳 : 奇襲を狙うなら、まぁ『索敵』を使わない方が無難だな。

真実とは何か : それが真実なのである!


「やっぱりそうですよね!? んー、川の下流の方に敵の印が点々とあるので、これらは襲ってきたワニやブラックバスですよね。……これ、ピンポイントで遠距離から狙っていくのもありです?」


 どれも私と同格か、それ以上だったからこそ襲ってきたんだよね? 思った以上に川の中には敵の反応も多いし、水中で戦える状態でも、下手に戦わない方がいいのかも?

 あ、でLv50まで育ててから『威嚇』や『畏怖の気迫』で戦う相手をデンキウナギだけに限定する手もあるのかな? 位置的にはそれでいけそうな気もする!


「あ、そういえば、今の川の中って視界はどうなんですかねー? 私の視界まで悪くなったりしません? デンキウナギに襲われた時は視界が悪かった気もしますけど、慌ててたのでよく見れてないですし……」


 あの視界の悪さが戦闘中だったからなのか、この状態ではずっとなのか、私の戦闘にも大きな影響がある部分だよ!?


ヤツメウナギ : やっとそこを気にしたか!

こんにゃく : いつ触れるのかと思ってたけど、やっと触れたな!

神奈月 : ……水中に入らず、戦うつもりだったのだろうか?

イガイガ : まぁサクラちゃんだしなー。

G : それでこそサクラちゃんだがな!


「なんか散々な言われようですね!? むぅ……とりあえず、ちょっと川の中を見てきます……」


 ぐぬぬ、また皆さんが黙ってたパターンだったっぽい! まぁ確認する機会はあったのに、それをしてなかった私の落ち度ではあるのかな……?


 まぁいいや! 水中の敵と戦おうってのはこれからなんだし、決して遅いタイミングではないのです! 濁ってはいるけど、増水が少し収まってきたのか、川の流れ自体はそれほど強い訳じゃないしね!

 とりあえず川のすぐ横まで来たけど……端じゃ浅いから、少し進まないとねー!


「あ、『水化』の効果が切れてるから、水の上には立てないですね。まぁそのまま川の中に入りましょう!」


 ふふーん! 顔を浸けられるくらいの深さまで行けば、それで水中の様子は分かるはず! さーて、どうだろね?


「……無茶苦茶、見通しが悪いですね!?」


 待って、これは待って!? この辺って普通に立てるくらいに浅いはずなのに、川の底すら見えないんだけど!?


金金金 : これって無茶苦茶、視界は悪くねぇか?

水無月 : この状態で戦えるの?


「……戦える気がしませんね? えっと、近くに敵は……」


 一旦、水の中から顔を上げてマップで索敵の反応を確認! えーと……普通なら見えそうな距離に、敵の反応が3体くらい? 真っ正面に1体、右方向に2体だね。


「索敵に反応がある敵、見えますかねー? 見えないと流石に厳しい気がするんですけど……」


 まさかの雨の悪影響! これで敵が見えなきゃ、水中で戦う予定を大きく変更しないと!


「むぅ……見えないですね。これじゃ……あ、沢ガニです!? あ、見えなくなりました!?」


 うがー! 一瞬、沢ガニの姿と一緒に看破へ反応が出たのに、すぐに消えちゃった……。ぐぬぬ、これは非常に厄介だよ!?


サツキ : あー!? 沢ガニがー!? 経験値が勿体ない!?

ミナト : まぁ今のは諦めるしかないかな? 流石に視界の悪さは、どうしようもないしね。増水は収まってきてるけど、雨の影響はどうしてしばらく残るからねー。

チャガ : 雨はそう多くないんだがな……。いざ降るとこういう事が起こるから面倒ではある。

咲夜 : 種族次第では、この視界の悪さでもどうにかなるんだけどなー。

神奈月 : ライオンには無理な方法だから、まぁ別の手段を考えた方が無難か。


「確かに、この視界で水中戦はやめた方がいい気がします! 相手が見えてない敵ばっかりならなんとかなりそうですけど……そうじゃないのは、痛感しましたし!」


 川の上を滑って移動してる最中に、ワニやらブラックバスやらに襲われたもんね。それにエリアボスでデンキウナギがいるんだから、普通の個体でもいる可能性もあるよね。うん、下手に水中で戦うのは危険!

 とりあえず、川から出てどうするか考えよ! このまま川の中にいても、何も解決しないしね。濁りを取る手段があればいいんだけど……流石にそれは難しい気がするし!


ミツルギ : 今の状態でも戦って戦えない訳じゃないけど、まぁ避けた方が無難ではあるな。

神奈月 : カウンター気味に戦えば、いけなくもない。今のサクラちゃんなら、堅牢は高くなってるし。

いなり寿司 : 効率的かといえば、怪しいけどな。


「……うーん、カウンターでならいけなくはないんですか」


 でも、カウンター用のスキルって育成の選択肢から除外しまくってきたし……ただ襲われるのを待つってのも、何か嫌だもん! 放電でのカウンターなら使うけど、今は使えないし……。

 ぐぬぬ! 雷への適応進化、最強格って言われるだけの事はあるね! もの凄く、今の状況で使いたいもん!


「よし、決めました! 水中戦は諦めて、陸地から攻撃しまくりましょう!」


 という事で、水への適応進化はここまでだー! 倒すべき敵が電気を使うなら、雷への適応進化に戻すのは必須だしね! このタイミングで戻しちゃおー!

 えーと、どの宝石を使おうかな? 保存するのはどれでもいいけど……うん、これにしよ!


<成熟体【巧妙なライオン【水】】の適応進化を【ダイヤモンド】に保存し、成熟体【巧妙なライオン】へと変化しました>


 口から水を吐き出して……普通のライオンに変化! それで……ここで間違えないように要注意! 使うべきなのは、この『ガーネット【雷】:増幅Ⅰ』だー!


<成熟体【巧妙なライオン】を成熟体【巧妙なライオン【雷】】に進化させますか?>


 えっと、えっと……うん、間違ってないね! ここで間違ったら、色々と台無しだもんね! よーし、これで進化実行だー!


<成熟体【巧妙なライオン】を成熟体【巧妙なライオン【雷】】へと進化します>


 うふふ、バチバチッと放電しながら、進化が始まったー!


サツキ : サクラちゃんは、今、雷へと舞い戻る!

水無月 : 舞い戻る!

ヤツメウナギ : 洞窟で宝石系アイテムを大量入手したからこそ、気軽に実行出来るようになったな。

ミツルギ : 確かにな。状況に応じて使い分けられるのは、大きな利点だ。


「あはは、確かにそうですね! さてと、これで準備は完了です!」


<成熟体【巧妙なライオン【雷】】への進化が完了しました>


 いぇーい! 戻ってきたよ、私の最強武器! もう少し水への適応進化で戦うつもりだったけど、状況的にはこっちがいいもんね!

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