第599話 ノルマ達成


 うがー! 今日は死なないようにしようと思ってたのに、エリアボスに殺されたー!


「……とりあえず、リスポーンしましょうか」


 むぅ……折角強化した堅牢も、あんな攻撃じゃどうしようもなかったよ!?


金金金 : しょんぼりしている狐っ娘アバター。まぁ今の死亡は、そうなるのも分かる。

ミツルギ : あれは耐えられる方が少ないだろうな。

咲夜 : さっきの、雷への適応進化での『麻痺耐性』が活きる数少ないパターンじゃね?

富岳 : それは、まぁそうなるな。川での移動に便利な水への適応進化にしたままだったのが、逆に仇になったか。


「『麻痺耐性』があれば、さっきの麻痺は防げるんですか!? ……むぅ、普段の状態の方が可能性があったとか、思いもよりませんでしたよ!」


 うがー! あのデンキウナギ、絶対に倒してやるのです! 私の今日の目標を台無しにしたのは、絶対に許さない!


金金金 : 怒り始めた狐っ娘アバター。さて、今日のこれからは敵討ち狙いのリベンジ戦か。

G : 死亡ノルマは、無事に達成したしな!

イガイガ : だなー。まぁ流石に今回の死に方は、どうしようもなかった気がするけど。

いなり寿司 : 間が悪いというか……まぁ運が悪かったか。


「勝手に死亡をノルマにしないでもらえませんかねー!? そういえば、どの辺に出ました? 見た感じ、陸地っぽいですけど……」


 どこかの土手の上に出た感じかな? あ、割と西の方に出たから、この上流はカラメル河川域だよね!


ミツルギ : エリアの西の方だな。

サツキ : カラメル河川域の近くだね! あ、そういえばサクラちゃん! 手前の平原エリアの名前はどうするのー? まだ変えてないよね?


「あ、そういえばエリア名を変えるの、すっかり忘れてました!? 移動を再開する前に、サクッと変えちゃいましょうか!」


 予想もしてない形での死亡した事を吹っ切る為にも、完全に忘れ去ってたエリア名の変更をやっていこー! どんなのにしよっかな?


「洞窟探索がメインだったので、あんまり平原エリアを探索したって感じでもないんですよねー」


 洞窟を見つけるまでは……あれ? 何があったっけ? えーと、えーと!?


金金金 : 悩み顔の狐っ娘アバター。平原での事となると、ヒマワリ畑とかがあったな。

神奈月 : サクラちゃんと同系統のライオンとかもいたよなー。

水無月 : 迅速なバッタがエリアボスだったりもしたよね!


「あー、そうでした! そうでした! ……でも、印象深いのは洞窟の方ですし、そっちから名付けましょうかねー?」


 ランダム生成での洞窟だけど……うん、それで問題なし! そもそも、全く関係ない内容でエリア名を付けてるとこもあるんだし!


ミツルギ : 洞窟からか。洞窟だと、鍾乳洞と湖のある崖だな。

G : 見事に落ちてたよな、サクラちゃん。

神奈月 : 確かに、見事な落ちっぷりだったな!

サツキ : 昨日は落ちてたけど、落ちてなくても飛び降りてたと思う!

いなり寿司 : あー、確かにそれはやりそうだな。てか、実況外の配信プレイで、実際に飛び降りてたな。

咲夜 : 何の躊躇もなく、紐なしバンジージャンプをやるんだもんなー。

富岳 : まぁそれでこそ、サクラちゃんって感じではあるがな。

真実とは何か : それが真実なのである!


「あはは、あれは気持ち良かったですねー! あ、それなら、それにしちゃいましょう!」


 ふふーん! 私としてもあれは印象深いし、その方向で採用だー! バンジージャンプじゃちょっと長いから……。


<『名も無きの平原』から『バンジー平原』へと変更しました>


 うん、これで決定! さーて、それじゃまだ終わってないマップの解放を――


ミツルギ : あー、サクラちゃん? バンジーの意味分かってる?

チャガ : 『ゴム紐』平原か……。

咲夜 : ジャンプ要素の方が消えて、存在しない『ゴム紐』がどこかから出てきた!?

こんにゃく : そういや、『バンジー』って『ゴム紐』か。

ヤツメウナギ : ゴム紐を付けてジャンプするから、バンジージャンプだよな?


「あっ!? そういう意味になるんです!?」


 ぎゃー!? 紐なしのバンジージャンプだと、単なるジャンプでいいの!? ゴム紐なんてなかったし、これじゃ意味不明なエリア名……。あれ? でも、それって……


「別に特に誰も困らないですし、このままで問題ないですね!」


 うん、私が気にしなければ、それで特に問題なーし! 正直、凝った名前を付けても、忘れかけてるから拘る理由はないのです! 変な意味になってても、パッと何があったか思い出せるならそれでいいのさー!


こんにゃく : それでいいのか!?

ヤツメウナギ : サクラちゃんがいいのであれば、問題はないか?

G : まぁカラメル河川域とか、モンブランの森とか、既に割と謎だしな。

神奈月 : あー、それは確かに。

真実とは何か : 真実に、常に意味を必要としている訳ではない!


「あはは、まぁ今更ですからねー! さーて、それじゃマップの解放を再開していきましょう! 結構、距離は稼げたとは思うんですけど……とりあえずこの辺からですね! 『索敵』『見切り』『弱点分析』『看破』!」


 いつものスキルセットの発動だー! うーん、結構使ってるはずなんだけど、どれも中々スキルLvが上がらないね? まぁ十分、便利に使えてるからいいけど!


サツキ : サクラちゃん、どういう風に進んでいくの?


「えーと、どうしましょう? 死ぬ前みたいに、川の上を滑っていくのも良さそうですけど……この辺の敵のLv次第ですね」


 カラメル河川域に近い場所だから、それほど敵のLvが高い位置ではないと思うけど……あ、土手の下にタンポポを発見!


「えーと、Lv42の旺盛なタンポポがいますし、この辺なら私よりも格下みたいです!」


 これなら、いっそ縄張りを使っても大丈夫なんじゃない? あのデンキウナギはもっと東の方にいたんだし、マップを見た限りでも遠いもん!


「決めました! とりあえず土手を降りて、そこで縄張りを展開しちゃいましょう! そこから川を下りつつ、Lvを上げて、デンキウナギへリベンジです!」


 ふっふっふ! デンキウナギの居場所は分かってるんだから、そこまで進みながら準備をしていくのですよ! 途中で、雷への適応進化に切り替えた方がいい気もするし!


ミツルギ : ほほう? なるほど、そういう進み方にするのか。

富岳 : 『畏怖の気迫』をオフにしておけば、まぁ順当にLvを上げやすい場所ではあるな。

サツキ : それじゃ、サクッと土手の下まで行って、縄張りの展開だー!

水無月 : 展開だー!


「はい、そうしますねー! よいしょっと!」


 この辺の土手は、ちょっと水溜まりが多めだから滑らないように……って、水への適応進化になってるんだから、そこまで気にする意味も――


<規定以上の距離を移動しましたので【マップ】が解放されました>


「……え?」


 あれ? まだ縄張りは使ってないけど、なんでマップが解放になったの?


ミツルギ : あー、解放される寸前まで進んでたか。

ミナト : なんだかんだで、滑って結構な距離は進んでたしね。……後ろ向きだったから、実感しにくかったとは思うけど。

イガイガ : 結局、正面は向けないままだったしなー。


「あー!? 普通に解放される直前まで進んでたんです!? あ、よく見れば、『規定以上の距離』の表記の方ですね?」


 最近、縄張りを使っての解放の方が多かったから、一瞬分からなかった! そっか、そっか。そりゃ結構な速度で水面を滑ってたんだし、それなりに距離は稼げてたよね!


「……もう少し早くマップが解放出来てたら、あのデンキウナギからの奇襲は避けられましたかねー?」


 土手から降りてる途中で解放されたのなら、本当にあと少しってタイミングで襲われたって事だもん! ぐぬぬ、あの時にマップが見えてたら、索敵で避けれた可能性はあるのかも?


ミツルギ : ……あの移動速度の中だと、正直、索敵で見えててもどうなんだろう?

富岳 : 見えていたとしても、水を伝った放電で麻痺にさせられていたから、避けられたかどうかは怪しいな。

ミナト : あの放電で麻痺が入ったのが痛い部分だからねー。エリアボスだから入りやすかったって要因はあると思うけど……サクラちゃんは、放電での麻痺確率はよく知ってるよね?


「……一発で入る方が少ないですよねー。そう考えると……なんかあのデンキウナギ、腹が立ちますよ!」


 ぐぬぬ! あの1撃目の放電で麻痺にさえならなきゃ、生き残る可能性もあったかもしれないのは悔しい! うがー! 意地でもあのデンキウナギはぶっ倒すのさー!

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