第586話 トリカブトとスッポン


 よし、獅哮衝波の1段階目の溜めは完了! 2段階目に入って動ごけなくなる前に、なんとかトリカブトの方へ向き直るのも成功だー!


「わっ!? 毒が……いえ、それごと吹き飛ばします!」


 見切りに反応が出てるし、黄色い毒液が飛んできてるのも見えるけど、大急ぎで衝撃の範囲を絞って……うん、これくらいのはず!


「獅哮衝波、いっけー!」


 尻尾に噛みついているスッポンもどうにかしないとだけど、その前にトリカブトを仕留めないと危険だもん!


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<サクラ【巧妙なライオン【水】】が成熟体:Lv44に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを4獲得しました>


「ふふーん! トリカブトは撃破完了です!」


 かなり凝縮したし、あんまり遠くまで攻撃しないように地面に向けて放ったもんね!


神奈月 : おー、流石に凄い威力だな。

ミツルギ : かなりの凝縮もしてるから、その分だけ威力が上がってるなー。

咲夜 : 思いっきり土手の一部が崩れてるけどな!

ミナト : まぁあれだけの威力を地面に向けたらねー?


「……あはは、それはまぁそうなりますよねー! って、わわっ!?」


 ぎゃー!? 私の攻撃で抉れて崩れた部分から、周囲まで崩れ始めちゃった!? 退避、退避、退避ー!?


金金金 : おー、土手が壊れていってんな。

富岳 : あぁ、水を含んで崩れやすい状態でもあるんだな。

真実とは何か : それが真実なのである!


「水を含んでると崩れやすいんです!? 確かにちょいちょい水溜まりはありましたけど!?」


 ともかく、今はこの場を離れるのです! 崩れるのに巻き込まれたくはないから、向きを変えて猛ダッシュ!


ヤツメウナギ : ほら、大雨で土砂崩れとかあるだろ? ああいう感じで、雨が降った後は地形は崩れやすくなるんだよ。

イガイガ : そういう事だな! まぁ崩れたところで、土手くらいなら大した事はないが……。

チャガ : 山でやれば、相当危険ではあるけどな。


「あ、これって土砂崩れを引き起こした状態なんです!? ……確かにそれは山だと危険そうですね!」


 うぅ!? そういう危険性は全然考えて……って、どんどんHPが減ってるし、そっちばっかり考えてる場合じゃなーい!

 えっと、えっと!? あ、崩れていってる土手から河原の方へ降りよう! この辺は土がメインで石はそんなにないけど……それでも、いい感じの岩を発見! よーし、あれを使おう! 一気に駆け寄っていくのです!


サツキ : サクラちゃん、河原の方へ移動だー!

水無月 : 移動だー!

こんにゃく : とりあえず、崩れるような音は聞こえなくなったけど、まぁそっちの位置が安全か?

いなり寿司 : まぁ崩れるって言っても、ここの土手程度ならなー。移動するのも、足場のしっかりしてる河原側の方がいいだろ。

真実とは何か : それが真実なのである!


「あはは、こっちでよかったみたいですね。というか、このスッポンはいつまで噛みついてるんですかねー!? 『振り回し』!」


 丁度いい感じの岩に向けて、スッポンごと尻尾を叩きつけるのです!


「……むぅ、まだ離しませんか!? えい! えいや! えい!」


 自分の尻尾へは攻撃しにくいから、もうともかく尻尾を振り回しまくって叩くつけるのですよ! いい加減、尻尾に噛み付くのをやめなさーい!


金金金 : 噛みつき続けるスッポンと、それを岩に叩きつけ続けるライオン! ……凄い光景だな?

咲夜 : こういう時こそ、『放電』が欲しいけどなー。

富岳 : まぁ今は使えないものは言っても仕方ないだろ。


「そうなんですよねー。放電が使えたら楽なんですけど……えいや!」


 むぅ……全然離してくれないよ!? 堅牢系統ではないからダメージはそれなりに与えられてるけど、堅牢が弱点って訳じゃないし……。生命が弱点なだけでもマシな気はするけど……あ、そうだ!


「これでどうですかねー! 毒の実をばら撒いて、えいや!」


 ふっふっふ! 土の上に毒の実を数個落として、そこにスッポンを叩きつける!


「やりました! 毒が入りましたね!」


 これならスッポンに毒が回って、HPの削れ方が早まったね! この状態で、もっと叩きつけていこー!


サツキ : サクラちゃん、ナイス!

水無月 : スッポンに毒が入ったね!

咲夜 : 毒が入っても意地でも離さないのな、このスッポン。

神奈月 : 一度噛みつかれると、中々離さないからなー。

富岳 : 屈強系統となれば尚更にな。離した方が、毒の回りも早くはなるが……。

ミツルギ : 自分で動き回ってなければ、毒の回りは早まらないしなー。


「あ、この振り回した状態で毒の回りが早くなったりはしないんですか……」


 むぅ……少しそれを期待してたのに、当てが外れたっぽいね。でも、毒がどんどんHPを削ってるし……私のHPもどんどん削られてるから、安心とは全然言えないよ!?

 これ、堅牢を強化してなかったら、もう既に死んでた気がする! うん、今の状態が続けば、今でも普通に死にそうだけど!


「このままじゃ死にますよ!? 『自己修復』! それとこれもです!」


 これだけじゃ回復し切らないから、野イチゴも食べて凌ぐのさー! うふふ、動きを止められてる訳じゃないから、回復は大丈夫!


G : おっ、回復していくか。まぁ可能ならそれもありだよな

イガイガ : だよなー。叩きつける尻尾の動きが止まったけど……。

サツキ : 毒が効いてるから、そこは問題なーし!


「食べるのと叩きつけるのを同時にするのは難しいですね!?」


 むぅ……気付いたら攻撃する方の動きが止まっちゃってた!? ぐぬぬ、回復と攻撃を同時にするのが難しいよ! あ、再使用時間が過ぎてるし、またこれでいこー!


「いい加減、離してくれませんかねー! 『振り回し』!」


<『振り回しLv3』が『振り回しLv4』に上がりました>


「あ、やりました! スキルLvが上がってくれましたね!」


 ふふーん! 最近、色々とスキルLvの伸びが悪くなってきてる気がしてたけど、ここで上がってくれたのは嬉しい!


「あ、しかも朦朧が入りましたね! ……それでも噛みつきは離してくれませんけど!」


 うがー! どれだけ噛みつくのにこだわってるの、このスッポン! ぐぬぬ、なんとか引き剥がしてしまいたいけど、朦朧じゃスキルのキャンセルは……。


「あー!? そういえばこれがありました! 『咆哮』!」


 わー!? なんで1番、確実にキャンセルさせられる手段を忘れてたの!? よーし、萎縮が入って尻尾から離れた!


神楽 : なんで使わないのかなーって思ってたら、単に忘れてただけなんだ!?

咲夜 : まぁそんな気はしてた! だから、何も言わなかった!

神奈月 : いつ気付くか、気にはしてたんだけどなー。まぁ仕留める前には気付いたか。


「皆さん、気付いててスルーしてたんですか!? って、それを気にしてる場合でもないですね! 今のうちに、攻撃を仕掛けます! 『強牙』!」


 噛まつかれれまくったから、噛み返すのさー! ガブっとスッポンの頭に噛みついて、ぺっと吐き出す!


「普通のカメほど硬くないのはマシですね! それでも硬いですけど、これでトドメです! 『強爪撃』!」


 ……あ、残りHP的に削り切れるかと思ったけど、少し残っちゃった!?


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


 うがー! その後すぐに毒で死んだけど、なんか……なんか、微妙な決着の仕方なんですけど!?


サツキ : サクラちゃん、トリカブトとスッポンを撃破!

水無月 : 撃破ー!

金金金 : 複雑そうな表情の狐っ娘アバター。トドメと言って、トドメにならない事は割とよくある気もするが……。

咲夜 : 今更ではあるよなー。

サツキ : 気にしない、気にしない! 勝ちは勝ちだよ!


「……それもそうですね。とりあえず、HPが減りまくってるので、回復しておきましょう!」


 まぁ勝ちには違いないんだし、戦闘が終わったなら回復優先で! ……回復アイテム、補充したのにそこそこ使っちゃったなー。

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