第583話 まずは川へ


 地上への適応進化の話を聞いたけど、今の私には一切関係なかったね! 既に陸地で活動出来ているのに、どうやって適応すればいいのかって話だし!


「さーて、それじゃマップの解放からやっていきましょう!」


 新エリアに来て、まずするべき事はこれだよね! 出来れば、河川域なんだから川が見えるところでやりたいなー!


ミツルギ : まぁまずはそこからか。

神奈月 : 縄張りを使えば1発だけど、それはやらない感じ?


「んー、地味に縄張りが再使用時間に入ってるのもありますけど……最近それ続きだったので、今回は普通に解放したいですね!」


 縄張りが切れて再使用時間に入ったのは、多分このエリアに移動したからだよね! 何分か待てばまた使えるけど……あれを使ったら死ぬのはほぼ確定だもん!

 楽だけど、普通にやりたい時もあるのです! 今日は1回も死なないように頑張ってみよー!


サツキ : はっ! 何か決意してるし、今日はもしかして死なないつもりの日!?

富岳 : あぁ、今の表情はそういう決意か。

金金金 : なるほど、力強く拳を握っていたのもそれか!


「何も言ってないのに、なんでバレバレなんですかねー!?」


 むぅ……私の狐っ娘アバター、感情を雄弁に語り過ぎじゃないですかねー! 作ったの、私だけど!


こんにゃく : 果たして、一度も死なずにいけるのか!?

G : いやいや、ノルマ達成を放棄してもらっちゃ困る! どういう死に方をするかを楽しみにしてるんだし!

イガイガ : そうだ、そうだ! サクラちゃんの死亡はノルマだぞ!


「何を楽しみにしてくれてるんですかねー!? 勝手にノルマにしないでもらえますか!?」


 Gさんもイガイガさんも、いつも通りではある気がするけど、失礼じゃないですかねー!? ぐぬぬ、そんなに私が死ぬのが面白いの!? ……あ、うん、視聴者さんの視点から考えたら、普通に面白いよね?

 ううん、そうだとしても私が死ぬのをノルマだとは認めません! 今日は意地でも死なずに生き残ってやるのですよ!


金金金 : またも決意をする狐っ娘アバター。ノルマと言えば言うほど、頑なに拒んでいるな。

ミナト : あはは、まぁある意味当然な反応な気もするけどね。

水無月 : サクラちゃん、死なないようにファイトー!

真実とは何か : どういう真実に至るのか、今はまだ誰も知らない!


「死なないという真実に辿り着いてみせますよ!」


 これが今日の私なりの目標! まだ1日も死なずに終わった日はないけど、今日を記念すべき初日にするのさー!


ヤツメウナギ : そういえば、咲夜さんのコメントがないな? 今日の方向性が決まる気がするんだが……。

咲夜 : だからだよ! また俺の発言がフラグ扱いされそうだから、この件には言及しない!

いなり寿司 : 迂闊にコメントをするのに、躊躇するようになったか。

咲夜 : そりゃ、あれだけ色々あればなー!


「……あはは、まぁその気持ちはなんとなく分かります」


 気軽にコメントをしてくれたら……って、因果関係は不明でもあれだけフラグになってたら、そりゃこうもなるよね。私的にはネタバレさえ気を付けてくれればそれでいいんだけど……あれだけあったらねー。


チャガ : 誰がどういう風にコメントするかは、規約違反でない限りは自由ではあるんだが……あれだけ色々あれば、躊躇する気持ちは分かるな。

ミナト : 自分のコメントの通りに、あれだけ事態が動けばね。うん、気持ちは分かる!

咲夜 : だよな!? そうなるよな!?

金金金 : まぁ、確かになー。俺なら、逆に吹っ切って『預言者』とでも名乗るがな!

G : ほほう? それはそれで、面白そうだな。

咲夜 : そこまで図太い神経はしてないんだけど!?


「……あはは、でもそういう認識の仕方もアリかもしれないですよねー!」


 まさに逆転の発想だね! 咲夜さんの発言がフラグになる事は実際に多いんだし、それを『預言』を言い換えるってのはすごいね! まぁそうなると、今度は外れた時に色々言われそうだけど!


「まぁ雑談はこれくらいにしておいて、そろそろ進んでいきましょう! 適度に戦闘もしていくので、普通に移動していきますねー! まずは川が見える部分まで移動です!」


 川まで辿り着いたら、投擲用の小石を拾いつつ、『増幅石』が手に入れられないかチャレンジだー!


サツキ : サクラちゃん、川に向けて出発ー!

水無月 : 出発ー!


「ここから、どのくらいかかりますかねー? この辺、拓けた木々の中ですけど、川は見えませんし……」


 今いる場所はエリアの南端だから、流石に川が見えないのは仕方ない気もするけど! とりあえず、これ以上の話は移動をしながらだね! スキルで疾走は使わないけど、普通に走っていこー!


ミナト : 下流になればなるほど川幅は広がるから、割とすぐ見えるけど……地形的には近くまで進まないと川は見えないかな?


「え、それってどういう事ですかねー? これだけ拓けてたら、すぐに分かる気もしますけど……」


 んー? 川が見えない理由ってなんだろ? ……あれ? 拓けてるって分かる割に、ここから川が見えてないのもおかしくない? ここから一番遠くで見えるものって……。


「……なんか、ちょっとした小高い丘があります?」


 なんでこんなとこに丘が……って、これ、堤防なんじゃ!? あ、そっか! だから直接川が見えないんだ!?


ミナト : うん、それが見えない理由! 自然堤防が出来てるんだよね、ここ。

水無月 : おー、そうなんだ! 自然堤防ってあれだよね? 河川の氾濫で、自然に土砂が集まって盛り上がって出来た地形!

富岳 : まぁそれだな。土手とも言うぞ。


「なるほど! だから、ここからは見えない訳ですね! 川を見たければ、土手に登るしかない訳ですか!」


 川の左右が盛り上がってるんだから、そりゃここからじゃ見えなくて当然だったよ! というか、同じ河川域って名前でも、結構違った様子なんだね!

 ふふーん、そうしてる間に木々の中から脱出! おー、色々と景色が広がって……。


「……あのー、土手までの距離が場所によって微妙に違うのはなんでですかねー? というか、なんだか小規模な三日月型の湖を見えてきたんですけど?」


 近場でちょいちょい敵はいるけど、先の光景が気になって相手にする気になれないよ!? Lv的にも私よりも格下だし!


ミナト : んー、川の形についてのネタバレになっちゃうからねー。それでもよければ、その辺は説明するよ?

富岳 : というか、この辺は地理の勉強にもなるかもな。


「え、そうなんです!? んー、川の形が関係あるなら、川を見てからにしたいですし、今は遠慮しておきます! 先に土手まで行きますね!」


 土手自体は見えてきたんだし、そこまで遠くはないもんね! 話を聞くなら、そこまで行ってからでもいいのですよ!


ミナト : そういう事なら了解。まぁその方が、ネタバレ抜きで説明しやすいしね。

ミツルギ : 確かになー。現実の地形を無視した配置も結構あるが、ここは現実に合わせた地形だし。

富岳 : だからこそ、地理の勉強にはなるぞ。


「勉強は、正直どっちでもいいんですけどねー。それにしても……なんか、微妙に走ってる時の感覚が違うのが気になります? これ、地面自体が柔らかくないです?」


 沼みたいに足が埋まる訳じゃないけど、なんか微妙に走りにくい! 粘土質というか、しっかり固まってる土じゃないよね!?

 それに、なんか植物の種類も草原とかとは違う気がするよ!? 湿原エリアで見たような系統が多い気がする!


ミナト : その辺も川の形に関係してくる話だから、後でになるかな?


「あ、そうなんですか! それじゃ、まずは土手まで進みましょう!」


 なんか三日月型の湖の近くほど足場が悪い気がするけど、まぁ水への適応進化があるから沈む事はないはずだよね! そっちの方が近いから、そこを目指して一直線に進んでいこー!

 それにしても……なんだか、微妙に川の周囲の地形の話って覚えがあるような? 地理の勉強になるって話だし、授業で習ってたのかも? ……正直、まともに覚えてないけども!

 

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