第572話 とりあえずの方向性


 色々と騒ぎながらだったけど、とりあえずお昼ご飯のたこ焼きは食べ終わって、本格的な話し合いをしていった! まぁそこでも色々とバタバタしてたけど、ちょっと方向性は見えてきたかも?


「えっと、撃ち出すのは杖から魔法って事でいいんだよね?」

「ま、ここまでの話をまとめるとそうなるね。それ以上の範囲は……とりあえずバカップルが校内全体の使用許可を取ってくるかどうか次第だね」

「うん、頑張る! 早速、相談しに行ってみる?」

「おっし、やる気になってきたし、そうするか!」


 あはは、すぐに部長同士のバカップルが許可を貰いに出ていっちゃった。んー、でも今日中にすぐに許可が出るものなのかな? 去年の文化祭、まともに参加してないからその辺の手順はわかりません!


 そもそもどこかの教室内だけでやるのか、それ以上の規模でやるのか、そこからまだ確定じゃなかったみたいだもんねー。変に手を振り回し過ぎても、ARの表示が見えてない人からすると危ないから、割り箸を参加資格にするって事になったもん!

 だから、私がまずするのはただの割り箸を、ちゃんとした魔法の杖に見えるようにデザインする事! ふふーん、どんなのにしようかなー?


「美咲ちゃん、撃ち出す魔法ってどんな感じにするの? 杖だけじゃなくて、そっちも必要だよね?」

「あ、確かにそれはそうかも! んー、どんなのにしよっかな?」


 指から何か出すとかならシンプルに光の球とかレーザーみたいなのでよかったと思うけど、魔法となると色々あるもんね! 火の球を飛ばしたり、石の礫を飛ばしたり!


「そういや、狙いってどう付けるんだい?」

「あ、それも大事だね!」


 そっか、そっか! こうやって作る側になったら、そういう部分も気にしないといけないんだ! んー、モンエボの『投擲』みたいに、飛んでいく先を指定するとかになるのかな?


「……ボールを投げる訳じゃなくなったんだし、物理演算を適応じゃなくていいよな?」

「むしろ、魔法にどうやって適応させろって話だしな。魔法のエフェクトを用意してもらえるなら、座標指定からの自動誘導?」

「マーカーを表示して、それを視点で狙いを定めて、特定動作で発動ってとこか」

「魔法なら、杖を振り下ろすのを発動トリガーには出来るよな? マーカーでの照準になるなら、割と的の方を動かしてもいいのか。そうじゃないと、ゲーム性が簡単になり過ぎる」

「あー、こうなると校内でモンスターを徘徊させてぇな!」


 えーと……うん、ここは私の出る幕じゃないっぽい! 正直、今の話に付いていけません!


「こらこら、コンピュータ部だけで櫻井さんを置いてけぼりにするんじゃないよ。狙いについては、まぁここから要検討ってのは分かったけど、それならそれで何か出来る事はあるのかい?」

「あ、悪い! あー、今出来る範囲だと……簡単な仮のでいいから、魔法のエフェクトを1つ頼めねぇ? どういうのかは、作りやすいのでお任せで!」

「挙動はこれから作るけど、1つあれば仮動作は出来るしな!」

「魔法となれば、色々と種類も欲しいけど……まぁまずは土台を作ってからだな」

「なるほど、とりあえず魔法を何か1つだね? 櫻井さん、いけるかい?」

「あ、うん! それくらいなら、大丈夫だと思う!」


 でも、作る魔法をお任せでかー。うーん、まぁ仮で使うものみたいだし、今は凝ったものを作る必要まではないのかも?


「とりあえず、簡単に作ってみちゃうね!」

「わー! 美咲ちゃん、待って!? 作業するなら、家庭科室じゃなくて、コンピュータ室に移動しよ!?」

「え、あ、確かにそれはそうだね!」


 たこ焼きを食べ終わった後、お茶を淹れてまったりな状態で話し合いをしてたけど、本格的に作業に移るならここじゃなかったー!? あわわ!? なんかちょっと慌て過ぎちゃってる!?


「はいはい、もう作業に移れるなら、ササっと片付けを済ませて移動するよ! 私らは報酬用の試食データを試してみるからね」

「よーし、腕の見せ所! VR空間での料理って、色々感覚が違うもんね!」

「……まだ、あれは色々と慣れない」

「あはは、機材すっごいもんねー! 初めて触るようなのばっかだし!」


 あ、そっか。料理部の人達も共同でやるんだし、そっちも作っていかないといけないもんね! 私とは別に、色々とやる事もある……って、あれ?


「ねぇ、結月ちゃん? その報酬用の試食データって、どのくらい用意する予定なの?」

「えーと、まだメニュー自体が確定じゃないんだよねー。軽食にするか、お菓子にするか、その辺を決めてからじゃないと量も決めにくいかも?」

「あ、そうなんだ!?」

「あはは、まぁ勢いだけで始まってるから、決まってない事の方が多いんだよねー。美咲ちゃん、何かその辺で気になった事でもある?」


 気になった事というか、思い付いた事はあるもんね! 色々と決まってない事が多いなら、私が案を出しても大丈夫なはず! デザインするのは私なんだし、そこは作業量を詰め込み過ぎなければ問題なーい!


「ちょっとした思いつきなんだけど、食材を仕留めていくってのはどう!?」

「……え、食材を仕留めて? あ、食材をモチーフにしたモンスターを出す感じって事!?」

「うん! そういう感じ!」


 ふっふっふ、モンエボでは植物が歩いてるんだし、そういうのでもいけるよね! 報酬がお菓子なら、小麦やサトウキビを動かしてもいいし、もう牛乳瓶とか卵そのものが飛んでるのとかでもいいかも!


「……ありといえば、ありか?」

「撃破数のカウントではなくて、何を仕留めたかで報酬を変える形か!」

「実装自体は、そう難しくもないか。どっちにしろ敵の種類によって得点数を変える必要はあるし、それを素材の取得量の置き換えれば済むよな?」

「食材によって、倒しやすさを変えるのもありだな。校内のどこに配置するかで、探索気分を味わえるってのもありか?」


 おー、なんか良い感触だー! ふっふっふ、ただの思いつきだけど、なんか面白そうな事になりそうな予感!


「はいはい、そういう話は片付けを終わらせて、移動してからだよ! ちゃちゃっと動く! あ、櫻井さんはのんびりしてていいからね」

「「「「はーい!」」」」

「あ、うん」


 コンピュータ部の人達はなんか話し込んじゃってるし、家庭科部の人達は片付け中。のんびりしてていいと言われたけど……なんかちょっと疎外感ー!

 まぁ今のうちに、杖のデザインを簡単にやっちゃえばいいかな? 携帯端末のデザイン用のアプリも新しいのに変わってから、動作は軽快だもんねー! 待ってる間に、ササっとやっちゃおう!



 ◇ ◇ ◇



 片付けを待ってる間に、ササっと杖のデザイン自体は終わらせたー! というか、あくまでも仮で用意したものだから、もの凄く手抜き! ぶっちゃけると、かんざしの木の部分を流用した感じ! 余計な装飾は特にないけど、割り箸よりはしっかりとした木の杖って雰囲気にはなったよね!

 もっと手の込んだデザインにしたい気はするけど、今はこれでよーし! いきなりガッツリ作り込むんじゃなくて、簡単なものでバランスを見るのも大事って姉さんに教えてもらったもんね! その方が、最終的な労力が少なくて済むって言ってたもん!


「美咲ちゃん、移動するよー!」

「あ、うん! 分かった!」


 よーし、コンピュータ部の部室まで移動したら、今作ったこれを見せていきましょうとも! それでよければ、その後に魔法の方も作っていこー! という事で、一旦デザインのアプリは中断にして、みんなに続いて移動なのです!


 そこまでやったら、今日はとりあえずお開きくらいかな? 魔法、どんなのがいいかなー? 折角だし、モンエボのライオンで使う『放電』や『放水』みたいなのにするのもありかも?

 あ、でもエフェクトの演出はどうなるんだろ? エフェクトってまともに作った事がないから、今はシンプルに作りやすいものがいいかも! 多分、火の球くらいなら作れると思うしね! 帰ってから、ちょっと姉さんに作り方を相談してみようかな?

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