第16章 夏休みに入ります!

第569話 打ち合わせの前に


 今日は終業式のみで、その後はもう夏休みに突入だー! ふっふっふ、この忌々しい登下校の暑さともおさらば……って事にはならないんだろうねー。


「あ、美咲ちゃん、おはよー!」

「結月ちゃん、おはよー!」


 暑い中、高校に向かって歩いていたら、校門前で結月ちゃんとばったり遭遇! こうやって話すようになってから、結構な遭遇率だよね!


「昨日の実況外のプレイ、さっき見てたんだけど……最後、凄いのが出たね?」

「あれ、ビックリしたよ! どう扱ったらいいんだろ?」

「んー、私はオフライン版はやった事ないから、なんとも言えないかな? 今日の配信の時に、みんなが教えてくれるんじゃない?」

「あはは、まぁ多分教えてくれるよねー!」


 なんだかんだで質問すれば、色々と教えてくれるもんね! あれがアイテムとしてどういうものなのかは分かるけど、同じ感覚で使っていいものなのかは聞いておきたいし……まぁ配信の事は、今はいいや! 今日、大事なのはこの件だし!


「結月ちゃん、結月ちゃん! 今日は、文化祭の件はどうしたらいい?」

「えっと、終業式が終わったら家庭科室に来てもらえばいいかなー? そこでみんなでお昼を作りながら、コンピュータ部の人も交えて色々と相談って感じ?」

「うん、分かった!」


 少なからず緊張する部分はあるんだけど……姉さんからは、楽しんでこいって言われたもんね! 変に気負わず、私が私として楽しめるようにやっていこー! 去年までの、文化祭では何もせずにいた私とはおさらばなのです!


「そういえば、美咲ちゃん? 『サクラ』関係以外で、人に見せても大丈夫な何かってある?」

「んー? 『サクラ』関係以外で……?」


 あ、そっか。わざわざ学校で『サクラ』を見せる気まではないんだし、無関係なもので、私が作ったと示せる何かがあった方がいいんだ!


「そういう事なら、姉さんのデザインしたキャラを真似て作ったやつがいくつかあるよ?」

「おぉ! それ、是非とも個人的に見たい……って、そういう話じゃなかった!?」

「あはは、まぁそれはまたの機会にねー!」


 私と姉さんのどちらのファンでもある結月ちゃんにとっては、かなり貴重な物なのかもねー。まぁどれも『サクラ』を作る前の代物だし、姉さんに色々と教わり始めた今から見ると悪い出来ではあるけど……それでも、私が作ったものではあるもん!

 聡さんに色々褒められたんだし、そこは少しでも自信を持っていってもいいはず! まだ姉さんには遠く及ばなくても、私は私なりに頑張っていくのです!


「それじゃ、お昼に私や楓で紹介はしていくから、よろしくねー! その時に、その作ったものを見せてもらっていい?」

「うん、それは大丈夫! またお昼にね!」


 教室まで話しながらやってきたけど、ここで一旦お別れ! 続きは終業式が終わってからだー!



 ◇ ◇ ◇



 長々とした校長先生の話が苦痛だったけども、なんとか終業式は終わりだー! ふっふっふ、これで夏休みまでの学校行事は全て終わり! 予定通り、家庭科室に――


「ほら、櫻井さん、行くよ」

「あ、立花さん」


 教室を出ようとしたところで、料理部の副部長の立花さんに捕まった! まぁ目的地が一緒なんだし、ここ数日でそれなりに話もしたし、問題なーし!


「楓! 美咲ちゃん! 2人とも、発見ー!」

「はいはい、静かにしときな、結月。変に狙われてるんだから、さっさと離れるよ」

「え? あ、美咲ちゃん狙い!?」

「え、私!?」


 えっ!? えっ!? 私狙いってどういう事!? 私、何にもしてないよ!?


「……櫻井さんをこの機会に遊びに誘おうって狙ってるのが沢山いるからね。こっちが先約済みなんだから、下手に手は出させやしないよ」

「……え?」


 ちょっと教室の中を振り返ってみれば……わー!? なんか妙に注目を集めてませんかねー!? なんか悔しそうな顔をしつつ、顔を逸らしてる男子もいるんだけど!?


「さーて、美咲ちゃんは私達と一緒に行こー! 文化祭の打ち合わせだー!」

「あ、うん!」


 なんでそんなに結月ちゃんは大声で言ってるんだろ? 別に私に言うだけなら、もっと声は抑えてもいい気がするけどなー? まぁいっか!



 ◇ ◇ ◇



 教室を出る時に妙な雰囲気もありつつ、なんとか家庭科室に到着! あー、冷房が効いてて涼しいー! 見知らぬ人も結構いるけど、立花さんが睨みを利かせてくれているようで、部外者の私が入っていっても質問攻めを受ける事はなかったね!


「えーと、結月? この子が、言ってた櫻井さん?」

「うん、そうそう! えっと、美咲ちゃん、この人が我が部の部長の春日さん!」

「文化祭の件の発端、バカップルの片割れね」

「えへへ、バカップルとかそんな程じゃないってば! もう、楓ってば!」

「……いや、褒めてないからね?」


 うん、部長さんだから3年生の先輩かと思ってたけど、意外と2年の同級生だった。……バカップルって言われて、この反応は色々と凄いなー。


「他はまぁ追々と紹介するとして……とりあえず、バカップルの片割れ、お昼を作るよ。櫻井さん、コンピュータ部とのあれこれはそれらが済んでからでいいよね?」

「あ、うん! それで大丈夫!」

「バカップルって呼ばれるのは気にしないけど……楓、そこは普通に名前で呼んでくれない?」

「……いや、そこは気にしろって」

「……あはは」


 この部長さんの春日さん、癖が強いなー。他にも部員さんはいて、合計6人かな? 1年生が3人、2年生が3人で、3年生は……誰もいないっぽい? みんな女子なのは、まぁ部活的にもそんなとこなのかも?


「さぁ、お昼、お昼! 美咲ちゃん、作るのもやってく?」

「あ、うん! 手伝うよ、結月ちゃん!」


 流石に見てるだけってのも悪い気がするし、私は全く料理が出来ないって訳でもないもんね! 手際よく出来るかどうかは微妙だけど……それでも何かしら出来る事はあるはず!



 ◇ ◇ ◇



 みんなで作ったお昼ご飯は……何故か、たこ焼きパーティー! 食材を切るのは手伝ったけど……流石は料理部! 私よりも遥かに手際がいい!

 メニューを聞いた時や、たこ焼き用の鉄板が出てきた時は驚いたけど、ワイワイと騒ぎながらの準備の雰囲気ってなんかいいね。


「さーて、これからたこ焼きを焼いていくけど、恒例のロシアンたこ焼きをやっていくよー! 見事、ワサビ入りのを食べた人には櫻井さんへの質問件をプレゼント!」

「……え? えぇ!? それ、聞いてないよ!?」


 待って、待って、待って!? どこからツッコんだらいいの、これ!? ロシアンたこ焼きのところ!? それとも私への質問権のところ!?


「……私も聞いてないね? おい、バカップルの片割れ、何勝手な事を言ってんの?」

「痛い、痛い!? 楓、痛いから髪を引っ張らないでー!?」

「美咲ちゃん、気にしなくていいからねー。うちの部長、マイペース過ぎるとこがあるからさー。普通に焼くからね」

「あ、うん」


 1年生の部員さんは、苦笑いしてるね? これ、割といつもな事なのかも? はっ!? そういえば普段から勝手に料理を作ろうとしてる人がいるみたいな事を聞いた覚えもあるけど、それってもしかしてこの部長さん!?


「さてと、バカップル部長は置いといて……たこ焼きを焼きながら話をしていこうか。結月から聞いたけど、実際に作ったものを見せてもらえるって話だったね?」

「あ、うん。それじゃ表示しちゃうね」


 朝に結月ちゃんに言われてから、どこにあったかはちゃんと探っておいたから、すぐに出せるよね! 携帯端末を操作して……うん、目の前に浮かび上がって表示された!

 えーと、他の人との表示の共有ってどうやるんだっけ? あ、思い出した! これをこうして、こう! これで、近くにいる人も見れるはず!


「あぁ、AR表示の共有だね。……へぇ、こりゃ大したもんだね」

「わぁ! 思った以上に凄い! 結月ちゃん、ナイス人選!」

「あー! これ、あのゲームのヒロインだー! こっちはアニメの主人公!」

「食いついてるねー、結月先輩。でも、その気持ちは分かるかも?」

「部長の事、完全に無視だもんね。これって二次創作……だっけ? そういうのあったよね?」

「ドンマイですよ、部長! うん、多分そういうやつだね!」

「……ぐすん」


 1番食いついてるの、結月ちゃんだったー!? 結月ちゃんにスルーされて部長さんもなんか拗ねちゃってるよ!? 

 でも、楽しそうな雰囲気が伝わってくるのはいいね。中学生の頃も、あの騒動が起きる前はこういう輪の中にいたんだっけ。なんか少し寂しさと懐かしさを感じるかも?


 そういえば、気にしてなかったけど……これって二次創作ではあるよね? 私の完全オリジナルではないんだし、姉さんがデザインしたアニメとかゲームのキャラだし……まぁいっか! 別にどこかに公開しようと思って作ってたやつじゃないし!


 

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