第566話 サクラの呟き その15
うふふ、今日の晩御飯は天ぷらとざる蕎麦! サクッと揚がった天ぷら、美味しかったー! ナスとかエビとかイモとか!
兄さんは出先で食べてきてたらしいから、お父さんとお母さんとの3人での晩御飯だったねー! 兄さんには兄さんの付き合いがあるから、たまにこういう日もあるのです! まぁもう帰ってきてるけど!
「さーて、今日も飯テロだー!」
自分で作った訳じゃないし、もう食べた後だけど! 撮ってた写真を載せて、こうなのです!
サクラ☆モンエボ実況配信中! #***
本日の晩御飯の、天ぷら蕎麦!
サクッと揚がった天ぷらはいいですねー!
天ぷら蕎麦.jpg
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自分で作る時は揚げ物ってしないけど……今年の夏はちょっとチャレンジしてみようかな? こうやって写真を載せるなら、自分で作ったのも載せたくなってきたし!
あ、そういえばこの話は兄さんにしとかないと! 明日の宣伝、準備は大事! 丁度、兄さんがトイレから自分の部屋まで戻ってるから、今がチャンス!
「兄さん、兄さん! 今、ちょっといい?」
「ん? あぁ、宣伝の件か?」
「うん! 明日はやるから、準備をお願いします!」
「……まぁ渡すだけにはなってるし、手数料も貰ってるから構わんぞ。それで、メンチカツと団子のどっちだ?」
「明日はメンチカツで! デザート系は連続にしない方がいいかなーって?」
「メンチカツだな? ちょっと待ってろ、すぐにデータを送っておく」
「はーい!」
ふっふっふ、考えなしに適当に決めてる訳ではないのですよ! まぁ単純にメンチカツが食べたい気分っていうのもあるけども!
「試食データとカンペは送っておいたから、確認しとけ」
「うん! 兄さん、ありがと!」
「まぁ頑張れよ」
「はーい!」
携帯端末に兄さんが送ったデータが届いたって通知も出たし、やり方自体はこの前のソフトクリームと一緒だよね? とりあえず自分の部屋に戻って、軽く確認しとこー!
◇ ◇ ◇
自分の部屋に戻ってきたから、兄さんが送ってくれたデータの確認! 明日は終業式だし、昼からは結月ちゃん達と文化祭の件で打ち合わせがあるから、今のうちにやれる事はやっておこー!
えーと、とりあえずカンペの内容と、試食データの個数は確認しておいた方がいいよね?
「んー、試食データは2個なんだねー」
試食なんだから大量にある必要はないんだろうけど……2個なら、配信開始前の待機時間と、途中のサイコロタイムで1個食べるくらいかな?
「明日は、どういうサイコロタイムになるんだろ?」
色々と悩んだら決めきれない時もあるから、運任せでサイコロにしてるけど……何に悩むか次第なんだよねー。
無難なのは、ちょっと話題にも出てたけど『屈強』のどのスキルツリーを伸ばすかかな? うーん、まぁこれは今から決めておく事でもない気もしてきた!
「えーと、カンペの方は……お店の名前と紹介内容だねー! あ、これはネット販売はないんだ?」
それって私が宣伝する意味ってあるの!? あ、でもミナトさんみたいに足を運べる人もいるっぽいし、全く無意味ではないのかも?
「私も、直接食べに行ってみたいなー」
ふふーん! 夏休みに入ってお盆になって、姉さんのマンションに遊びに行く時には、宣伝をしたお店は全部回ってみようっと! うふふ、今から楽しみ!
「あ、姉さんからのメッセージ?」
最近、何かと姉さんから届く事が多いけど、今回はどんな内容なんだろ? えーと、なんだか画像が沢山あるんだけど!?
「これ、なんだろ? わっ!? 髪飾りの写真が沢山!?」
わわっ!? え、なんでこんな写真が……って、メッセージで書いてるみたいだし、そっちを確認だー! ……写真を見るより、文章を読む方が先だった気がする!
「えーと……あっ、姉さんの友達で、ファッションデザイナーの人のVRでの仮想店舗の写真なんだ!?」
わー! フルダイブでの仮想店舗で実際に着けてみる事が出来るやつなんだ! 今日、私がかんざしを着けてたからなのかな? 参考にって事……でもなかったー!?
「わわっ!? この人、私の衣装替えを狙ってる1人なの!?」
これ自体が宣伝案件だって書いてるんだけど!? 日替わりで色んな髪飾りを着けてみる気はないかって……これ、意外と悪くはないのかも?
でも、待って!? ここでこれを受け入れたら、他にも衣装替えを狙ってくる人が出てくるよねー!?
「……むぅ、着せ替えじゃなくて、宣伝って形で押し切ろうとしてきてる?」
お金を払ってでも私を着せ替えたいって狙いだったんだし、そこに宣伝という大義名分を使ってきてる気がする! それなら着せ替え人形じゃなくて、お仕事って事になるんだろうし……なんでそんなに私の着せ替えが狙われてるのー!?
というか、これって聡さんは把握してるのかな? なんだか姉さんだけで暴走してるような気がするんだけど!
「……兄さんに相談出来ないかな?」
このメッセージが届くのがちょっと早ければ、さっきのタイミングで兄さんに相談出来たんだけど……もう何かやってる最中かな? とりあえずダメ元で、兄さんに相談してみようっと。
◇ ◇ ◇
兄さんに相談すべく、兄さんの部屋の前までやってきた! とりあえず軽くノックして……。
「兄さん、ちょっと時間はいい?」
「……なんだ? さっきのデータ、何か不備でもあったか?」
「ううん、そっちは大丈夫! そうじゃなくて……ちょっと姉さんからメッセージがきて、その内容の相談をしたいんだけど……」
「……何? 姉さんからのメッセージで、相談するような内容だと? そういう事があれば聡さんから俺の方にも連絡があってもよさそうなもんだが……」
「そんな気がしたから、ちょっと相談したくて?」
兄さんからしても、そういう感想になるんだね。うーん、これは姉さんが暴走してる時の感じはするし、やっぱり兄さんに相談に来て正解だったかも――
「今すぐじゃないとダメか? ちょっと今は手が離せないんだが……」
「ううん、急ぎじゃないから大丈夫! 邪魔してごめんなさい!」
「いやまぁ、気にするな。手が空いたら聡さんに確認してみるから、軽くどういう内容かだけ教えてくれ」
「えっと、姉さんの友達のファッションデザイナーの人からの宣伝依頼……という名の、着せ替え狙いの何か?」
「……姉さんめ、そういう搦手できたか。それは間違いなく聡さんを介した方がいい内容だから、姉さんへの返事は放置しとけ。変に了承はするなよ?」
「うん、分かった! 兄さん、ありがと!」
「すぐに対応出来なくて、悪いな」
「ううん、それは大丈夫!」
わざわざ手間をかけさせちゃってるのは私なんだし、手が空いてないって割に内容自体はしっかりと聞いてくれる兄さんには感謝しかないよね! こういう姉さんの暴走癖は、困ったものですよ!
◇ ◇ ◇
兄さんへの相談……というほどではなかったけど、まぁ報告は出来たから、自分の部屋に戻ってきた!
「……衣装替えかー」
正直に言えば、『サクラ』の衣装を変えるなら自分で作ってしまいたい! でも、それをするにはそれなりに時間はかかるし、先に配信用の和室も庭とか小物も作りたい!
「それに、文化祭の件もあるもんね」
まだ完全に引き受けると確定した訳じゃないけど……それでも、姉さんは楽しめるようにってアドバイスはくれてたもんね。よっぽど無茶でなければ、やってみたくはあるし……。
「受け入れるのも、ありなのかなー?」
プロの人達だから気後れしてる面はあるけど……衣装替え自体は、視聴者さんからも要望はあるもんね。私にお金を払って着せ替えるってのは流石に躊躇うけど、宣伝という形なら……うーん、でも姉さんの思惑が入ってるのが見えてるのがねー。
「……今すぐに結論を出さなくても、いいよね?」
少し前なら、絶対に断る事しか考えてなかっただろうけど……なんだかんだで結構、私の意識も変わってきてるのかも? まぁそれでも躊躇いはあるから、もうちょっと色々考えさせてもらおうっと!
とりあえずは姉さんのメッセージは、兄さんのアドバイス通りにスルーするとして……そろそろ実況外のプレイをやっていこうかな?
――――
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オンライン版の方がお休みに入ったので、こちらも今の章が終わり次第、少し休憩に入ります。
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