第562話 洞窟内の湖
わー!? ミナトさんから陸地に上がる場所を教えてもらったけど、よりによってなんで敵が追いかけてきてる方向なのー!?
「方向転換は……ぎゃー!? 少しでも速度を緩めると、どう見ても危険なんですけどー!?」
少しだけ後ろを振り向いたら、少し速度が落ちただけで、思いっきり見切りに反応が出まくったー!? 正面に向き直って、駆け直すのです!
ミツルギ : おー、大量、大量。
イガイガ : 格上の敵が、結構な数がいたなー。てか、陸地に上がる部分は反対側か。
ミナト : 残念だけど、位置的にはそうなるねー。
「わっ!? わわっ!? 後ろから何かがぶつかってきます!? 真後ろじゃ、陸地に上がれませんよ!?」
私のライオンは飛べないんだし、ちゃんと登れる場所がないと……あれ? 飛ぶ? 飛ぶのは無理でも、跳ぶのはいけるんじゃ?
走ってる間に湖の端の崖になってる部分は近付いてきたし、上へと進んでいく通路っぽい広い場所がある! 結構高い位置だけど……思いついた手段でなら、多分いけるかも!
「これなら、どうですかねー! 『放水』からの、大ジャンプ!」
ふふーん! 私の真下から放水をして、その水を足場にジャーンプ! おぉ! 思った以上に上手く出来たよ!?
咲夜 : へっ!? え、放水を足場に使ったジャンプ!?
富岳 : ほう? まさかの手段だが……割と上手くいってるな。
サツキ : サクラちゃん、ナイスだよ!
水無月 : ナイス移動だー!
ミナト : あ、でも、これは……ちょっと届かないかも?
「わー!? あとちょっとで届きそうなのに、ここで落下ー!?」
待って、待って、待って! あと少しで強引にだけど陸地に上がれそうだったのに……はっ! 落ちそうなら、またこれでいけばいいだけだー!
「落ちてたまりますかー! もう一度、『放水』です!」
あ、やった! 落ちかけていたのは止まったし、これならもう一度いけるはず! もう一度、大ジャンプだー!
「……ふぅ、なんとか着地……って、わわっ!? そういえば疾走中――ぐふっ!?」
ぎゃー! 折角、陸地に上がれたのに、止まれずに思いっきり頭から突っ込んだー!? 『水化』で脚が崩れてもいたよね!? うぅ……朦朧になって、まともに動けないよー!?
サツキ : わー!? サクラちゃん、大丈夫!?
水無月 : 凄い勢いで……あ、朦朧になっちゃってる。
金金金 : 凄い脱出方法を見たのに、最後の詰めが甘かったか。
G : それでこそサクラちゃんだぞ!
イガイガ : そうだ、そうだ!
真実とは何か : それこそ、紛れもない真実なのである!
神奈月 : 相変わらず、言ってる事が酷いな!? いや、まぁ否定はし切れないけども……。
こんにゃく : こういう部分が、この配信の見所なのは間違いないしな……。
「皆さん、好き勝手に言い過ぎじゃないですかねー!? あんまり強く否定出来る状況ではない気もしますけど! ……早く、朦朧は治ってくれませんかねー?」
うがー! 折角、いい感じで陸地に上がれたのに、着地に失敗してたら格好が付かないよ!? むぅ……ここは華麗に着地したかった。
ミツルギ : まぁ着地の失敗は済んだ事だから仕方ないとして……よく、その方向から上がれたな?
富岳 : 『放水』の水を足場に『水化』で駆け上がるのは、結構な難易度だからな。
咲夜 : 理屈の上では出てくるけど、実際にやるには難しいやつなんだけど!?
ヤツメウナギ : 数少ない、空中戦を行う為の手段ではある。まぁ実用性には乏しいんだが……。
ミナト : え、そう? サクラちゃんが実際に使ったからもう話すけど、割と空中戦では使えるよ? ほら、敵の上を取りながら、勢いを付けて攻撃する時とか?
「あ、そういう使い方が出来るんです!? ……確かに、出来そうではありますね?」
そっか、そっか! ライオンで空中に行く手段はないと思ってたけど、これなら出来るんだ!
チャガ : あー、ミナトさんは簡単に言っているが……結構、攻撃手段としては欠陥があるからな?
「え、そうなんです……って、水が飛んできまくってますね!? 堅牢が上がったお陰で、大してダメージはないですけど……あ、朦朧が治りました! 『水化』も解除しておきましょう!」
飛んでくる水は邪魔だー! ふっふっふ、朦朧は治ったし、ここからは普通に動けるようになったんだから、先にこの敵達を倒しちゃえ!
「まずはこの敵達を一掃してしまいましょう! 『獅哮衝波』!」
ふふーん! 白いワニとか白い魚とか光る魚とか、変わった敵がいっぱいいるけど、今は『縄張り』も使ってるんだし、3段階目まで溜めてしまうのさー! それで一網打尽にするのです!
富岳 : あぁ、陸地に上がれたなら、そこから一方的に仕留めるのもありだな。
チャガ : 『守護増強』の効果も出るし、『縄張り』のステータス上昇もあるから、まぁ楽に倒せるか。
サツキ : サクラちゃん、思いっきりやっちゃえ!
水無月 : やっちゃえー!
「はい、そうします! 折角なんで、3段階目まで溜めてぶっ放しますよー!」
うふふ、強引な手段ではあったけど、ここまで登ってきたのは大正解! 敵から水が届いてはいるけど、それ以外の敵は近付く事すら出来てないもんね!
「それにしても……なんか白いのが多いですね? これってなんでです?」
なんで白いのかが謎だー!? 魚の種類としては、ヤマメだったり、コイだったり、メダカだったり、今まで見た事があるのばっかだけど……。
いなり寿司 : それ、洞窟にある湖の固有の特徴でな。種族自体は外にいるのと特に変わらないんだが、光るか白くなるかのどっちかになるんだよ。
ミナト : リアルに『ドウクツギョ科』なんてのもいるんだけど、まぁ有名じゃないから流石にそのままは反映されてない感じかな? 光ってる方は、実は身体は透明だったりもするんだよ?
富岳 : その辺はまぁ、リアルの深海魚とかにある特徴だな。明かりが届かない場所での進化の結果ってやつだ。
「おぉ! リアルであるものを元にした見た目って事ですか! ……光ってるのが透明って、どういう事なんですかねー?」
うーん、ここからじゃよく見えない! でも、身体が透き通った魚とか、何かの動画で見た覚えはあるかも!
「光る魚が、ここでの光源って感じですかねー? あ、そういえば陸地の方は……っ!? なんか、あちこちにキラキラ光ってる場所がありますよ!?」
わわっ!? 陸地に上がってくる前は気にしてる余裕がなかったけど、よく見たら凄い光景が広がってた!? これ、なんか神秘的で凄いよ!?
ミナト : それはクリスタルだねー! 水晶って思われがちだけど、意味的には『結晶』だから別物だから要注意!
富岳 : まぁ洞窟内の光源の一種だな。ちなみに、宝石系アイテムの採集ポイントでもあるぞ?
「え、これ、全部採集ポイントになるんです!? 結構な数がありますけど!? あ、でも……どこも崖になってませんかねー?」
待って、待って、待って!? 本当に待って! 取りに行きたいけど、行けるような場所じゃないよ!? 目の前にこんなに大量にあるのに、取りに行けないの!?
こんにゃく : それはまぁ、足場が近くにある取れる場所を探すのが常套手段?
真実とは何か : それが真実なのである! だが、他にも真実はあるのだ!
水無月 : あ、さっき、サクラちゃんが登ってきた手段が、それだったりするの!?
「あ、あれなら確かに行けそうですね! 実際、どうなんです?」
可能性はありそうな気がするけど……何か欠陥があるとも言ってたもんね。そこは確認しておいた方がいい気がする!
チャガ : あー、まぁさっき言った欠陥は戦闘時のものだから……ここでは普通に有効か。
神奈月 : シンプルに扱いが難しいけど……可能は可能?
咲夜 : 欠陥って言っても、小回りが利かない上に、空飛ぶ相手にまともに攻撃が当てられないってだけだしな!
G : その上、敵からの攻撃ですぐに足を踏み外すし、『水化』が切れたら足場に出来ずに落ちる可能性が跳ね上がるってとこだ。
富岳 : 脚が水と同化してるから、攻撃手段の制約もかかるしな。
ミツルギ : まぁ簡単にまとめれば、安定しないんだよ、色んな意味で。
「……あはは、確かに戦闘に使うのには欠陥だらけな気はしますね」
よく考えたら、さっきの跳び上がった状態から攻撃をしなきゃいけないんだもんね! それも空を自由に飛んで動く相手に! ……うん、ちゃんと戦える気は全くしません!
ふふーん、それでも、ここのクリスタルの場所まで行くには使えそうな予感! あ、でもその前に敵の撃破が先だよね!
1段階目までの溜めは終わったし、2段階目もそこそこ溜まってきた! 時間的には……敵を一掃したら、〆くらいかなー? まぁそこまでやってから考えよ!
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