第557話 宝石を探して


 んー、次の宝石を探し始めたはいいけども、瓦礫を退けても、退けても、それっぽいのが見当たらなーい!


「全然ないじゃないですか!? この辺はもう駄目なんですかねー?」


 うがー! 最初に見つけたアクアマリンがあって崩した鍾乳石と、その余波で崩れた部分だけど……そこに2個あったと考えれば、流石に仕方ないのかも?


水無月 : 具体的にどうなってるかはよく分かんないけど、見つからない時は他の場所を探すのがよくない?

金金金 : それが良さそうな気はするな。

神奈月 : 経験者以外は語る。まぁその判断は決して間違ってもいないけど。

こんにゃく : その辺、もうただの経験則だしなー。今は下手にアドバイスは出来ない状態だけど……。


「その反応、まだこの近くにありそうな気がしてくるんですけど!?」


 うぅ!? 場所を移そうかと思ってたのに、そういう事を言われたら離れにくくなるよ!?


「……あのー、皆さん、実はこの近くで見つけてたりします?」


 なんかそんな気がしてきたよ!? もしそうなら、それを見つけてしまいたいんだけど……。


いなり寿司 : そこはノーコメントだな。

ミツルギ : 状況的にはそうなるなー。

富岳 : 敢えて言うなら、まだある可能性もあるし、もうない可能性もある。この場合の経験則ってのは、まぁその引き際の見極めだな。

真実とは何か : 真実が謎な事もある!


「……引き際ですか」


 うーん、この近くにあるかどうかは結局分からないままだし、ある程度の個数が確保出来た場所からは、諦めて離れるって判断も必要って事なのかも?

 私だけで探す状況になってるから、見つけてても教えてはくれないみたいだしねー。まだ鍾乳洞の中で見てない場所の方が多いんだし……うん、決めた!


「それじゃこの周辺はもう諦めて、他の鍾乳石を見て回ります!」


 1ヶ所にこだわり過ぎた結果、そこには何もなかった……とかになると悲しいもんね! うん、確かに引き際も大事なのかも!


サツキ : サクラちゃん、移動開始ー! 

水無月 : 開始ー!

神楽 : こういう時は、闇雲に進むより、進む方向を予め決めておいた方がいいのかも?


「あ、確かにどこを見たかが分からなくなると無駄が出ますもんね! どういう風に進んでいきましょうかねー?」


 えーと、今の位置が鍾乳洞に入って少し進んだ部分だし……これ、マップの上が北でいいんだよね? 鍾乳洞の入り口は東側で、形状的には楕円形かな? それで、奥は西側!


「外周に沿ってグルッと時計回りに進んで、それじゃ網羅し切れなさそうな真ん中を突っ切って、そこまでで鍾乳洞の探索は終わりにしましょうか!」


 ふふーん、敵は私から避けて離れていくんだから、それでも問題ないはず! 縄張りのおかげで鍾乳洞の範囲も分かってるんだし、それは活用しないとね!


ミツルギ : まぁ今の予定は無難なとこか。

イガイガ : ぶっちゃけ、洞窟内の全てを余さず見るってのは不可能だしなー。

ミナト : あはは、それは確かにねー!


「え、そこはミナトさんも同意するんです!? ちょっと意外だったんですけど!?」


 ミナトさんなら全てを網羅してても不思議じゃなかったんだけど、まさかの反応だったよ!?


ミナト : サクラちゃん、いくらなんでもそれは無理だからね?

金金金 : ほほう? それは俺としても意外だな?

富岳 : まぁそう言いたくなる理由も分かるが……その答えは、既に見ているぞ?

真実とは何か : 真実への答えは既にある!


「え、そうなんです? あ、サイズ的に入れない場所もあるからですか!?」


 そういえば、私が前脚だけ突っ込んだ狭い横穴もあったよね!?


ミナト : 正解! 死角は意識的にしっかりと確かめる事で潰せはするけど、物理的に入れない場所はどうしようもないからね。

金金金 : あー、言われてみればそれはそうか。ん? そういや、なんであの横穴の先はマップに表示されていない?

水無月 : あっ! そういえば確かに!?


「……今まで気にしてもなかったですけど、確かに謎ですね?」


 あの先にも空間は広がってそうだけど……縄張りでマップの表示が広がってるのに、なんでだろ?


チャガ : それは単純に仕様だ。どうやっても自分が入れない場所は、マップの表示には出てこないぞ。

ヤツメウナギ : マップで表示されるのは、自身が踏破出来る部分だけだからなー。

ミナト : 踏破率に関わってくる部分だから、通れない場所は除外になるんだよね。


「あ、そうなるんですか!」


 そっか、そっか! 通れない場所そのものは存在してても、特に問題はないようになってるんだ!


「あ、立ち止まって話し込んでても駄目なので、決めた通りに動いていきますねー!」


 という事で、外周に沿って時計回りに移動開始! 上を見て、下を見て、左右も見て、宝石が埋まってないかを確認だー!


サツキ : 宝石探索、再開だー! 見つかるかなー?

水無月 : 多くて10個とかなら、探すのは結構大変そうだね。


「この鍾乳洞、結構広いですしねー。……無事に見つけられるか、不安になってきました!?」


 周囲を見回しているけど、意外とハードルが高くないですかねー!? あ、でも湖の中よりは狭いし……でも、上にもあるんだよね!?

 それに、薄暗いもん! 水場が青く光って照らしてくれているとはいえ、場所によって暗さが違うもん!


金金金 : 慌て始める狐っ娘アバター。まぁ不安になる気持ちも分からなくもない。

水無月 : 暗いもんね、ここ。


「そうなんですよねー。上手く青い光が宝石を照らしてくれていればいいんですけど……あ、今、キラッと光るのがありませんでした!?」


 不安に思ってたら、意外とすんなりそれっぽいのが見えた気がする! えっと、えっと!? 今、キラッと光ってたのはこっちの方だよね!? 上じゃなくて、下から伸びてる鍾乳石の真ん中辺りだったはず!

 確か、こっちの方向! むぅ……あちこちに視線を動かしながら、移動もしてたから、微妙にどの鍾乳石か自信がない……。


ミナト : みんな、今は見つけても教えちゃダメだからねー!

イガイガ : ですなー。

G : さぁ、サクラちゃんは無事に見つけられるのか!?

サツキ : サクラちゃん、頑張って見つけよー!

水無月 : ファイトー!

富岳 : まぁたまにはこういう回があってもいいか。


「意地でも見つけてやりますよー! というか、不安になってたらそれっぽいのが見つかるとか、やっぱり物欲センサーが動いている気がします!」


 いざ、それっぽいのを見た方向へ進み始めたら、今度は見失ってるんだから尚更に! うーん、少し進んじゃったので、見えない角度になっちゃった?


神奈月 : そこそこ移動速度を出しながら見つけるのは、やっぱり難しいよなー。

いなり寿司 : どうしても動けば、その分だけ見つけにくくはなるし、まぁ仕方ない部分だろ。

ヤツメウナギ : まぁ敵が襲ってくる状態でないだけ、かなりマシだけどな。

こんにゃく : それは言えるな。戦闘しながらだと、この手の洞窟探索はしにくいし……。


「確かに、戦いながら探せっていうのは難しいそうですね! あ、だから『再誕の道標』を設置するんです? 洞窟のあるエリアが敵の強さの基準になるなら、結構前に通り過ぎた場所って格下ばかりですよね?」


 通ってきた場所にいる敵もどんどん強くはなってるとはいえ、それでも格下になるはずだよね? それなら、山麓エリアにある洞窟は私にとっては楽勝のはず!


ミツルギ : まぁそうなるなー。進出したばかりのエリアにある洞窟より、これまで通ってきたエリアにある洞窟の方が、宝石の入手は狙いやすいぞ。

富岳 : その場合での注意点も存在するが……まぁ今、必要な情報でもないから伏せておくか。


「あ、はい! それは大丈夫です! さーて、多分この辺りだと思うんですけど……」


 この周辺の鍾乳石に宝石が埋まってないか、探していこー! 見間違いでなく、本当にちゃんとあればいいんだけど……。


「あ、ありました! この色合い、アクアマリンみたいですね!」


 ふふーん、少し前にアクアマリンは見たばかりだから、多分合ってるはず!


G : おっ、あったな。さて、問題はここからか。

イガイガ : さぁ、どうなる!?

サツキ : 宝石として手に入りますように!


「なんだか緊張してきたんですけど……とにかく、採取してみますね!」


 これで宝石が2個目の入手になれば、使った分の補填は完了だけど……お願いします! 普通の宝石として入手させて下さい!

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